異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦6

「リン!大丈夫?」

「うん、ちょっと油断した」


リンはそう言うとリアムを警戒しながら収納袋からポーションを出し一気に飲み干した。


「ああ、そんなに警戒しないでいいぞ。俺はリアムさえ無事なら何もしないからな。さっきも言ったがムランの相手を頼む。最近張りのある相手が中々いないんだ」

「くっ、マリアどうする?2人を相手にするとたぶん私達だけじゃ勝てない」

「そうね、この鎧も動きを止める程度は私でも出来るけどやはり決め手に欠けるわ」

「ケンゴ様に頼るのは論外として他の人に助けを要求する?」

「ですが他の者もケンゴ様の元、魔物の殲滅に当たっているわ。まだ弱い人達のフォローも行っているから救援は厳しいと思うわ。私達は私達の出来る事をしましょう。有り難いことにあの子は手を出す気は本当にないようだから」

「わかった。じゃあいつも通り連携であの鎧をやるよ。最低でも足止め、出来れば弱らせないとゴブ朗先輩に怒られちゃう」

「わかったわ、けど無理をしちゃ駄目よ?」

「わかってるよ!!」


そういうとリンは再び鎧に向かって突撃していった。




「おい、見えてるか?あっちの嬢ちゃん達大分厳しそうじゃないか?」

《大丈夫だ、俺は任せられない奴には仕事は振らん。お前もあの魔法使いは気にしなくていいのか?エレナは火力だけは中々だぞ?》

「ん?ああ、マーリンか。あいつは大丈夫だ。俺とやってもあいつに一撃は中々入れられないほど硬いからな。あいつに簡単に一撃入れれるなら帝国で5本の指に入れるぞ」

《ほう、なら俺らの戦力確認にちょうどいいな。十分に役に立って貰おう》


そういうとゴブ朗はエッジに向かい斬りかかった。

相変わらずこの2人会話が成り立っている気がする。

何か通じる物でもあるのだろうか?

エッジはそれを受け返す刀でゴブ朗の首を取りに来るがゴブ朗に剣と鎧で綺麗に受け流されている。


「ッチ、これで何回目だ?その剣と鎧硬すぎんだろ。素材はいったい何だよ?傷一つついてねーじゃねーか」

《素材か?ただの土だ。土をここまでの物に作り変えることが出来るのは我が主様をおいて他にいないだろう》

「あ?なんだ?もしかして自慢してんのか?言葉はわからねーが腹が立つな。おい!!マーリン!!リアム!!聞こえてるか?あれを使うぞ!!」


ん?あれ?

何か戦況を変える魔道具でもあるのだろうか?


「あら、いいわね。私もいい加減この女をどうにかしたいと思っていたのよ。見てほら、さっきから火魔法ばかり打ってくるから私の髪の毛が少し燃えちゃったわ」

「あれ?おい、俺は今リアムじゃないぞ?メルドだ。あれって、出発前に配られた奴か?」

「ああそうだ、まだまだ後ろに強そうな奴らもいるし使っちまって問題ないだろ」


そういうとエッジは懐から何か黒い物を取り出した。

あれは……黒の外套が持っていた魔道具か?

俺がそう疑問に思っていると魔道具が発動したのかエッジの身体を何やら黒い靄みたいなものが纏わり付きだした。

ああ、これが例の黒い魔力を纏う集団か。


「おお、話には聞いていたがこりゃあ凄いな」


どういう事だ?以前から使っていたんじゃないのか?


「んじゃ行くぞ?直ぐ死なねーように気合い入れろよ!!」


そうエッジが言葉を発し踏み込んだ瞬間、たった一歩でゴブ朗との距離を詰めてきた。

そのあまりの速さにゴブ朗は驚いたのかエッジの一撃を躱す挙動が遅れてしまいなぎ払うように振るわれた大剣に吹き飛ばされてしまった。


「おいおい、ちゃんと気合いを入れろって言っただろうが、この調子なら直ぐに殺すぞ?」

《ぐっ》


吹き飛ばされた場所でゴブ朗は急ぎ身体を起こそうとするが大剣が当たった左腕付近の骨が砕けているのか上手く身体を起こせないでいる。


「はっ!一発で終わりか?もう少し頑張れよ。それにしても本当にその鎧は凄げーな。全然斬れねーわ」


そう言いながらエッジはゴブ朗に近づいていく。

ああ、駄目だ。


「ゴブ朗先輩に近づくな!!」


そう叫びながらエレナがエッジに向かい火球を打ち込んでくる。


「あらあら、貴方の相手は私よ?無視しないで貰えるかしら?」


その声が聞こえるのと同時にエッジに向かっていた火球は全て地面から突然突き出した壁に阻まれた。

さらにエッジに向かおうとしていたエレナの行動を阻害するように足下からは連続で先程の倍程の土の槍が突き出してくる。


「くっ!!邪魔をするな!!」


マーリンの魔法の発動の速さと規模も先程とは段違いだ。

焦っているせいかエレナにも傷が増えてきた。

おい、ポチ、うさ吉聞こえるな?限界だ。


「エッジ、この魔道具使えないぞ。ムランが強化できん。俺が強化されても意味ないだろ」

「お前も戦えば良いじゃねーか」

「それじゃあ俺がリアムに怒られるだろうが。俺はごめんだね」

「まぁいいか、ムランもあの嬢ちゃん達と良い勝負してるしな。俺らが他の奴ら全部殺っても文句言うなよ?」


エッジはそう話ながら腕を庇っているゴブ朗の前に立った。


《ぐっ!!舐めるな!!》


ゴブ朗が気力を振り絞りもう一方の手で剣を振るうがエッジに簡単に弾かれてしまう。


「もう諦めろ、今回はかなり楽しかった。俺の剣をここまで防ぐ奴なんて初めて見たぞ?名前を聞けねぇーのが惜しいがこれは戦争だ、お前がこの戦場にいたことは忘れねーよ。じゃあな」

「ゴブ朗先輩!!」


エレナの叫びも虚しく次の瞬間ゴブ朗の首に大剣が振り下ろされた。



だがエッジの大剣がゴブ朗の首に届く前に地面から突き出した土の壁が大剣を止めた。


「ああ?おい!マーリン!!邪魔すんな!!」

「あら?私は何もしていないわよ?」

「だったら誰が……おい!奴は何処行った?」


エッジがマーリンから視線を戻すと既にそこにはゴブ朗の姿はなかった。

周囲を探すように見渡すと少し離れた場所に腕を押さえたゴブ朗が座っていた。


《ぐっ、主様すまない……》


ああ、気にするな。よく頑張ったな。今治してやるからもう少し我慢しろ。

俺は回復魔法をゴブ朗に掛けながらゴブ朗の傷の具合を確かめた。


「お前いったいいつの間に……おい、てめぇは誰だ?」


エッジが睨むようにこちらを見ている。

ん?俺か?

俺はこいつらの王様だ。


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