異世界をスキルブックと共に

気のまま

非戦闘員強化訓練

「まぁそんな感じの会議が行われた後リアムと広場の近くを通ったらリンに説明していたゴブ朗に捕まってな、そこからはさっきも言ったがリアムも村人に混ぜて貰う代わりに俺が通訳をしている」


そうか、あの後ゴブ朗達はそんな話し合いをしていたのか……

いつも通訳を買って出ているジャックがなんでいないのかと思ったがそういうことか。

先程の話しからすると今は何処かで帝国に流す情報の打ち合わせをしているのだろう。

聞きたいこともあったしいつもの通訳がいないのは残念だがちょうどメルドが代わりをやっているし俺の通訳もお願いするとしよう。

それにしても気になったのだがメルドは後から広場に来たのに会議の内容を知っているのはおかしくないか?

リンかゴブ朗に聞いたのだろうか?


「だったらちょうど良いから俺にも通訳してくれないか?」

「ああ、構わない。ついでだからな」

「助かる。それとメルドは会議に出席していたのか?やたら詳しく内容を知っていたようだが?」

「何を言っているんだ?さっき朝一から全共通念話で会議の内容が細かく配信されただろう?」


えっ?マジで?俺には全然そんな連絡など来ていない。

そもそも全共通念話ってなんだ、初めて聞いたぞ。

恐らく俺とエレナは外に出ていたからたまたま連絡が来なかったのだろう。大丈夫、俺だけじゃない。

俺はそう自分に言い聞かせながら周囲を見渡すと未だにアンデッドを倒せない村人にゴブ朗が檄を飛ばしている。

戦力の強化か……

確かに俺達は今回敵にエッジ達という強者がいたがそれと比べても個体としての戦力はかなりの物だった。

エッジの話しでは更に強い人間は数える程しかいないらしいから個人に関しては焦って強化する必要は無いが問題は数だ。

初めて軍隊の一部として戦闘を行ったがあの大軍相手だといくら個人が強い少数がいても戦況を優勢に保つのは厳しかっただろう。

実際初日には俺達がいないところはかなりの被害を受けているし、その後もアンデッドがどうにかできなければ俺達以外の被害が増えいずれ劣勢になっていただろう。

なんとか打開するために敵の本陣を急襲しても敵大将がいる本陣には逃げられているしあの時勇者が見つからなかったら本当にやばかった。

結局最後帝国軍を制圧していったのは殆どレルドの率いる王国軍だしな。

それに今回帝国と王国との戦いだったから問題は無かったがこれがもし何処かの国がそれなりに強い大軍で我が拠点に攻めてきたら俺達は一溜まりも無い。

ゴブ朗達が急いで戦闘員を増やす気持ちも分からなくはないな。

だが問題は無理に全員戦闘員にする必要は無いんじゃないかということだ。

強要は良くないよ、強要は。

せめて意思確認してから了承した奴だけ戦闘員として育てていけば十分なんじゃないか?

たぶん戦闘職以外の夢を持っている奴が大多数だと思うぞ。


「ああ、そう言えばそうだったな。しかしゴブ朗達も少しやり過ぎじゃないか?無理に全員参加させなくてもいいと思うが……」

「そこらへんは大丈夫だ。この広場にいる人間は全員自主的に集まった奴らばかりと聞いている」


なんだと?自主的に?

あからさまに主婦みたいな女性もいるし子供や老人までいるような気がするが俺の気のせいか?


「自主的?本当に?」

「ああ、間違いない。見てみなよ、みんなゴブ朗の檄にちゃんと答えているだろ」


確かに……全員あんな見た目の怖いアンデッドに未だに声を上げながら剣を振っている。

何か理由があるのか?


「確かに嫌々やっている人はいなさそうだが……そもそもゴブ朗はなんて言っているんだ?」

「すまない。通訳する話だったな」


メルドはそういうとゴブ朗の言葉を訳し始めた。


《貴様ら!!なんだその振り方は!!そんなことでは武器がいかに良い物でも宝も持ち腐れだ!!やる気がないなら帰って畑でも耕していろ!!》

「はい!!」

「ですが、もしかしたら家族かと思うと……」

「すみません!!次は必ず!!」

《返事だけは良くても意味が無いぞ?貴様らの目の前にいるのはなんだ?家族の慣れの果てか?違う。敵か?それも違う。目を見開きよく見ろ!目の前のアンデッドは可能性だ》

「か、可能性ですか?」

「どういうことだ?」

「俺に聞くな!!」

《そうだ、確かに目の前のアンデッドは貴様らの家族の可能性がある。だが貴様らが倒さねば永久に家族は戻ってこない。主様もアンデッドのまま召喚するのは不可能だからな》

「それは……」

「確かにその通りだが……」


その言葉を聞き未だアンデッドを倒せていない多くの人が剣を握り絞めながら下を向いている。


《だが覚えているか?倒しさえすれば主様は貴様らの家族を復活させることを約束してくれている。しかもそれを守る力も授けてくれた上でだ》

「えっ?」

「力ですか?」

「それはどういう……」

《そうだ、貴様らは既にただの人間ではない。神の使徒である主様の眷属だ。敵を倒せば倒すほど強くなり主様に強化される度に恐ろしいほどの力を手に入れることができる。その証拠に信じられないかも知れないが俺は元々そこら辺にいるただのゴブリンだった》

「まさか……」

「嘘だ……」

《真実だ。思い出せ、殺された時のことを。思い出せ、家族を奪われたことを。二度と無いはずの人生を主様の力で取り戻した後貴様達はどうする?お前達を殺した帝国は未だ変わらず存在しているぞ?また以前のように生活しまた奪われるのか?》

「い、嫌だ!!」

「あんなのことが二度とあってたまるか!!」

《なら剣を持て!!剣を振るえ!!目の前の敵を屠り自分を、家族を守れ!!その力は主様が授けてくださる!!もう二度と誰にも奪わせるな!!》

「お、おおおお!」

「やるぞ!俺はやるぞ!!」

「私も今度こそあの子を守るんだ!今度こそ絶対に!!」

「おおおおおおお!!」


そう雄叫びを上げると村人達は剣を握り絞め目の前のアンデッドに斬りかかっていった。


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