異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦2日目2

俺達は今気絶した勇者を担ぎ未だゴブ朗達が戦っているであろう戦場に急いで戻っている。

そういえば途中で抜け出して来てしまったが今ゴブ朗達はどんな感じなのだろうか?

劣勢になってなければ良いのだが……


「エレナ、今ゴブ朗達はどんな状況なんだ?」

「私達がこちらに来る前はゴブ朗先輩が少数で本陣に急襲しましたが敵本陣はもぬけの殻でした。ですので今は周囲の人間を狩って数を減らしていると思われます。やはり敵首魁の情報が無いと探して狩ることも難しいようです」


敵の本陣がもぬけの殻?何処に行ったのだろうか?

だがゴブ朗達が問題無いようで良かった。

これでこの戦争は勝ったな。

どうだリン、いけそうか?


「はい!ですがやはりこれだけ多くのアンデットを操るのは難しそうです」


ああ、それは構わない。取り敢えずアンデット達魔物勢が王国の兵士達を襲わなければ良い。

それにしてもあの勇者、リンでも全てのアンデットを操るのは無理だというのにこの数をそれなりに操る事ができるとはさすがは勇者と言うことか。


「それじゃあ打ち合わせ通りに頼むぞ」

「はい、ケンゴ様もお気をつけてください」


俺はそう言うとエスネアート王国側へと転移した。

なるべく中央付近に転移したつもりだがやはり偽装スキルを発動していると誰も気付いてくれないな。

さてレルドはどこら辺にいるかな?


「おい!!右軍に攻めに出ずに前線の維持に務めるように伝えろ!!壁が点在している位置を守れ!!直にあの男が先程みたいに何かやらかす!!全員何があってもいいように備えろ!!」


ああ、あそこにいたのか。

割と前線よりで指示を出しているが総大将が前に出て大丈夫か?

まぁ俺も人のことを言えた口ではないがそれにしても先程何かやらかしただろうか?

記憶にないが……まぁいずれ分かるか。


「総司令少し良いですか?」


俺はレルド側に転移し直してからそう声を掛けた。


「なんだ?今は忙しい!!後に……貴様、何故そこにいる?」


途中から俺だと気付いたのかもの凄く訝しげな表情でこちらを見ている。

こちらは親しげに話しているつもりなのにそんな表情をされると傷つくな。


「少し伝えたいことがあって戻って来たんですよ」

「伝えたいこと?なんだ?碌でもないことだったらぶっ飛ばすぞ」


ん?やけにイライラしているが大丈夫か?


「実はアンデットを操ってる奴から操作権を奪えたのでこれからアンデット達を退かせます」

「なんだと?それは本当か!?」

「ええ、ですから総司令はその後全軍でアンデットは無視して帝国本陣に攻め込んで頂きたいのですが可能でしょうか?」

「それは構わんが操作権を奪ったならそのアンデット達で帝国を攻めることはできないのか?」

「それは現状厳しいですね。少数なら問題無いのですがこの数です。退かせるのが精一杯です。」

「そうか、だがアンデットがいないなら我が軍は帝国相手には決して負けん!!」

「それは頼もしいですね。それともう一つお願いがあります。うちの奴らが帝国本陣を攻めたのですがもぬけの殻でした。恐らく何処かへ移動した可能性が高いのですが我々は敵の首魁の顔がわかりません。ですので総司令に敵の首魁を探して頂きたい」

「帝国の本陣がもぬけの殻だった?それは本当か?」

「ええ、これから私達が帝国を後ろから追い立てますので総司令はそれを逃がさぬようにお願いいたします」

「わかった、貴様の情報を信用しよう。それで魔物はいつ頃いなくなるんだ?」

「心配しなくても直ぐに動きだしますよ。ほら見てください」


俺がそう前方を見るように促すと今までの王国の兵士に襲い掛かっていた魔物が全員動きを止めていた。


「な、なんだ……?」

「動きが止まった、死んだのか?」

「馬鹿か、アンデットだからもう死んでるだろ」

「何かしてくるかもしれない。油断せず壁を守るぞ」


前線の兵士達も突然動きを止めた魔物達にどう動いていいのか分からず戸惑っている。


「さぁ早く指示を出さないと皆混乱してパニックになりますよ」

「わかっている!毎度毎度何かするなら事前に連絡を寄越せ!軍を動かすこっちの身も少しは考えろ!」


だからこうして事前に知らせに来たのだがいったい何が不満なのだろうか?

俺達もさっき勇者を捕まえたからこれ以上早くは報せることは不可能だ。

やはり念話みたいに直ぐに伝える手段がないのは不便だな。

携帯電話が懐かしい。


「あ、それとこれをあげますよ」


俺はそう言うと懐から一つの魔道具を取り出した。


「なんだこれは?」

「私が作った拡声器です。指令を出すのに便利ですよ」

「ほう、やけに貴様らの声が大きいと思っていたがこれが原因か」


いや殆んど地声だ。

拡声器は一部の奴しか装備していないはずだからゴブ朗達の雄叫びがでかすぎるだけだ。


「ええ、その通りです。今回の戦争が終わり帰還したら各所で売り出す予定なのでもし使い勝手が良ければ融通をよろしくお願いします」

「俺に魔道具を試せと言うのか?相変わらずいい度胸だな。だが使い物にならなかった時はそれ相応を取るぞ?」

「ええ、それで構いませんよ」

「そうか」


そう、レルドが言うと俺から視線を外し前を向いた。


「全軍聞け!!目の前の驚異であるアンデット達は我が軍に下った!!以後アンデットが此方を攻撃することはない。この後アンデット達が引いたら帝国本陣に急襲をかける!!全軍準備に取りかかれ!!」

「お…おおおおおおお!!」

「各隊長、各将軍には帝国の後ろから味方が挟撃することを伝えろ!!次の相手は人間だ!!陣形、装備等急ぎ取り替えろ!!」

「了解致しました!」


よしよし、これでこちらは大丈夫そうだ。

それにしても裏方で動き動き回るのは結構大変だな。

俺も予定通りゴブ朗達のところに戻るか。

俺は攻める準備を始めたレルド達を尻目にゴブ朗達の元に転移をした。

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