異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦5

その鎧はリアムと呼ばれた女の子の直ぐ目の前の空間を割るように現れ始めていた。

全身を銀色に染め関節部からは何やら黒い靄みたいな物が出ている。

人間じゃないのか?

マリアとリンは突然現れた鎧を警戒している。


「その鎧は……」

「これはね、ムッちゃんだよ!!」

「それにその魔法……貴方は空間魔法が使えるのですか?」

「空間魔法?私の魔法は契約魔法だよ!!」

「契約?そんな魔法聞いたことがないよ?」

「そうだよ!この魔法は私しか使えないよ!私昔から魔石の声が聞こえるから未練がある魔石と契約してその未練を晴らすお手伝いをする代わりに私のお手伝いをして貰ってるんだ。」

「ではその鎧も?」

「そうだよ!ムッちゃんは昔の帝国の隊長さんなんだよ!とっても強いから強い人と沢山戦いたいんだって!だからエッちゃん達と一緒にいるんだけど飽きたからって最近ムッちゃんの相手をしてくれないんだ。さっきの黒い鎧の人か赤い髪の人が強そうだったんだけどお姉ちゃん達も強いんだよね?ムッちゃんと遊んでくれる?」


そうリアムが言うと銀色の鎧がリンに向かって剣を構え突撃した。

鎧は先程同様に剣を叩きつけるようにリンへと振り下ろすが動きの速いリンには当たらない。

そのまま剣を躱したリンは横を抜けるように鎧の胴を斬りつけ鎧の後ろへと移動した。

どうやら土ショートソードの方が鎧よりも硬いらしく鎧の胴にはリンが斬りつけた後がくっきりと残ってた。

鎧がリンの動きに釣られ後ろを向くがその瞬間背中にはマリアが放った氷の槍が突き刺さる。

ミノタウロスの時もそうだったがマリアとリンは身体が大きな相手に対して攻撃手段が似ている。

リンが背中に氷の槍が突き刺さった瞬間相手が怯むのを予測して更に攻撃を加えようとした時……


「リン!!下がって!!」


そのマリアの指示通り弾かれた様に後退したリンを追うように先程と同様に鉄の剣が振り抜かれた。

まさか氷の槍が突き刺さった相手が攻撃してくると思っていなかったのかリンは剣が振り抜かれた様子を驚いた顔で見ている。


「まさかその鎧は痛みを感じないんですか?」

「痛み?どうなのかな?ムッちゃんは昔に死んじゃった人だから感じないかもしれないね!」

「貴方は魔石の声が聞こえるんじゃないんですか?」

「魔石の声は聞こえるよ?だけどムッちゃんはもう契約で生き返っちゃったから声は聞こえないよ?」

「なら意思の疎通はどうするのですか?」

「意思の疎通?そんなのムッちゃんを見てれば大体わかるよ!」

「そうですか、ですが痛みを感じないのは厄介ですね…」

「ねぇマリア、あれ見て」


リンが氷の槍がを背中に突き立てたまま剣を地面から抜き取る鎧を指差している。


「リンどうかしたの?」

「うん、私がさっき斬りつけた傷がなくなってる」


リンのその言葉にマリアは鎧の胴を確認するように視線を向ける。


「本当ね、痛みを感じないうえに回復か再生スキルのようなものを保持しているのでしょう」

「この鎧倒せるのかな?」

「難しいかもしれないわね。相手の攻撃は避ければ問題ないから良いんだけどやっぱり決め手に欠けるわね。リンは何かあの鎧をどうにか出来るスキルは持ってる?」

「ううん、私の戦闘スタイルは多くのスキルを複合して使うけど強いスキルを持っているわけじゃないから……」

「そうよね……どうしましょうか?」


マリアがそう言うと剣を構え直している鎧に向かって再び氷の槍を飛ばし出した。

だが先程とは違い鎧の正面から打ち出しているので殆ど剣で防がれている。

その隙に再びリンが攻撃するために走り出した……が鎧とは別の方向に向かっている。

いったい何処に行くんだ?


「鎧が倒しにくいんだったらまずそれを操っている人間を倒すのが最善だよね!!」


リンがそう言うと戦場の端でこちら笑顔で見学していたリアムに向かい斬りかかった。


「えっ!?私!?あわわわわ、どうしようどうしよう!?メッちゃん助けて!!」


リンの剣がリアムの首に届きそうになった瞬間リアムが身体を反らせ剣を躱し、そのまま斬りかかったリンに対して回転するように回し蹴りを食らわせた。


「くっ」


マリアが鎧に掛かりっきりになっていて予知がないせいか、リンはリアムの蹴りを真面に食らって吹き飛んでいた。


「おいおい、嬢ちゃん。折角ムランが出てきてんだリアムを狙うんじゃなくて彼奴と遊んでやってくれよ」

「ぐっ……貴方はいったい……」

「ああ?俺か?俺はメルドって言う者だ。まぁなんだリアムの子守みたいなもんだな。」


メルド?

どういうことだ?姿形はリアムのままだが人格と雰囲気ががらりと変わっている。

いったいどういう原理なのだろうか?

リンも痛みがあるのか蹴られた場所を庇っているように見える。

本当に俺が手を出さなくても大丈夫なのだろうか?

俺は胸に不安を抱きながらいつでも手が出せるように周囲の戦況を観察し続けた。


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