異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦準備8

俺は取り敢えずリンのオススメ通りに拳闘初期値100を500ポイント使いlv5、以前取得した身体強化を同じく500でlv10まで、さらに見極め初期値150をポイント1500使ってlv10まで取得した。
このスキルブックは初期値が高いほど有能なスキルが多いので恐らく見極めはかなり使えるスキルなのだろう。
ここでさらに俺は物理耐性と魔法耐性、共に初期値150のスキルをポイント1500使いLV5まで取得した。
理由は簡単だ、俺が痛いのが苦手だからだ。
恐らく手合わせなので模擬剣や木刀を使用するのだろうが俺は普通の一般人だ。
普通に一発貰えば悶絶して戦闘不能になる自信が間違いなくある。
目の前のガスタールさんが装備している剣で手合わせなど始めた日には剣を警戒しすぎて逃げ回っている姿が簡単に想像できる。
ビビっているわけではないぞ?
あんなの当たったら人間誰でも一発で死んでしまう。
俺はスキルがなかったらゴブリンにも普通に負ける自信がある。
ミノタウロス戦などで斧を掻い潜りながら攻撃を行っていたマリアとリンは本当にどうかしている。
この耐性スキルをを付けることにより恐らく模擬剣ぐらいなら数発は耐えられるだろう。
できれば一度何処かで試してみたいのだが時間がない。
マリアが無事に俺と手合わせを交代できることを祈ろう。
俺は問題なく予定していたスキルを取得し終わりスキルブックを閉じてから改めてキャンプの中を見渡した。
それにしてももの凄い人数がキャンプをしているな。何人ぐらいいるんだろうか?


「人数は現時点で5万人程だ。決戦予定の3日後までには7万人まで増える予定だ」


俺の呟きに目の前のガスタールさんが答えてくれる。
5万人もいるのか・・・多いわけだ。
俺は従軍経験などないからよく分からないがこれ程の人数が戦争を行ったらいったいどうなってしまうのだろうか?
この世界は通信機器もないし指揮系統から末端まで指揮を伝えるのは難しいんじゃないか?
声を張り上げたとしても限界がある。
恐らく終盤は混戦になる可能性が高いのだろうがこちら側だけでも7万人だ。
どんな状況になるか想像できない。
確かに7万人もいれば100人強の助っ人が来ても出来る事は知れているように感じるな。
だが混戦になった場合個の力や小隊の力量差が勝敗を決する事になるだろうから俺達も活躍する場面はあるだろう。
そもそもエスネアート王国は7万人もいて負けそうなのか?


「斥候からの報告では現在帝国兵だけで6万人、さらに魔物を含めると10万人を超えると報告にある。しかも現在もナミラ平原までの道中にある我がエスネアート王国の集落や街を襲い、そこで得た死体を使い魔物を増やして進軍しナミラ平原到達時には13万人強まで増えているだろうと報告を受けてる」


なんと、相手戦力は殆ど倍か。
魔物がいなければあまり変わらないがそれにしても魔物が増える速度が尋常じゃない、そんな多くの人間がエスネアート王国の道中にいたのだろうか?


「道中にいる人間は女子供であろうと全て蹂躙し魔物に変えており、さらに進軍中に出た魔物や動物達も全て新たにゾンビやスケルトン等の魔物に変えて戦力を増やし続けている。敵は本当に我が国を滅ぼす気のようだ。」


女子供も全て?
おいおい、帝国はいったい何を考えているんだ?
いくら魔王を倒す為とはいえやって良い事と悪い事があるだろうに。
それ以前に勇者有する国のやることではない。
まさか本当にエスネアート王国が魔王の手先だと思っているのか?
もし王国が魔王の手先であろうとそこに住む住人が全て魔王の手先と言うわけではないというのに。
それに殺した生物を再度スキルか魔法かで蘇らせている所を見る限り間違いなく俺の召喚と似たようなユニークスキル持ちがいるはずだが、この戦争に本当に勇者が関わっているのだろうか?
地球の倫理観を持っていればこの大量虐殺に近い行為を許容出来るとは到底思えない。
俺でさえ最近解体に慣れてきた程度だ。
これから決戦でエスネアート王国を守る為とはいえ人を殺すと思うと自ずとテンションは下がる。


「このままだと我が国が負けることは目に見えてる。戦況が長引けばこちらは数が減り相手は数が益々増える。貴君も災難だな、こんな地獄に助っ人にやって来るとは。どうする?今ならまだ逃げれるぞ、貴君はこの国のものではないのだろう?」


馬鹿にして貰っては困る。
約束したからには最低限守れるように全力を尽くすつもりだ。
逃げ出すのは本当にどうしようもなくなった時だ。
それにやりたいこともできたし、この帝国はここで止めておく必要がある気がする。
このままだと恐らく獣人の国や魔族の国にも同じように攻め入るだろう。
しかし厄介だな。
俺と違って人を蘇らせる力を隠していないから死体が出来れば出来るほど敵の戦力が増える。
敵のユニークスキル持ちを特定できれば対処出来るのだが何万人もいる人間を1人ずつ鑑定している暇はない。
本当にこの戦争に勝つのなら今から俺が単独で敵の所まで隠密で行って進軍中やキャンプで休んでいるところに爆炎魔法や土魔法を定期的にお見舞いして逃げるのが一番良いのだが幾つか問題がある。
爆炎魔法を使うと恐らく相手が内包している魔石まで破壊してしまうこと。
第1王女の行方が知れないので第1王女まで巻き込んで吹き飛ばしてしまうこと。
勇者の所在も知れないので勇者も吹き飛ばしてしまうこと。
あとはうちの拠点の奴らが期待していた戦闘で得られる経験値が得られないことだ。
少しづつ敵を削ることは出来るだろうが焼け石に水だろう。
取り敢えず人間は6万人もいるから兵糧も沢山有るだろうし後で嫌がらせにそれを奪いに行くか。
6万人分も兵糧があればうちの拠点は安泰だろうしな。
後で偵察をホーク達にお願いしよう。


「本部に到着したぞ。」


その声に俺が視線を向けると周囲とは異なり一際大きく目立つテントがあった。


「この中に総司令がいる。一応貴君はクリスティーナ様の雇われた援軍だ。挨拶を済ませていた方がいいだろう」


挨拶か・・・
俺はこんな大軍の総司令にいったいどのような挨拶をすれば良いのだろうか?
いつもならエレナが出てきてくれるのだが今日はいない。
俺はなんやかんやでいつもお偉いさんと交渉してくれるエレナの有り難みを感じながらテントの中に入っていった。



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