異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都帰還

早朝俺達はなんとか時間通りに転移門を用意することができた。

あの後結構大変だった。

急にあの数のアンデットを拠点に収納できる訳もなく、拠点の地下の拡張とアンデットの移送を夜通し同時進行で行った。

漸くアンデットの移送が終わったかと思うと急ぎアルバートを王都まで連れて行って王都からナミラ平原を繋ぐ調整が早朝ギリギリまでかかった。

どうやら転移門は一度決めたポイントを変更すると少し手間がかかるようだ。

これは数を用意しないと後々面倒だな……

それにしてもみんな俺が早朝までと相談なしに急に時間を決めてしまったのに誰も文句も言わずに対応してくれた。

これは後でみんなに何かお礼をしないと申し訳がないな。


「それで、貴様は私にこれを潜れと言うのか?」


ん?何か問題でもあるのか?折角用意したのに。


「はい、もう王都前に繋いであるので直ぐに王都に移動できますよ?」

「本当だろうな?地獄に繋がっているとか言わないよな?」


ああ、なんでさっきから門を潜らないのかと思ったら見た目に躊躇していたのか。

確かに確実に問題ないとわかっている俺ですら躊躇する外観だ。

王都の方に設置した外観は普通の枠だったのに……

誰だこんな門作ったの、センスを疑うぞ。

取り敢えず皆躊躇しているし俺が入ってみせるか。

俺が転移門を潜ろうと近づいて行くとすぐに待ったが掛かった。


「ケンゴ様お待ちください、また一人で先に行くつもりですか?」

「いや門を潜ったらみんなを待っているつもりだが……」

「それでもです。先にどんな危険が待っているかもわからない場所にケンゴ様が最初に行く必要はありません。私が行きます」


そうか?移動だけだしエレナが言うほど気にしなくていいと思うが……

それにお前が止めたせいでレルド達が更に門を潜るのを躊躇っているぞ。

これもう完全に王都に行くと思っていないだろ。

取り敢えず誰か一人行かないと始まらないからさっさと行くぞ。

俺はそうエレナを急かしながら王都へと移動した。

エレナの後に転移門を潜るとさっき俺がアルバートと共に設置した場所へと出た。

もちろん何も問題はない。

当たり前だ、さっきアルバートと咄嗟に決めた場所だから待ち伏せするならマリアみたいな予知スキル持ちじゃないと不可能だ。

俺達が潜ったの確認し安心したのか転移門から続々とレルド率いる兵士達が出てきた。


「おお、まさか本当に王都まで一瞬で移動できるとは……」


レルド達は周囲を見渡し本当に王都の前まで移動できたことに驚いている。


「この魔道具は素晴らしいな。譲る気はないか?」

「私達もまだ一対しか持ってないんですよ。ですが懇意にして頂けたらいずれ用意しますよ」

「そうか、それは期待しておこう」


レルドはその返事に満足したのか頷きながら王都に帰還する兵士達が全員転移門を潜り終えるのを待った。


王都に到着して一番驚いたのはあんなに活気があった王都内が今は閑散としていて外を歩いている人間も疎らにしかいないということだ。

やはりあれから帝国のアンデット軍が王国民を虐殺しながら王都に向かっているとの情報が入り殆どの人が逃げ出したのだろう。

ナミラ平原の決戦も敗戦濃厚と事前に噂があったし逆になんで残っている人がいるのかが不思議だ。


「各員、王都内をくまなく調査しろ。この状況だ治安の確認・維持を優先しろ。その後変化した場所や気になる場所があれば確認し報告しろ。陛下が帰還するまでに元の王都に戻すぞ」

「「「了解!!」」」


そう兵士達は返事を返すとあらかじめ決めていたかのように各自王都内に散っていった。

だが残っている人員の確認やその人達の衣食住の確認とかしなくて良いのだろうか?


「王都内に残っている人の確認や状態とかは確認しなくていいんですか?」

「それは大丈夫だ。見て分からないか?王都から人が避難し始めて一週間ぐらいだが目立った破損や争いの痕跡すら見受けられない。普通急に多くの人間がいなくなれば犯罪が横行し火災などが広がり目に見えて衰退していく。だが現状は人が減って閑散としているだけだ。これは誰かが王に代わり王都の治安を維持している人間がいるはずだ」


そうなのか?パッと見た感じは全然分からなかったが……やはりいつも自分が暮している王都だから分かる事もあるのだろう。

羨ましいな……俺とか既に自分の拠点内で何が行われているか全然把握していない。

あいつら勝手にどんどん発展させていっているからな。

先日ついに俺の家が出来上がったらしいのだが自信たっぷりに報告してきたあいつらの笑顔が本当に恐ろしい。

俺が最初に作った拠点なのになんでこんなことになってしまったのだろうか……


「さて、私達は取り敢えず冒険者ギルドに向かうが貴様らはどうする?」


俺がまだ見ぬ自分の広すぎる家に絶望しているとレルドがそう声を掛けてきた。


「私達も総司令に同行しますよ。一応王城まで何があるか分かりませんので」


安全な場所まで連れていかないとこの王族達は目を離すと直ぐに捕まる気がする。

第三王女も助けて直ぐにまた捕まったしな。

折角ナミラ平原で勝利できたのだからもうこれ以上面倒事を増やしたくない。

まぁ王族を捕まえる黒の外套が優秀だからしょうが無いのだろうが取り敢えずこの国は王族の守りをもっと強化した方がいいのは間違いない。


「そうか、ではそれまでよろしく頼む」


レルドはそういうと冒険者ギルドの方へ歩き始めた。


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