異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦2日目

ゴブ朗の掛け声と共に戦闘を開始した俺達は昨日同様にアンデットの集団と接敵した。


《各隊長を主軸に戦線を広げろ!!主様は隙があれば手を出してくるぞ!!油断するな!!》


おいおい、注意を向ける相手が違うぞ。

まるで俺が敵じゃなくてお前達の隙を狙ってるように聞こえるじゃないか。

まぁあながち間違ってはいないが。

それにしても今日のゴブ朗達は凄いな。

今俺の目の前には信じられない光景が繰り広げられていた。

昨日は主要メンバーがアンデット相手にかなり優勢に戦闘を行っていたのだが今日は虐殺と言ってもおかしくない程の無双っぷりを見せている。

側面もそれに続くメンバーが堅実に固めて戦線を維持しているし、後方もマーリン等の魔法部隊が回り込んでくる魔物を牽制し近づけない様にしている。

ぐぬぬ……これだと本当に俺の手を出す隙がないかもしれない。

さて、どうしようか。


「おい!ゴブ朗!!どっちが多く敵を倒せるか勝負しようぜ!!」

《馬鹿が、これは遊びではないぞ。だが結果として俺のほうが討伐数が多くなることは目に見えているがな》

「はっ!言うじゃねぇか!!面白くなってきたな!!」


そうはいうとゴブ朗とエッジは他より一際多く周囲の魔物を倒していく。

まずい……このままだと本当に出番がなくなってしまう。

取り敢えず、この調子だと魔力も余りそうだから右軍と左軍の補助をするか。

俺がそう決めると両軍の最戦線の各所に壁を複数展開し始めた。

なるべく味方に被害が出ないように展開したつもりだが王国軍は突然現れた壁に驚いている様子が見える。

申し訳ない。

だが冒険者だろうか、直ぐに壁を利用し魔物達を牽制し始めている。

良かった、問題は無さそうだ。

これでもし昨日同様に投石が来ても隠れる壁があるから被害も減るだろう。

それに自分の魔法が何処まで遠くに展開できるか分からなかったので実験がてらに壁を展開したのだが予想以上に遠くまで展開できたな。

これ俺の視界に入れば土魔法で捕獲できるんじゃないか?

俺は勇者をゴブ朗達より先に捕獲するために戦場をくまなく見渡すがやはりアンデットが目立つ分中々な勇者っぽい奴を見つけることができない。

そもそも勇者っぽい奴ってどんな奴だ?

エッジ達にもう少し勇者の風貌を詳しく聞いておけば良かったな。

俺が勇者を探している間に既にゴブ朗達は魔物の集団を抜けようとしていた。

本日の目標は勇者の発見、捕獲だからこのまま敵本陣に進軍する予定だ。

だが予想より遥かにゴブ朗達が強くなって予定より早く魔物の集団を抜けてしまったな。

このまま敵本陣に突っ込んだら後ろから囲まれるかレルドの方に大多数の魔物が向かってしまうだろう。

ここが俺の活躍場か、手を出すなと言っておきながらゴブ朗は爪が甘い、本当にしょうがない奴だな。

俺がそう思いながら土魔法を展開しようとすると……


《ポチ、うさ吉予定通りここは任せたぞ》

《任せろ》《了解したよ》


予定通り?いったい何の事だ?聞いていないぞ。

そう俺が疑問い思っているとゴブ朗達が二手に分かれた。

二手に分かれた?少ない人数なのに更に分かれるのか?

どうやらポチとうさ吉が部隊の大部分を連れゴブ朗達の後方を守るようだ。

確かにこれでゴブ朗達は大丈夫かも知れないがレルドの方はどうするんだ?魔物が向かっていくぞ?


《この軍のトップは主様と戦線の維持を約束したのだろう?この程度で崩壊するような戦線であれば後で笑ってやろう》


確かに俺達が本陣に攻め込むことによって投石とかは少なくなっているが大丈夫だろうか?

一応戦線が崩壊するようなら転移で戻って補助しよう。

それにゴブ朗達がもうすぐ本陣へと急襲する。

敵はまさかあのアンデット軍を抜いてくるような奴らがいるとは思っていなかったのか浮き足立っているように見える。


《熊五郎、リン盛大にぶちかませ》


そのゴブ朗の合図と共に熊五郎とリンが威嚇の声を上げた。


「《がああああああ!!!》」


昨日同様に拡声器で強化された2人の声は戦場を駆け巡る。

威嚇はアンデット達には少し動きを阻害する程度にしか効かなかったが今回は生きた人間だ。

浮き足立っていた帝国の兵士達の中には尻餅をついたり逃げだそうとする者まで見える。

わかる、わかるぞその気持ち。

あの熊五郎の威嚇は本当に恐ろしいからな。

更に今回は進化して強力になっているしリンも協力している。

逃げ出したくなる気持ちもわかる。

それに俺は後ろから見ているが帝国からしたらあの風貌のゴブ朗達が自分達を殺すために向かってきているんだろ?

俺だったら威嚇がなくても逃げ出す自信がある。

ゴブ朗達は自分たちの風貌が怖いという自覚をそろそろ持った方が良いと思う。

そうこうしているうちにゴブ朗達が本陣と接敵した。

エッジがあまり強い奴はいないと言っていたが……これは酷いな。

ゴブ朗達の周辺は既に戦闘という体を取っていない。

戦意を喪失した人間を狩り取っているだけだ。

これは何処の地獄絵図だろうか?

ゴブ朗達は一人も逃すまいと戦意を喪失した人間ですら狩っていっている。

この阿鼻叫喚の平原にはもはや逃げ延びるか死ぬかの二択しか残っていないように見える。

見ていられないな……

エッジの話だとこの世界にはまだまだ強い奴が存在するらしいがこのゴブ朗達より本当に強いのだろうか?

想像できない。

俺がゴブ朗達に襲われている帝国の兵士を哀れんでいると気配察知に軍を抜け逃げ出す集団が引っかかった。

ん?確かに逃げ出したくなる気持ちはわからなくはないがそこからゴブ朗達までまだかなり距離があるぞ?

ゴブ朗達は問題なさそうだし、少し調べてみるか。

俺はスカイホーク達に集団の上に向かうよう指示しながらその集団の動向を探った。

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コメント

  • ノベルバユーザー201082

    楽しみにしてます!頑張ってください!!

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