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気のまま

決戦準備14

翌日、俺は今一昨日作った壁の前に布陣した右翼軍にいる。
どうやら俺達は真ん中の主力から外されたようだ。
壁も作って結構実力も見せたと思うんだが何か理由があるのだろうか?
昨日はあれから拠点に戻り中間拠点襲撃の成果を確認した。
物資に関してはやはり食料関係が多かった。パンや干し芋、干し肉等日持ちする食べ物が多数貯蔵されていた。
我が拠点には時間停止機能付き収納袋があるから食料に関しては困っていなかったが調理をしなくてもそのまま食べれる食料が手に入ったのは大きい。
有事の際には料理している暇などないからな。
それと戦闘関係に関しては帝国の兵隊の強さが単体であればそこまで強い相手ではないことがわかったのと魔物に関して動きが単調だと言うことがわかった。
どうやら魔物は簡単な命令しか受けていないらしく恐らく帝国兵以外の生物を襲うように指示されているだけだ。
エレナ達が戦闘の際に魔法を展開してもそれに意識すら向けず向かってくる事に違和感を感じ調べたらしい。
これで帝国の大部分は只の物理攻撃しかしない思考の停止した魔物だと分かったので決戦時はかなり楽になるだろう。
そして一番の収穫は魔物の魔石を使用して召喚を行ったら生前の人間の状態で復元された事だ。
これは既に俺と同様のスキルを使用して人間から魔物に変化させていることから無理かもと思ったが問題なく召喚できた。
これで魔石さえ無事なら帝国に略奪され殺された人達を助けることが出来る。
ただ問題なのが魔物の数が多すぎる事だ。
恐らく全ての魔石を回収することは不可能だし俺達の拠点でもそれだけの人数を受け入れる準備がない。
魔物になった人達を召喚した時、俺の事を主人だと理解しているが記憶が殺された時の記憶で止まっているのか話の途中でも皆家族を探す仕草が見て取れた。
やはり家族と離れ離れになるのは辛いよな。
なるべく多くの人達を復活させるからもう少し待っていて欲しい。
最後に情報に関してだがこの中央拠点の守護兵長は録な情報を持っていなかった。
第1王女以前に勇者の情報もあまり持っていなかった。
分かったのが勇者は複数いると言うことだけだ。
いずれ会えるとは思うが同郷が複数居るとは朗報だ。
日本人がいるといいんだが・・・


「貴君は戦闘前に何をそんなに考えているんだ?やはり後悔しているのか?」
「いえいえ、後悔はしていませんよ。身内の事なんですが私も色々と悩むことが多いんですよ」 
「そうか、それで貴君の仲間はいつ来るんだ?恐らく昼前には戦闘が始まるぞ?」 
「ああ、直ぐに来ますよ。それでいくつか相談があるのですが私達を第1陣に配属して欲しいのと私達が倒した魔物は素材も含めて所有権を認めて欲しいのですが可能でしょうか?」
「素材に関しては武功の関係で首を持ち帰る者もいるので問題ないが配置は第1陣で本当に良いのか?1番被害が出る場所だぞ?」 
「ええ、構いません。ガスタール将軍達は私達の戦況を見てから軍を動かして下さい。それと今から仲間を呼びますが皆に驚かないよう周知してもらえませんか?」
「中央からはまだ特に細かい指示はないからそれは構わないが敵の第1陣は魔物だ、全滅しても知らんぞ?それに貴君の仲間に魔物がいるのは既に周知の事実だ。今さら声かけせずともよかろう」 


いや、ガスタール将軍はあの空間移動魔道具から出てくるゴブ朗達の姿を侮っている。
今俺が見てもビビるくらい物々しいぞ。
まぁそちらがいいのなら此方としては構わないのだが、後で文句は言うなよ?


「では呼びますのでもし周りが混乱したらよろしくお願いしますね」
「ああ、任せろ」 


俺はその言葉を聞きながら収納袋から例の空間移動魔道具を出した。


「それは・・・なんだ?悪魔でも召喚するつもりか?」
「いえいえ、見た目が悪いだけの只の扉なので気にしないでください」


俺がそう答えると打ち合わせ通り空間移動魔道具に嵌めた魔石が光り出した。


「そう言えばあの娘の時も思っていたのだが貴君らが持っているのはアイテムボックス由来の物か?」
「どうでしょうか?私の知り合いに魔道具制作が得意な男がいまして、彼が収納袋やこの扉も含めて私達の使う魔道具を制作しているので詳しくは私も分かりません。」
「そうか、それが有れば我が軍の進軍も楽になると思ったのだが・・・どうだ?1つ譲ってくれないか?」
「その男曰くあまり広めると良くないらしいので申し訳ありませんが諦めてください」
「やはり無理か、残念だ」


ガスタール将軍が名残惜しそうに俺の収納袋を見るがこの後ランカ達の為にいくつか収納袋を繋げる予定だ。
身内以外にはあまり持たせたくない。
そうこうしていると空間移動魔道具の中の空間が歪みだし、その歪みから昨日同様にゴブ朗が出てきた。
ん?ゴブ朗・・・だよな?
空間移動魔道具から出てきたのは昨日と同様の茶黒い装備に身に付けたゴブリンらしき男だが・・・
なんだその仮面は。
後ろから続々と出てくる奴らも皆お揃いの仮面を付けている。
いやそんな仮面があるとか聞いていないぞ?装備に合うように作ったつもりだろうが禍々しさが上がっている。
ほら見てみろ、周囲の奴らもドン引きだ
そして俺の分はどこだ?
お揃いなら用意していてもいいと思うがこの雰囲気、恐らく俺の分はない。
漸く全員移動が終わったのかゴブ朗を筆頭に俺の前に集まってくる。
すると突然俺の目の前で一斉に跪き出した。
お願いだから止めてくれ周囲の視線が痛い。


「ケンゴ様お待たせ致しました。ゴブ朗指揮下戦闘員準備が整いました。何なりとお申し付けください。」


そうエレナが声を掛けて来るがこんな時どう言えば良いのだろうか?
一般人には荷が重い。
取り敢えず指揮はゴブ朗が執るだろうしなんとなく誤魔化しとくか。


「ああ、この決戦はお前らの力に掛かっている。俺達の前に立ち塞がった初めての障害だ。全てを屠り俺に勝利を献上しろ。わかったな?」


俺がそう言葉を放った瞬間、戦場全体に響き渡るほどの雄叫びがゴブ朗達から上がった。
だから誰だ?拡声器を勝手に装備している奴は。
俺はあまりの声量に耳を塞ぎながらゴブ朗達のテンションが落ち着くのを待った。



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