異世界をスキルブックと共に

気のまま

エッジとマーリンとリアム

「勇者についてもっと詳しく話せ?って言われても俺はそんなに詳しく知らねぇぞ?」

「私も似たようなものね」


おいおい、人数とか年齢とか色々あるだろうにそれもわからないのか?


「帝国に召喚された勇者は合計6人程いるわ、年齢は成人するかしないかってところかしら」


成人?さっきエッジはガキだって言っていなかったか?


「ケンゴ様、この世界の成人年齢は15歳です」


ああ、そうだったのか。ついつい地球基準で考えてしまうクセが中々抜けないな。

エレナ、教えてくれて有り難う。


「この世界?まぁいいがあのガキ単体だとそんなに強くないぞ。何せ数千年ぶりの勇者様だ、期待して手合わせに行ったらただの青臭いガキどもがいただけだったな」

「あらエッジ、いつの間にそんなことをしていたのかしら?気づかなかったわ」

「お前らが買い物に出ている間にちょちょっとな。まぁ中には強いのもいたかも知れないが全体を見るとやはり弱いと言うのが俺の見立てだ」


ほうほう、勇者は弱いのか。

だが俺もまだスキルに馴れていなかった時は弱かった気がするしあまり当てにはできないな。

それに勇者は帝国で保護されていると聞いていたがこいつは手合わせのためにわざわざ勇者達がいる場所にまで侵入したのだろうか?

恐ろしい行動力だな。


「勇者のスキルについて分かっているのはこの戦争に付いてきている奴のだけだ。あいつはアンデットを操る」


それが不思議だったんだよな。

今回のアンデットを作ったのは勇者じゃないのか?


「どういうことかしら?アンデットになるのは王国が魔族と手を結び魔王の手先になったからと聞いているわ。実際に私は今回の従軍で死体からアンデットに生まれ変わる姿を見たわよ」


ん?お互い持っている情報に誤差があるな。

魔王の手先になったら人間はアンデットになるのか?


「私はそう聞いているわ、普通は死んだら終わりなんだけど魔王と契約したらアンデットとして甦るらしいわよ。過去の文献にも似たような記述もあるわ」


それは初めて聞いたな。

だけどおかしいな、王国民が魔王と契約した話は聞いていない。

いままで俺達が殺した人達は問題なく死んでいたし、俺が召喚に使わなくても第三王女の護衛達等はアンデットにはなっていない。

どういうことだ?

勇者以外にも俺のスキルに似たユニークスキル持ちがいるのだろうか?

これ以上王国側の被害を減らすためにも死体からアンデットを作るスキルホルダーは排除しておきたい。

勇者のスキルが本当にアンデットを操るものならそれだけで殆んど無力化できるしな。

取り敢えず怪しい奴がいたら鑑定して回るか。


「それで俺達は何をすればいい?」


ああ、そうだったな。

現状戦争は続いているから明日はこちら側の戦力として戦ってほしい。

できるか?


「ああ、それは問題ねぇが俺達の顔は帝国じゃ結構知れ渡ってるから裏切りだとバレると帝国の知り合いがめんどうに巻き込まれる可能性がある。だからそのケンゴ様の軍が着けてる仮面を貸して貰えると助かる。あと武器もだな」


それは構わないぞ、そもそも武器は生前の物がある。

だが仮面はどうだろうか?そもそもあの仮面は誰の提案で作ったんだ?


「あれは私が作りました」


俺がそう疑問に思っていると横からエレナが手を上げながら自己申告してきた。

あんな不気味な仮面を作ったのはお前か。


「はい、私達の中には生前犯罪を犯した者もいますのでそのことがケンゴ様が外で活動する際に邪魔にならぬよう隠しておこうかと思いまして仮面を作りました」


おお、そうだったのか。

確かに被害者がいる街などではいくら更生したからと言って犯罪者が外を平然と闊歩しているのは心証的に良くないかもしれないな。

さすがエレナだ。不気味な仮面とか言ってごめん。

それで予備はあるのか?


「はい、いつケンゴ様が仲間を増やしてもいいように多めに作ってあります。各自のオリジナルの仮面を作るに時間が掛かりますが……」


ああ、それは大丈夫だ。

取り敢えず今回の戦争で使えれば良い。


「ではエッジとマーリン、それとリアムの分も必要でしょうか?」


リアム?どうだろうか?先程から大人しいが戦闘に参加するのだろうか?


「メッちゃん……ムッちゃん……」


ん?どうした?元気ががないぞ?

生前はあんなに元気な明るい子だったのに。


「メッちゃんとムッちゃんがいなくなっちゃった……」


メルドとムランがいなくなった?

リアムの契約スキルで出していた奴だよな?

恐らくリアムの死か俺の召喚スキルでリセットされてしまったのだろう。

そもそも契約はどうやって行っていたんだ?


「契約は魔石とお話ししてお互いに納得したら結べるんだよ。」


そうか、それでその魔石は無くなるのか?

召喚スキルはその魔石を元に生前の姿や記憶を再現しているから無くなるとは考え辛い。


「契約した魔石は肌身離さずに持たないと契約の効力が発揮できないからいつも持ってたんだけど……」


ああ、それなら大丈夫だ。

リアムに関しても全て回収しているから恐らく一緒に回収できているはずだ。ゴブ朗探せるか?


《少し待っていろ》


そう言ってゴブ朗は何処かへと消えていったが直ぐに何やら装飾品を持って戻ってきた。


《恐らくこれのことだろう》

「メッちゃん!!ムッちゃん!!」


リアムはその装飾品が見えた瞬間ゴブ朗から渡された装飾品を大事そうに胸の中へと抱えた。

余程大事な人達だったのだろう。

そう言えば魔石があるなら恐らく俺が召喚することができるがどうする?


「ほ、本当!?メッちゃんとムッちゃんが生き返るの!?」


ああ、本当だ。


「ちょ、ちょっと待っててね!!」


俺のその言葉に突然リアムが魔石と話し込みだした。


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