異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦準備9

テントの中に入ると中央に会議用だろうか、大きな机があり奥の小さな執務机に1人の男が座っていた。


「総司令今お時間はよろしいでしょうか?」
「ガスタール将軍か、どうした?何か問題が起きたか?」
「いえ例のクリスティーナ様の援軍をお連れいたしました。」
「そうか」


そういうと男はこちらを探すように視線を周囲に巡らせた。


「それで、その男は何処にいる?」
「私ならここにいますよ」


そういうと俺はいつも通り手を上げながら一歩前へと出た。
男が俺に刺すような視線を巡らせた後興味を失ったのか再びガスタールさんと話し始めた。


「この冴えない男が妹が雇った男だと?ガスタール将軍冗談も程々にしろ。それともこいつが敵に勝てる程の軍勢でも連れてきたのか?」
「いえ、現在確認出来ているのはこの男と若い娘、さらに狼型の魔物1匹だけです。この男の話では3日後には100人強の部隊が到着し我々と合流するようです。」
「はっ、話にならんな。本当に妹はどうしてこんな男を雇ったんだ?下手に出るから過分な報酬を要求されるんだ」


酷い言われようだ。
確かに俺の見た目は偽装で冴えないだろうがうちの拠点の奴らは本当に強いぞ?
しかしそれにしてもこの男、今第3王女の事を妹と言ったか?
見た目は確かに王子だと言われても違和感のないイケメンだが・・・
第3王女関係は今のとこ関わると碌な事がないからあまり関わりたくない所だな。


「何か言いたいようだな。貴様は本当に戦況を理解しているのか?この戦況を覆す存在など神か伝説の勇者か魔王ぐらいなものだ」
「総司令殿はこの決戦に勝利するつもりはないのですか?」
「不可能だ。既に国土に帝国が侵入してきた時の境界線での大敗で分かっていたことだ。奴らの使う魔物の軍勢は痛みを知らん。そして差し違えてもこちらを殺せばさらに新たな魔物が出来上がる。それに魔物は現在も増え続けている。そんな相手にどう勝てというのだ?現在は国民を1人でも多く逃がす為に我々はこの決戦に挑む所存だ。」


ほうほう、魔物は痛みを知らないのか。死体だしな。
これはゴブ朗達に忠告しないといけないな。


「では私も最低限この戦線を維持すれば良いのでしょうか?」
「100人強で何が出来る?笑わせるな」


確かに100人強じゃ厳しいかも知れないが俺の土魔法で囲んでしまえば結構な時間が稼げる気がするぞ?
壊れたらまた直ぐ直すせば良いし戦わないのであれば魔力ポーションの分だけいくらでも時間が稼げる自信がある。


「それはやってみないと分からないと思うのですが?」
「えらく自信があるようだな。ガスタール将軍、こいつはそんなに強いのか?」
「いえ、まだ私も彼の実力を確認していません」
「では貴様は私達が納得出来るだけの実力を示せるというのか?」
「どうでしょうか?納得出来るかは分かりませんが進行を遅らせる事は出来ると思いますよ。」
「ほう、では早速その実力を見せて貰おうか。」
「ええ、構いませんよ」


手合わせに比べたらお安いご用だ。
そういうと俺達はテントの外に出た。
周囲にキャンプをしているテントが多く見える。
さてやるか。


「敵はどちらから来るか分かりますか?」
「あちらからだ」


そういうとガスタールさんが指を指し教えてくれる。
俺は早速いつも拠点でやっているように外壁を作る感じで壁を作っていく。
今回は急造なので整地などはなしだ。
一応拠点みたいに上から弓が打てるように1人分乗れるように造っておくか。
だがここで問題が発生した。
周囲で休んでいた兵士達がいきなり大きな音を立てながら出現した壁に驚きパニックになっているのだ。
俺の脇にいる2人も大きな口を開け驚いているがそんなレベルじゃない。
もう大騒ぎだ。
どうしよう、止めた方がいいのかな?


「おい!!お前ら兵士達に問題ない事を伝え鎮めてこい」
「「「はっ!!」」」


総司令の男が同じように驚いていた周囲の男達に指示を出した。
流石総司令なのだろう、行動が早い。
問題がないのなら上に昇る階段も作っておくか。


「しかし驚いたな貴様魔法使いだったのか。見た目は冴えないが我が国にもこれ程大規模に魔法を行使できる者はいないぞ。」
「貴君が遠距離が得意と言っていたのはこれが理由か」
「将軍それはどういうことだ?」
「この後戦力の程を確認する為にケンゴ殿と手合わせの話をしておりまして、その時遠距離が得意で近接は苦手だと話しておりましたので」
「そうか、手合わせか。それは私も興味があるな、よし!早速ここでやって見せろ」


今から!?ちょっと待て。
俺の心の準備も必要だがまだ壁の硬化中だ。
もうちょっと待て。


「少々お待ちください」


俺が1人焦っていると後ろからマリアがこちらに話しかけてきた。


「貴様は?」
「私は今回ケンゴ様のお供を申し使っておりますマリアと言います。現在ケンゴ様は魔法の行使中ですしケンゴ様が戦闘をなされた場合死者が出る可能性があります。ですので手合わせは代わりに私がお相手を勤めたいと思いますがいかがでしょうか?」


おいおい、死者が出るは少し言い過ぎじゃないか?


「ほう、お嬢さんは私が死ぬ可能性があると言っているのか?」
「はい、ケンゴ様は手加減が苦手なので恐らく十中八九死亡するかと思われます。最低でも私を圧倒できる力量がないと即死します。」


物凄い事を言っているがマリアの中で俺のいったいどのような存在なのだろうか?
一度確認する必要があるな。


「面白い、では先ずお嬢さんに手合わせをお願いしようか」
「ええ、次は恐らくありませんので全力でお願い致します。」


マリアはえらく強気だが大丈夫だろうか?
2人は視線でお互いを牽制しながら手合わせを行う為にテント前の開けた場所へと向かった



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