異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都のギルド8

「実は私達は一対の転移門を所持しているのでそれを今回は使ったんですよ」

「レルドちゃん本当なの?」

「この男の言うとおり間違いありません。見た目はあれですが確かにナミラ平原から一瞬で王都に移動できました」


おい、あれとはなんだあれとは。

確かに見た目は禍々しいが見慣れてくると少しかっこ良く見えてこないか?

俺は絶対そう思う。


「そうなの……ケンゴちゃんはいったい何処でそれを見つけたのかしら?」

「見つけたんじゃなくて作ったんですよ」

「作った?ケンゴちゃんが転移門を?」

「いえうちの仲間に魔道具に強い奴がいるんですよ」

「貴方本当に何者なの?転移門が作れる人なんて世界中探しても見つからないわよ?」

「私はごく普通の人間ですよ。周囲の奴らが凄いんです。それに本当に見つからないと思いますか?気付かないだけで結構身近にいるかもしれませんよ?」


実際奴は王都にいたしな。奴隷だけど。


「そうかもしれないわね。それでその転移門ケンゴちゃん達が作ったのなら一対私の為に作って貰うことはできないかしら?」

「レルドにも言いましたが懇意にして頂けたらいずれ用意させて頂きますよ」


やはり空間系の魔道具はかなり需要がありそうだな。

目立つからあまり世に出さない方が良いと言っていたが解析されたり悪用されないように防犯対策ができたら売り出した方が良いんじゃないか?

ブランド化すれば知名度も稼げて良いことづくしだ。

だが待てよ……こういう時に俺が主導で行うと毎回碌なことにはならない気がする。

こういう時に限って神様のいらん幸運が働いてくるからな。

一応帰ってから皆に相談だ。


「だったら私からも一つケンゴちゃんに知らせておきたいことがあるわ」


知らせておきたいこと?いったい何だろうか?

カズコちゃんが俺に報告することなんてあったか?


「何かあったんですか?」

「ええ、貴方を指名手配した人間が捕まったわよ。てっきりもう王都を出ているものかと思ったんだけど王都に残って情報を集めていたみたい」


ん?ああ、あの時俺に洗脳やら強姦やらの有らぬ容疑を掛けてくれた奴か。

あの時は本当に皆の視線が痛かった。

是非厳罰に処して欲しい。


「それは朗報ですね。それで誰が私を指名手配なんかしたんですか?そこまで恨みを買うようなことはあまりしていないと思うのですが……」

「貴方を指名手配したのはアルカライムの街にある元冒険者ギルド所属の受付嬢カスミという女性よ」


ああ、なんだカスミちゃんか。

そういえば最近見てないがエレナが大好きすぎて直ぐに飛びついていたのが懐かしいな。

アルカラムで会えなかったからどうしたのか心配していたのだが王都に来ていたのか。

そうかそうか……

ってカスミちゃんっ?

今カスミちゃんが俺を指名手配したって言ったのか?

ちょっと待て、確かにカスミちゃんはエレナを守ろうとしていたがまさかここまで思い詰めていたのか?

確かにエレナはあの時ゴブ朗達の影響でかなり周囲にキツく当たっていたがそれも今ではかなり軟化してきている。

いずれ会えれば元のエレナに戻ってきていると喜んで貰えると思っていたのだが正直これは想定外だ。

あの時俺がちゃんと誤解を解いていればこんな事には……


「それは本当にカスミという女性で間違いないのですか?私の知っている彼女は到底人を態と貶めるようなことをする子ではないのですが……」

「間違いないわ、私も何故そんなことをしたのか問い詰めたのだけれど普通に良い子だったわよ。貴方からそこのエレナちゃんを守る為にその子が取れる手段がそれしかなかったと言っていたわ、まさか他に被害者が出るとは思っていなかったみたいで捕縛時素直にこちらに投降したわ」

「そうですか……」


くそっ、本当みたいだな。

確かにカスミちゃんなら森から戻って来た親友が怪しい男を連れ性格が一変しているとなったら洗脳ぐらいは言い出しそうだ。

だが強姦は少し言い過ぎじゃないだろうか?


「それで彼女は今何処にいるんですか?」

「彼女はこのギルドの地下に投獄してあるわ。今の王都の状態だと裁判も開けないから王が戻って落ち着いたら罪状が決まるわ」

「その罪状はどれくらいになりそうなんですか?大体で構わないので教えてください」

「以前も言ったけど恐らく死罪は間違いないわ。ギルドの名を騙り無実の者に罪を着せ更にそのせいでスキル消失という犠牲者まで出ているから良くて財産の没収に被害者への充当で死ぬまで鉱山奴隷ね」


おぅ……自分らがやらかした事とはいえ罪状がかなり重たい気がする。

カスミちゃんが行動に移した原因が自分にあると思うと心が痛い。


「ケンゴ様」

「ん?どうした」


俺がカスミちゃんの事を考えていると今まで黙って着いてきていたエレナが突然話掛けてきた。


「いえ、大変厚かましい願いだとは思いますが少しカスミと話しをさせて頂く事はできないでしょうか?」

「話し?それぐらいだったら大丈夫だと思うが……」


俺がその答えを求めるようにカズコちゃんを見ると、


「ええ、それぐらいだったら構わないわ。あそこの扉から地下へ行けるわ」

「有り難うございます」


そうエレナはこちらに頭を下げると奥の扉の方へ歩いて行った。

見た目はいつもと変わらないようだがやはり親友が死刑になると聞いて動揺しているのだろう。

エレナが俺を一人にして何処か行くなんてかなり珍しい。

俺は俺でできる事をするか。


「総司令、折り入って頼みがあるのですが……」

「突然なんだ?貴様が私に頼み事をするなんて気持ちが悪いぞ。何を企んでいる?」


失礼な。俺だっていつも何か企てているわけではないぞ?

戦争で色々とやらかしていたみたいだからレルドが警戒する気持ちも分からなくもないがたまには素直に人の話を聞いてみてもいいんじゃないだろうか?

まぁ今回はそれでもレルドが話を聞いてくれるというだけでも御の字か。

俺はそう落ち着くとレルドに頼みごとを話し始めた。


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