異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都のギルド6

「一昨日ナミラ平原にて王国軍は帝国軍と開戦し王国は多くの被害を出しましたが昨日無事に帝国を撃退しました」

「それが不思議なのよね。一昨日開戦した情報はこちらにも届いているわ。でも当初想定していた通りに苦戦していたんじゃないの?」

「はい、その通りです」

「それに昨日終戦したならなんでレルドちゃんがここにいるのかしら?どんなに馬を酷使してもここまで4日はかかるはずよ?」

「確かに私だけでは4日以上掛かっていたでしょう」


レルドはそう言うと振り返るようにこちらを見てきた。

おい、こっちを見るな。視線を誘導されてカズコちゃんまで俺を見ているじゃないか。


「ケンゴちゃんが何かやらかしたの?」

「はい、この戦争での勝利は間違いなくこの者の存在が大きな鍵でした。移動に関してもこの者の力です」


やらかしたとはカズコちゃんも失礼だな。

それにしてもカズコちゃんは一昨日の情報をどうやって手に入れたんだ?

この世界は魔道具以外アナログだから遠くの新鮮な情報はかなり貴重だ。

何か伝心の水晶以外それに似た魔道具があるのだろうか?


「ケンゴちゃんの力ねぇ、やっぱり貴方只者じゃなかったのねぇ」


そう言いながらこちらを見てくるカズコちゃんの視線が痛い。

大丈夫だ。只者じゃないのはうちの拠点の連中だ。俺じゃない。


「この者は信じられないような魔法を操り少数ですが強力な魔物と人の混成軍の指揮を執り初日から王国が苦戦していたアンデット軍を圧倒していました」

「魔法ねぇ、レルドちゃん混成軍も気になるからもう少し詳しく教えて貰えないかしら?たぶんケンゴちゃんは教えてくれないから」


当たり前だ、確かに魔法は使ったが壁を作っただけし指揮を執ったのもアンデット軍と戦ったのもゴブ朗達だ。

レルドはまるで俺がやったみたいに言っているが俺は殆ど壁作ってただけだからな?


「この者は最初に魔法で一瞬のうちに見上げる程の壁をナミラ平原一杯に作り出したかと思うとその後も我が軍の援護も含め連日ずっと壁を作り出していました。魔物と人の混成軍も私は狼型の獣人女性と魔物としか接触していませんがかの者達は意思を通じ合わせまるで家族のように行動していました」


ああ、確かにマリアとポチは仲が良いからな。家族のように見えてもしょうがない。


「その子はたぶん私も見たことがあるわ。テイマーには見えなかったけど……」

「私もテイマーではないと思います。その女性は氷魔法と弓を操り単独でガスタール将軍を下して見せましたから」

「あのガスタール将軍を?それだけでも驚異だけど魔物と意思疎通ができるのね。ケンゴちゃんいったいどういうことかしら?」

「どういうことと言われましても……何が問題なんですか?」

「現在まで魔物を使役できる存在はテイマーと魔族しか確認出来ていないわ。その娘は獣人なのよね?おかしいと思わない?」

「同じ狼型だからと言うのは……」

「そんな記録はない。それに貴様は魔物と意思の疎通ができる奴がいると言っていただろうが」

「あらそうなの?」

「そうですね、カズコさんもご存じだと思いますが私の所には変わったスキル持ちが多くいるのでそのスキルのおかげで皆魔物だろうが人だろうが意思の疎通が取れてるんですよ」


俺以外な……


「聞いたことがないわね。スキル名はなんて言うのかしら?」

「内緒です」

「貴様……」

「いいのよレルドちゃん。ケンゴちゃんはいつもこうだから。やっぱり情報は簡単に晒せないわよね」

「申し訳ありませんが」

「それじゃあケンゴちゃんの強力な魔法についても教えてくれないのかしら?」

「ああ、あれは普通の土魔法ですよ」

「なんだと?あれほどの威力の土魔法など見たことないぞ?」

「単純にLVが高いんですよ」

「レベル?」


ああ、そういえばこの世界にレベルの概念がなかったな。

スキルはあるのに何故LVは普及していないんだ?


「スキルにはLVというものがありましてそれの大小でスキルの強弱が決まるんですよ」

「そのようなことは聞いたことがないが……」

「ちょっと待って、私は聞いたことがあるわ。ケンゴちゃんが言っているのは勇者のレベル上げのことじゃないかしら?」

「勇者のLV上げですか?」

「ええ、過去の勇者は魔王に挑む前にレベル上げなる行為を行ったと聞いたことがあるわ。その大小がスキルの強弱に繋がるならケンゴちゃんが言っていることと繋がるわ」

「恐らく一緒だと思いますよ。LVはスキルだけではなくその人自体にもありますし今代の勇者もLV上げがまだだと言っていましたから」

「私達にもレベルがあるの?それはスキルとは別なのかしら?」

「ちょっと待て、貴様は勇者と面識があるのか?勇者は召喚した帝国が保護しているはずだが」

「そうですね、スキルとは別にその人其々にLVがありますよ。それと勇者に関してですが今回の戦争に来ていましたから面識があるだけです」

「どういうことだ?私はそんな話は聞いていないぞ?」

「今初めて言いましたからね。勇者は一応私達の方で保護しています。それとこれは言おうと思っていたのですが今回の戦争は恐らく勇者主導で行われていますよ」

「なんだと!?」

「ケンゴちゃん、それはいったいどういうことなの?」


俺のその言葉にレルドとカズコちゃんは食い入るようにこちらに問い詰めてきた。


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