異世界をスキルブックと共に

気のまま

勇者2

「いやいや、魔王じゃないですよ。何か私が魔王だと思う理由でもあるんですか?」


とういか初対面の人間に魔王かどうか聞くなんてどういう神経しているんだ?


「そもそも俺達が勇者として召喚されてあんたが別口で召喚されたと聞いたときに怪しいと思っていたんだよ。勇者と魔王が同じ世界から召喚されるなんてよくある話しだろ?」


いや初耳だ。いったいどこの世界のお話だろうか?


「いえ、私はそのような話しはあまり聞かないのですが……」

「ゲームだよゲーム。この世界はまんまゲームみたいなもんだろ。ステータスはあるしスキルやLVまである。これがゲームじゃなかったら誰がこんなシステム作ったんだ?生物が進化しただけじゃこんなのあるわけないだろ」


ふむ、確かにあまり深く考えていなかったがその通りだな。

この世界で得たステータスやスキルなどはかなり便利で役に立つ。簡単に人間のできる限界を超えられるしな。

いったい誰が作ったんだろうか?


「あんた自分が魔王だってわかってないのか?」

「急に魔王と言われても正直困りますね。そもそも魔王とはいったいどういう存在なんですか?」

「魔王は魔物や魔族を引き連れて人類を滅ぼそうとする奴だろ。大概は魔法か魔物かどっちかに秀でた王様だな」


ああ、良かった。なら俺は違うな。

人類を滅ぼそうなどそんな恐ろしいこと考えたことすら無い。


「魔王は人類を滅ぼそうとするんですか?そんなこと考えたことないのですが……」

「おいおい、まさかモブに気を使ってそんなこと言ってるんじゃないよな?」

「モブ……ですか?」

「モブを知らないのか?この世界にいる生き物は俺達勇者を引き立てるためのモブにすぎないんだぜ?だからあんたもちゃんと魔王をやってくれないとストーリーが進まないだろ」


モブ?引き立てる?ストーリー?

駄目だ、全然話しが理解出来ない。


「それは何か根拠がある話しなんでしょうか?」

「根拠?俺達がこんなゲームみたいな世界に勇者として召喚されて人類の敵である魔王を倒して元の世界に帰る。こんなことゲーム以外にあるわけないだろ。ちょっと考えれば誰でもわかるぞ」


ふむ、確かにゲームみたいな世界ではあるが全ての生き物をモブと言い切るのはいかがなものだろうか。

俺がこの世界で出会ったゴブ朗達魔物もエレナ達人間もとても個性豊かでとても楽しい奴らだ。

たまに個性が豊か過ぎて暴走するがさすがにそれを蔑ろにされると少し腹が立つな。

まさかそのノリでここまで来たのか?


「そうですか……ですがこの世界の方々も皆良い人ばかりですよ?」

「確かに良い奴は多いがそんなの気にしてたら魔王なんて倒せねぇよ。俺のスキルはアンデットメイカーだ。多くの生物を殺しアンデットに変え最終的に元魔王の魔石をアンデットにして使役し魔王を倒すのが目標だ」


ほうほう、元魔王の魔石にそんな使い方があるのか。

これ俺の召喚でもいけるんじゃないか?


「では今回多くの王国の人間を殺したのは貴方なんですか?」

「ああ、そうだよ。数は力だからな。数が多いと複雑な命令はできないが十分だろ。そもそもあんな化物達が現れなきゃ今頃エスネアート王国も全てアンデットにできてたのにあんただろ?あの化物達の親玉は」

「ええ、一応私の仲間達ですね」

「困るんだよ、今は俺達が魔王を倒す為にLV上げの期間なんだからあんたは魔国の最奥でどっしり構えていてくれよ」


いやこいつは馬鹿なんだろうか?何故俺を倒しに来ると言っているのにそいつが育つのを待たないといけないんだ?

取り敢えずこいつは野放しにしておくと後々面倒なことになりそうだな。

さてこれからどうしようか。

一応勇者は捕獲できているし勇者の護衛は俺を見て戦意を失っているようだ。

取り敢えず勇者だけ気絶させて持って帰るか。


「お?漸く解放してくれる気になったのか?さっきから結構痛いから早くしてくれよ」


俺が勇者を気絶させようと近づくのを勘違いしたのか勇者が足下をアピールしてくる。

しかし気絶さようと決めたのは良いがどうやって気絶させようか?

昔見た漫画みたいに頸椎に打撃を加えるとステータスのせいでそのまま殺してしまいそうだ。

どうしよう……

風魔法で空気量とか調整できないだろうか?

俺は早速試してみるがこれが中々難しい。

風は操れるが成分を弄るのが上手くいかない。

これは要練習だな。

しょうがない、取り敢えず土で棺桶作ってそれにでも入れておくか。

俺が土魔法を発動しようとしたとき俺の気配察知にこちらに急速に近づく気配が引っかかった。

なんだ?また厄介事か?勘弁してくれ。

俺がそちらの方を注視していると……


「ケンゴ様!!大丈夫ですか!?」


ああ、良かったエレナか。

血相を変えてこちらに走って来るが何かあったのだろうか?

後ろを見るとマリアとリンもついてきている。


「ケンゴ様が突然変装を解かれたので何か一大事が起こったのだと判断しゴブ朗先輩と相談の上私達が確認のためこちらに急ぎ駆けつけました。念話もせず勝手な判断で行動してしまい申し訳ありません」


心配そうにエレナがこちらを見ているが大丈夫だ、心配してくれた上での行動だから咎める訳がない。

それに報告なしはいつものことだ。気にするな。


「それにしてもよく俺が偽装を解いたと気がついたな。何か方法でもあるのか?」

「方法ですか?ケンゴ様が変装を解かれた瞬間戦場までケンゴ様のオーラが圧迫感として伝わりましたので特に方法というのはありませんが……」


俺のオーラ?なんだそれ。

身体を確認してみるが特に普段と変わったところなど無い。

まさか皆が怖がっているのは俺の顔じゃなくてそのオーラなのか?

マリアとリンですら俺を見て目を見開き驚いた顔をしている。

なんてことだ……

オーラとかどうしようもないだろ……

俺はあのフランクな神様にまた会えたらどんな文句を言おうか考えながらエレナ達に現状説明始めた。

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