異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦準備11

あれから2日経った。
予定通りであれば明日決戦が始まる予定だ。
前方の遙か先には薄らと帝国の軍が集まり始めているのが見える。
あの手合わせの後問題なくガスタール将軍を治したのだが俺達が王国の援軍だと周囲の兵士達に知れ渡った後が大変だった。
ポチへ群がる兵士やマリアの実力に惹かれ質問攻めを行う者など多くの兵士達に囲まれた。
ああ、そうだ。
もちろん俺の側には誰もいない。
まぁおかげでマリアの水の調達方法が分かったんだがな。
兵士の質問に答えていたのを聞いたんだがどうやら収納袋に川の水を入れて持ってきただけのようだ。
以前水を入れて試したようだが収納袋の中は時間が止まってるおかげで他の物を一緒に入れても濡れる事がないんだそうだ。
それにしてもマリア、そんな誇らしげに収納袋を説明しないでくれ。
それ一応バレて盗まれたりしたら拙いやつだからな?
周囲の兵士が何処で買ったのやらダンジョンの報酬なのか聞いて来ているが俺お手製の非売品だ、諦めろ。
ポチに関しても味方だとわかってから餌を与えようとする者や毛並みをこっそりモフる者で溢れかえっている。
確かにあいつは大人しいから触りたい放題だが・・・羨ましいな・・・


「貴様の仲間は全員あのような者達なのか?」
「そうですね、私の仲間達は魔物も人も皆仲が良いですよ」
「それは凄いな。だがどうやったんだ?魔物は人に懐かないだろうに」
「ええ、私も最初は大変でした。ですが魔物と意思の疎通が出来る者が仲間にいるのでそれからは何も問題はありませんよ。あのシャドウウルフは名前をポチというのですがとても優しいんですよ」
「ほう、見た目からは想像も出来んな。どれ私も少し触りに行くか」


やはり王子といえどもモフりたいのは万人共通か。
この後は俺達は日が暮れるまで兵士達と王国の事について話したり軽い手合わせや、まさかのガスタール将軍との再戦などを行った。
王国軍と合流した次の日、俺はエスネアート王国のキャンプを抜け拠点からホーク達を転移でナミラ平原に連れてきていた。
予定ではホーク達に飛んでもらい、帝国の軍がキャンプをしている所を襲うつもりだ。
出来れば王女を見つけられたらいいんだが、取り敢えずの目標は兵糧の奪取だ。
6万人もの人間が毎日食べる量を賄うほどの兵糧だ。
奪えればかなり進軍を遅らせる事が可能だろう。
さて準備は出来たか?
俺は連れて来たホーク達に声を掛けた。


「「「ピー!!」」」


ああ、卵から孵った姿を見ているから飛べるまで成長したホーク達を見るとなんか感慨深いな。
それにしても大きくなった。
その姿はまだ若いが既に大人と言っても問題ないレベルだ。
猛禽類らしい雄々しい見た目から飛ぶ姿はさぞかし凜々しいのだろう。
俺は我先にと争いながら飛び立っていくホーク達を見送りながら連絡を待つ間、昨日取得したばかりのスキルの習熟のため練習を行うことにした。


昼前だろうか、念話でホーク達から連絡がきたので早速転移して移動してみるとそこはナミラ平原から少し離れた林の中だった。
あれ?帝国軍は何処だ?
俺が周囲を見渡し帝国軍を探そうとした瞬間、突如地面が少し揺れた。
おっと、なんだ?地震か?
俺が慌てて体勢を保とうとしていると更に地面が低い音を立てながら少し揺る。
その後も地面の揺れは音を立てながら等間隔で何度も響き渡ったいる。
これは・・・まさか足音か?
俺は急ぎホーク達に上空の更に高い場所まで飛ぶように指示を出した。
ホーク達が十分な高さまで飛んでいった事を確認し、俺は1人心の準備を始める。
ホーク達から連絡が来るとき覚悟をしていたが改めてするとなるとどうも尻込みしてしまう。
苦手なんだよなスカイダイビング。
俺は着地の時のイメージを固めながらホーク達の元へと転移をした。
俺が目を開けた瞬間周囲には何もない綺麗な景色が広がっていた。
これがホーク達のいつも見ている景色か、飛べると言うことは本当に素晴らしいな。
俺は一瞬景色を堪能した後直ぐに重力に従い落下を始めた。
ああああああああああああ。
やはりパラシュートなしのスカイダイビングなんてやるもんじゃない。
内臓が浮き上がる感覚が気持ち悪い。
突然転移して勝手に落下し始めた俺を助けようと慌てて俺を追ってきているホーク達が見える。
ははっあんなに焦った顔もするんだな。一応念話で大丈夫だと伝えておこう。
さて本題だ。
俺は空中で振り向き大地を見据える。
やはりあの揺れは足音で間違いないようだ。
今俺の目の前には林の中を進軍している帝国軍が見える。
問題はその規模が尋常じゃないことだ。
この高さで見て漸く全体が把握できる程だ。
10万以上は伊達じゃない。
それにしても布陣が独特だ。
前方を進軍しているのは魔物だと分かるのだがどうやら中央にいる集団を守るように布陣されているように見える。
この軍の既に半分以上は魔物だ、恐らく前方以外でも周囲には魔物を多数配置しているだろう。
しかし厄介だな。
ナミラ平原に全軍到着するのは明日になるだろうから何処かで一晩キャンプをするのだろうが思ったより魔物の数が多すぎる。
これは中央の集団、帝国軍の本体に近づくのは厳しいな。
隠密で近づこうにも魔物の密度がもの凄いし、中央の集団を認識して転移しようにも遠すぎて認識出来ない。
魔物もゾンビやスケルトンが多いと聞くし恐らく夜に寝てくれるかも怪しい。
さてどうしようか・・・
俺はナミラ平原へ進軍し続ける帝国軍を観察しながら地面と激突しないように先程いた林の中へと転移した。

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