異世界をスキルブックと共に

気のまま

とある拠点の会議

《集まったな?それでは今回の会議を始める》


そうゴブ朗が言葉を発すると広場に集まった拠点の主要人物達の視線が一斉に集まった。


《各々反省点はあると思うが全体での反省点を上げていけ》

《まず主様に最初から最後まで手間を掛けさせたことが問題だよね》

《そうだな、今回主様は我等のことを考えて土魔法しか使われていない。これが始めからエレナから報告があった爆炎魔法を使っていれば戦争は一方的だっただろう》


ゴブ朗がそう説明したとき、すぐに横から手も上げずエッジが文句を言い始めた。


「爆炎魔法だ?ケンゴ様は俺らの時も手加減していたのか?」

《当たり前だろうが。貴様達程度に主様が本気を出せば一瞬で灰になっているわ》

「あら言うわね。けど私達のためってどういうことかしら?」

「一つは我等の戦闘経験及び成長のための経験値稼ぎのため。もう一つは拠点の強化のためですね?」


マーリンの質問にジャックがスムーズに説明していく。


《そうだ。主様が本気を出せば歩いた後は灰しか残らんからな。倒した魔石を使用することもできん》

「おいおい、そういうことは早めに教えてくれよ。帰ったら手合わせでも頼むか」

《貴様の相手は俺がしてやるから黙っていろ》

《それで、今後どうすれば主様に手間を掛けさせないようにできるのかな?》

《それも悔しいが主様が道を示してくれている。アンデッドだ》

《あーあれは驚いたよね。勇者からアンデッドを使役するスキルを奪うだけでも驚いたけどその奪ったアンデッドを持って帰って非戦闘員の強化に使うなんていったいどういう思考をすれば考えつくんだろ?本当に凄いよね》

《主様の思惑を計るなど不可能だ。俺達とは見ている景色が違う。だが俺達は主様の意図を汲み手伝うことはできる。今回アンデッドを使ってできることは本当に多い。俺達の強化に非戦闘員強化。更に倒した後は魔石を取り出し召喚を行い戦闘員の入手だ。今回俺達の課題はやはり戦闘員の不足だったがこれがアンデッドが尽きるまで行えるとは本当に主様には驚かされる。それだけでも今回の戦争に参加した意味は十分にある》

「ゴブ朗さん、それだけじゃありませんよ。最近この拠点の発展は目覚ましいものがありますが一つだけ課題がありました。それは人手不足です。人手不足は発展途上なので仕方のないことなのですが今回のご主人様の作戦で一気に解決しました。やはり魔物に比べ人間は器用です。その人間をいきなりこんなに確保できるなどとても信じられません」

《それが可能なのが主様だ。今回の戦争では敵に数は力だと教えられたからな、次は俺達が教える番だ。さすがに主様にここまで御膳立てされたのだ、会議が終了し次第非戦闘員を中心に強化に取り掛かるぞ》

《「了解」》

《他は何かあるか?》

《勇者はいいのか?》

《いや問題だ。そもそも何故主様が先に見つけたんだ?》

《僕も注意して戦場を見てたけどどうも主様の索敵僕のより精度が良いみたいなんだよね。たぶん進化した今でも追い付いてないよ》

「ご主人様は神の力が使えますからね。どうしても既存のスキルでは及ばない所もあるのでしょう」

《スカイホークらも上空から警戒していたがあの数の中勇者を見つけるのは不可能だろう》

《ならどうすれば良いのかな?》

《主様に質で劣るなら数を増やすしかないだろう。有難いことにこれから人手は数十倍に増える》

《なら人員を確保でき次第索敵、更に情報を入手するための諜報部隊を作るということでいいな?》

《問題ない》

「でしたら諜報部隊は私に任せて貰えませんか?黒の外套に所属していた時も似たような仕事をしていましたので」

《異議のある奴はいるか?いないな、では諜報部隊はジャックに任せる》

「拝任致しました。では部隊はまだありませんが一つ提案があります」

《なんだ?》

「私達は外の情報に疎すぎます。ご主人様の動向を考えると今後更に外の世界に進行していく可能性が高いと思われます。そこで人員を確保できるのであれば今の時点から世界に拠点の人間を派遣し情報を入手する必要があります」

《確かにその通りだな》

「事前に情報が入手できればもしご主人様に害意ある存在が現れたときに早急に対処できます。その上ご主人が召喚した人間を派遣していれば念話で情報交換もできますしご主人様であればその場所に即時転移をする事ができます。これは有事の際ご主人様を逃がす手段にもなるので確実に行っていきたいと考えています」

《ふむ、この案に異議のある奴は……いないな。この件に関してはジャック全てお前に一任する。問題があれば逐一報告しろ》

「了解いたしました。それでは会議終了後マーリンとエッジを借り受けますがよろしいでしょうか?」

「ああ?」

「私達に何かさせるつもり?」

「はい、貴方達は帝国に帰って頂きます」

「なんだと?俺は嫌だぞあんなつまらん所に帰るのは」

「私は別に構わないけど理由は何かしら?」

「貴方達は帝国で名の知れた冒険者だと聞いています。なので一度帝国に帰還し情報の獲得と操作を行って頂きたい」

「獲得は分かるが操作だと?」

「はい、帝国は恐らく急襲による壊滅から詳しい情報を得ていない可能性が高いので貴方達は唯一の帰還者として情報を流して欲しいのです」

「へぇ面白そうね。どんな内容なの?」

「王国の現状やこちらの情報についてですね。それはこの会議が終わったら話し合いましょう」

「おいマーリン、これの何が面白いんだ?」

「あらエッジ、私達の情報で帝国が右往左往する姿なんて想像するだけで面白くない?」

「そんなことできるのか?確かにあの大臣が泡を食う姿を見れるならやる価値はあるが……だがリアムはどうするんだ?」

「あの子はもう普通の子供でしょ?ここにいた方が安全だわ。メルドとムランもその方がいいだろうし」

「そうだな、んじゃこの会議が終わったら打ち合わせといこうか。おい、ジャックだったか?つまらん内容だったら殺すからな?」

「ええ、期待していてください」

《もういいか?では最後にこの捕まえてきた勇者の待遇だが……どうする?朝から喚いていて主様の同郷とはとても信じられんのだが……》

《確かにあの優しくて聡明なご主人様とは似ても似つかないよね。かなり弱そうだしリンがスキルは全部奪っちゃったんだよね?だったら主様が帰ってくるまで放置でいいんじゃない?》

《我が監視しておこう》

《助かる。では取り敢えず勇者はポチが監視しておくということでいいな?》

《「異議なし」》

《それでは今回の会議は終了とする。強化や諜報活動に当たる者以外はこの二日で溜まった作業を集中して当たれ。解散》


ゴブ朗のその言葉に各々目的を持って広場から移動して行った。

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