異世界をスキルブックと共に

気のまま

勇者

勇者(仮)を鑑定してみるとやはりスキル欄の一番下にユニークスキルがあった。

スキル名はアンデットメイカーだ。

アンデットメイカー?

確か勇者のスキルはアンデットを操るスキルじゃなかったのか?

メイカーと言うからにはこれはアンデットを作るスキルだろうし他に魔物を操る系のスキルがあるのはずなんだが……

俺が勇者(仮)のスキル欄を詳しく見ているとその中に死霊使いというスキルがあった。

恐らくこれがアンデットを操るスキルなのだろう。

職業も勇者になっているし間違いない。

それにしても前から思っていたが鑑定はスキルは便利なんだが取得する情報量が多すぎる気がする。

俺の目の前に相手のステータスが表示されるのだが名前や職業などわかりやすいのは良いがスキル欄とか見たこともないスキルが多めに並んでいるとぱっと見理解が追いつかない。

戦闘や何か別のことをやりながら鑑定を行い全てを把握するなんて不可能だ。

それに対象を複数鑑定もできない。

二つぐらいなら大丈夫だが複数鑑定をした日には俺の目の前は相手のステータスだらけで前が見えなくなる。

敵とか毎回ゆっくり鑑定している暇などないからどうにか改善できないだろうか?

俺は鑑定の不便さを再確認しながら未だに勇者の足下をどうにかしようとしている一行に声を掛けた。


「その足下はどうやっても崩せないと思いますよ」

「誰だ!!」


俺のその言葉に反応するように勇者の周囲の兵士達が剣を構えこちらを警戒し始めた。

念の為に俺の周囲もぬかるみにしておくか。


「初めまして、私はケンゴと申します。一応その土壁を作った者ですね」

「貴様が王国の魔法使いか!!全員こいつを絶対逃がすな!!」

「了解!!」


そう隊長格らしき男が号令を掛けると俺の周囲を取り囲むように移動し始めた。


「おい!!そんなことよりこの足下をどうにかしろよ!!」

「勇者様少々お待ちを、あの魔法使いをどうにかすれば自ずと魔法も解けるはずです」


うーむ、その男は俺をどうにかすれば魔法は解けるはずと言っているが何か根拠でもあるのだろうか?

地面は既に硬化済みだから恐らく俺が死んだら勇者はずっとそこで足が埋まったままだと思うぞ。


「皆さん落ち着いてください。手荒なことをしたことは謝罪致します。ですが私は勇者様と少しお話がしたくてここに来ました。これ以上暴れなければ何もしないことを約束致しますのでどうか話しを聞いてください」

「黙れ!!敵の言うことを信じる馬鹿が何処にいる!!おい!包囲は終わったか?」

「包囲は完了しました。ですが奴の周りにも先程のぬかるみがあり近づくことができません。」

「なんだと?この中に魔法が使える奴はいないのか?」

「はい、魔法部隊は軍の中衛に全て配置しているのでここにいる人間は全て近接部隊しかいません」

「くそっ!打つ手なしか……少し考える、警戒を怠るな!!」

「了解!!」


だから少し話しを聞いてくれないだろうか?

しょうがないな。


「村上君はこの世界に来てどれくらい経つのかな?」

「あ?おい!!なんで俺が村上だって知ってるんだよ?」


それは鑑定で調べたからだ。


「それは私も実は同じ地球からの転移者でね。勇者について調べていたんだよ」

「どういうことだよ?召喚されたのは俺達だけじゃないのか?」

「一応帝国に召喚されたのは君達だけだよ。私は別口で召喚されてね」


あの神様本当になんで俺だけ別口で召喚したのだろうか?未だに謎だ。


「ってことはあんたも日本人ってことでいいのか?」

「ええ、そうですよ。村上君達も皆日本からなんですか?」

「ああ、そうだ。佐藤達も同じ日本だ。っていうか全員同じ中学だな。俺達は修学旅行のバスに乗ったはずだったんだが気がついたらこの世界に召喚されていた」


ん?気がついたら?

こいつら神様に会っていないのか?


「私は地球では死んでしまいまして、村上君達同様に気がついたらこの世界に来ていたんですよ。ですがその時誰かに会った気がするのですが村上君達は転移するときに誰とも会いませんでしたか?」

「会ってないな、佐藤達もそんなこと言ってなかったしあんたの気のせいじゃないのか?」


いいや、あんなフランクな神様が気のせいな訳がない。

こいつらは神様に会ってないのか、それとも記憶がないのかどっちだろうか?

いずれ他の勇者にも確認したいところだな。

一応ユニークスキルもあるし俺の『健康で丈夫な身体』みたいに表示されないスキルもあるのかもしれない。

俺がそう疑問に思っていると村上君が突然兜を脱ぎだした。


「それにしてもあんたは日本人に全然見えないな。やっぱり一回死んだから見た目が変わったのか?」


日本人に見えない?

おかしいな、何度か水面や街中のガラスに移った自分を見ているが黒髪黒目で日本にいたときと変わっていない気がするが……

ああ、偽装スキルのせいか。

他の人にどう見えているかは分からないがこの世界では恐らく俺は平凡な顔に見えているはずだ。

これは失敗したな。

折角の同郷との対面だ、村上君も勇者以外の日本人の顔も見たいだろう。

俺はそう決めると久しぶりに偽装スキルを解除した。


「ひっ!」

「あ、あああ……」


解除した瞬間周囲の雰囲気が一変した……気がする。

俺自身は何も変わった気がしないのだが周囲を見れば一目瞭然だ。

先程まで俺を包囲していた兵士達が尻餅をついて悲鳴を上げたりなんとか立っている兵士も剣を構える手を震わせながら怯えた目でこちらを見始めた。

そんなに俺の顔が恐ろしいのだろうか?


「ちっ!!そういうことかよ」


村上君が険しい顔でこちらを見ているが何かわかったのだろうか?


「そのオーラに圧迫感、あんたが今の魔王なんだろ?」


は?何を言っているんだこいつは。

俺は何でそんな結論に至ったのか疑問に思いながらこちらを睨んでくる勇者と会話を続けた。


「異世界をスキルブックと共に」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー27545

    折角の剣が無駄になるぞ
    → 駄目になるぞ

    1
コメントを書く