異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦8

「リアム!!エッジがやられたわ!!一度退くわよ!!」

「メルドだ。エッジの馬鹿がやられただと?本当か?」

「ええ、だから一旦本陣まで戻るわよ!!」

「退くのはいいがタイミングが悪い、見てみろムランの奴が嬢ちゃんの馬鹿でかい氷の槍に刺されて動けない。知っているだろ?俺達契約者同士が一定距離しか離れられないのを。ムランを回収しない限り俺達はここを離れられねーよ」

「だったら私が加勢するからさっさとあの子達をやって逃げるわよ」

「だが手を出さないと約束……」

「そんなこと言ってる余裕はないわ。早くしないとあいつが来るわ」

「もう来てるぞ?」


俺のその言葉に反応するように2人は示し合わせたように飛び退きこちらを警戒し始めた。


「くっ!!いったいいつの間に!!エッジは……そう死んだのね」

「そうだな、確認してないが恐らく死んでいると思うぞ」

「その顔は本当みたいだな。おい、マーリンどうするんだ?」

「逃げるのはもう無理そうね。メルド前衛いけるかしら?」

「どうだろうか?相手の見た目は全然弱そうなんだがこいつがエッジをやったんだよな?だったらリアムの身体じゃ荷が重い」

「そうよね、けどなんとかしないと私達はここで死ぬわ」

「そいつはごめんだねっと」


そうメルドが言うと瞬時に身を屈めこちらに突進してきた。

ああ、こいつも近接系か。本当に勘弁してほしい。

俺は近づかれないように自信の周囲をぬかるみへと変える。

さあ、いつでも入ってきて良いぞ。

だがやはり直前で止まり地面の様子を伺っている。


「おいマーリン、この地面どうにか出来ないのか?」

「この男の魔法が私よりLVが高いみたいで干渉できないみたいなのよ」

「お前よりLVが高いとかそれだけで異常だな。どうする?」

「このままぬかるみの中心から出て来なければ良いんだけど……」

「相手も馬鹿じゃないんだからそりゃ無理だろ」

「そうよね」

「倒すのも無理、逃げるのも無理、だったらやることは一つだな」

「何をするつもりなのかしら?」

「あいつの仲間、嬢ちゃん達を盾に脅すしかないだろ?」


そう言葉を言い終わるとメルドは180度回転しムランと戦っているマリア達の方へ走り始めた。

マーリンはこちらがメルドを追わないよう牽制出来るように見張っている。

だけど見張ってるだけじゃ意味がないと思うぞ?

マリア、そっちにメルドが行ったけどどうにかなりそうか?


「いえ、厳しいと思います。現状ムランという鎧の足止めだけで手一杯なのでメルドが合流したら恐らく足止めすら出来なくなります」


そうか、なら俺がなんとかしないといけないな。

俺はそうマリアに確認をとると、合流を防ぐ為にメルドの側へと転移をし、先程のエッジと同じ様に吹き飛ばそうとメルドに拳を叩きつけた。

だがどうやって察知したのか当たる直前で紙一重で避けられてしまった。

見た目が小さい女の子だから顔面を避けたのがマズかったか?

そう疑問に思っている間にメルドが後ろに飛び退き距離を取られてしまう。


「おいマーリン、これはいったいどういうことだ?俺は幻でも見ているのか?」

「私も何が起こったのか分からないわ。目を放したつもりはないのだけれど……」

「だが奴は確かに俺に攻撃してきた。何かタネがあるんだろうが分からないうちは離れているからといって警戒を怠るなよ」

「分かっているわ」

「それにしてもこれで嬢ちゃん達を人質に取るのも難しくなったな。仕方ない、おいマーリンお前だけでも逃げろ」

「でもそれじゃあ貴方が……」

「俺はムランを抑えられているから逃げられん。ならお前だけでも本陣に戻って情報を伝えるべきだ」

「……ええ、わかったわ」


そういうとマーリンは俺から逃げるようにその場を走り去った。

おいおい、土魔法の厄介さは自分が一番良く知っているからマーリンを逃がす訳にはいかないんだがな。

取り敢えず後ろの氷の槍が刺さっている鎧を先にどうにかするか。

俺は走り去るマーリンを横目にムランを土魔法で全て覆った。


「ムラン……なぁアンタ無茶な願いだとは思うがリアムの命だけは見逃してやっちゃあくれないか?まだリアムは幼い、俺達が契約でお願いしていることをしているに過ぎないんだ。見逃してくれるなら俺達はアンタの為になんでもすることを約束する。」


見逃す?お前らは俺達を殺そうとしたのにか?

それに約束をしたからといって後で守られる確証がない。

情報も欲しいし申し訳ないがお前達はここで死んでもらう。


「そうか、ならこちらも死ぬわけには行かないから全力で行かせてもらう!!」


そうメルドがいうともの凄い速度でこちらに迫ってきた。


「ケンゴ様!!拳はフェイントです。右後ろ回し蹴りが来ます」


おお、それは当たったら痛そうだ。

だが大丈夫だ。

いくら素早かろうが対象が1人ならやりようはいくらでもある。

俺はそうマリアにそう返すと俺とメルドの間に一つの大きな壁を作った。

メルドはその壁に一瞬驚いたようだが直ぐに迂回しようと方向転換する。

だがその瞬間目の前にも同じように壁が出現した。

急ぎ他の方へと視界を向けるが次々にメルドを囲むように壁が出現してくる。

最後に囲いの上を閉じ地面を硬化すれば終わりだ。

後は少しずつ囲いを狭めれば死ぬだろう。

それがなくても酸素不足で死ぬかな?

中から壁を殴りつける音がするが無駄な努力だ。

熊五郎でも破壊が不可能な壁だ。

あんな小さな子供には無理だろう。

さて、あとはマーリンだけだな。

俺はマリアとリンにポチたちと合流し魔物の殲滅に当たるように指示し逃げているであろうマーリンの元へと転移した。

するといきなり目の前が大きな音を立て爆発した。

爆発!?

俺はその爆発に吹き飛ばされないように急ぎ腕で顔を覆い身構える。

なんでこんな平原で爆発があるんだ?耳が痛い。


「邪魔をするな!!」


そう声がする方を見るとマーリンが煙の中土魔法を発動して誰かを攻撃しようとしていた。

その魔法を追うように視線を動かすとその先にはゴブ朗とエレナがおり、ゴブ朗が地面から突き出して来る槍を悉く切り落としている。

ああ、俺がショートワープで移動した後も逃げたマーリンを追っていたのか。


「貴方達はケンゴ様の姿と能力を見てしまいました。その情報を敵に渡すわけにはいきません。」


そういうと再びマリアが火魔法を打ち込み、ゴブ朗が少しづつ距離を詰めてきている。

そういえばいつの間にか纏っていた黒い魔力がなくなっているな。


「ぐっ、魔族の手先風情が!!そんなに人を苦しめるのが楽しいか!?」


魔族の手先?どういうことだ?

だがマーリンが次の言葉を放つ前にゴブ朗の剣がその首を落とした。



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