異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦初日後

「初日の被害は左軍が半壊、中央軍が3割、右軍が無しか。ガスタール将軍、奴の力そんなに凄かったのか?」

「ええ、私達は初日一切軍を動かしていませんが彼らは少数で帝国軍を圧倒していました。無数の魔法に投石、さらに数多くの魔物を従え1人の被害も出さずに戦場を支配するなど異常としか言い様がありません。さらに報告では黒い魔力を纏う部隊も問題なく撃退している聞いております。」

「そうか、やはり奴らが今回の戦争の勝利の鍵か、初日に右軍に配置したのは失敗したな。妹の見る目が正しかったようだ」

「いえ、初日は敵の主力がどこに有るかも不明だったので何処に配置していても戦果はあまり変わらなかったと思われます。問題は明日以降彼らをどのように使っていくかが勝負の分かれ目になりそうです」

「そうだな、そのまま中央に配置しで不利な場所に行って貰うのもいいが奴らの考えもあるだろう。一度意見を聞いた方がいいな」

「ええ、私もそう思います。ちょうどキャンプで待機している筈ですから呼びに向かわせましょう」

「ああ、頼む」



あれからマーリン達を回収した後、俺達は引き続き帝国の魔物の殲滅に当たった。

ポチ達は俺が戻るまでちゃんと戦線の維持を行っており、俺の帰還と共に再び攻勢に出始めた。

結局エッジ達以降強そうな奴も現れず日が暮れるまで敵左軍の魔物を狩り続けた結果、敵左軍にはもう殆ど魔物が残っていない状態になるまで削る事ができた。

日暮れの撤退の合図が出た時に戦況を見るに明日は俺達が再び敵左軍を殲滅に回るより被害のあった中央か左軍に回った方が効率が良さそうだ。

敵を削っていればいずれ勇者や第一王女やらが出てくるだろうし焦らずやっていく予定だ。

それにしても王国は右軍以外はかなりの被害が出たな。

俺達は先程までキャンプ内の怪我人の治療に当たっていた。

ゴブリンヒーラー達は身重なので軽傷者の治療に当たらせている。

やはりアンデット相手だと恐怖心も強いのか戦闘前にサラが上げた士気もかなり下がっているように見える。

死体に関しても殺されたら殆んど相手に回収されたらしく家族の元に帰る事もできないのも要因の一つだろう。

この調子で明日も戦えるのだろうか?

俺は取り敢えずこの後はエッジ達を召喚して情報を確認を行う予定だ。

結構強かったし中間拠点の守衛長とは違いある程度は情報を持っていることが期待できる。

マーリンは勇者について何か知っていそうだしな。

俺は早速召喚をする為に拠点に戻ろうとしたがこちらに駆け寄る気配を察知した。

何か用があるのだろうか?


「失礼します!ケンゴ殿に伝令です!中央の天幕にて総司令閣下がお話を聞きたいと申しております。御忙しいと存じますが御足労頂けないでしょうか?」


レルドが俺に話?

明日の予定だろうか?

まぁ行ってみればわかるか。

俺は拠点に戻るのを止め中央の天幕へと向かった。



俺が天幕を潜ると中に3人の男が机に地図を広げ何やら話し合っていた。

作戦会議だろうか?取り敢えず声を掛けてみよう。


「お疲れ様です」

「おお、やっときたか。此方に座れ。今日の戦果大変大義であった」


そうレルドに声をかけられ着席を促されるがそこにはガスタール将軍ともう一人見たことのない男が座っていた。

恐らくこの面子から見ても地位の高い人間だと予想されるが誰だろうか?


「ああ、すまない。紹介が遅れたな。この男はこの戦争の左軍を取り纏めているカルロス将軍だ。覚えておいてくれ」

「カルロスだ。君の今日の武勇は聞いてる。本当に見た目は平凡そうな男だな。クリス様の慧眼には恐れ入る」

「初めまして、ケンゴと言います。以後お見知りおきをお願いします」

「さて紹介も終わったことだし本題だ。ケンゴ、貴様明日はどう動くつもりだ?」


ん?俺の動き?それを決めるのがレルド達の仕事じゃないのか?


「本日敵左軍の魔物は粗方倒したので出来れば中央か左軍よりに配置して頂ければその都度臨機応変に動きますよ」

「ふむ、そうか。貴様は帝国の魔物程度であれば問題なく殲滅することが出来るのか?」

「うちの仲間達が優秀なんで魔物に限らず人間でもある程度であれば問題なく倒すことが出来ます。ですがうちの問題は人数が帝国の兵に比べ圧倒的に少ないことです。数日なら平気でしょうが連日戦闘を行い疲弊した場合は本日のような戦果を出すのは厳しいと思います」


出来れば早めに勇者と第一王女を見つけ回収し一気に魔法で殲滅を行いたい。

今日見た感じだと土魔法で広範囲に魔物を沈め硬化すれば殆ど戦闘不能に出来る筈だ。

硬化の難点は硬すぎるせいで深めで捕獲した場合大体どこかしらの骨が折れてしまうことだな。身内がいた場合使い辛い。


「確かにその通りだな。短期決戦か……お前達いけそうか?」

「私の軍は無傷なので士気次第では可能です」

「私の軍は現状戦線を維持するのが限界だ」

「ふむ、私の軍も本日の戦闘で士気が低い、やはり厳しいか……」

「別に焦って短期決戦にする必要はありませんよ。言っていませんでしたがこの間帝国の兵糧を少し強奪したので逆に長引けば帝国兵の士気は下がっていくと思いますよ」

「それは本当か?黙っていた事は気に食わんがそれは朗報だな。では明日からは貴様達を主軸に被害を減らしながら戦線を維持するのが得策か」


うーむ、主軸か……あまり頼られても困るが第三王女と勝利に導く約束をしているし多少はしょうがないか。


「なんだその顔は?そうだな、貴様達は援軍だったな。主攻にする条件として無事勝利できたら貴様の望む物を用意してやろう」


おお、それは有り難い。

ガスタール将軍にもお願いしていたがレルドにも頼んでいたら間違いないだろう。


「では帝国の魔物の魔石が欲しいですね。私達が倒した者はもちろん他で倒した者の魔石も譲って欲しいです」

「その程度でいいのか?」

「ええ、あと出来れば今後勇者や第一王女が出てくる可能性があると思うのですがなるべく私達の、特に私の見える位置に誘導して頂きたい」

「ふむ、わかった。必ずその条件は守ろう。その代わり貴様らは明日から中央軍の第一陣を任せるぞ?」

「ええ、任されました。王女様との約束もありますし必ずエスネアート王国を勝利に導きますよ」


俺はそう言うと一人席を立ち天幕を後にした。


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