異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦準備5

さてどうしようか?
このまま待っていたら本当に攻撃されそうだ。
マリアは何か良い方法とか思い浮かばないか?


「そうですね、ケンゴ様のなさりたいようにするのが一番だと思います。あの様子を見る限り声かけを行っても無駄に終わる可能性が高そうですし。」


確かにそうだな。
目の前の兵士達はさっきの上官の号令一つで今にも飛びかかってきそうだ。
これから帝国とも戦わないといけないし出来れば穏便に事を運びたいんだがな・・・
取り敢えず無駄かも知れないが声かけから始めるか。
俺はそう決めると収納袋から拡声器を出した。
中々使う機会がなかったがこういう場面に出くわすと作っといて良かったと思えるな。
俺は早速拡声器を装備し兵士達に向かって声を張り上げた。


こんにちわー!初めましてー!!ケンゴと申します!!エスネアート王国から援軍としてきましたー!!出来れば武装を解除してください!!


おっと、この拡声器にボリューム調整機能を付けるのを忘れていたな。
思いのほか大音量で響き渡ったので目の前の兵士は驚いているし、かなり向こうの兵士達もざわつき始めた。
さて兵士達はどうでるかな?


「報告!!目の前に突然不審な男が現れました!!魔法か何か援軍と叫んでいますが如何致しましょうか?」
「そんなこと報告しなくても分かっておるわ!!援軍?2人と1匹のか?馬鹿か!!そんな情報は一切来ていない!!恐らく奴も前方女の同じ一味だ!!惑わされるな!!」
「了解です!!」


うーん、やはりマリアが言ったとおり無駄に終わったか。
確かによく考えればこの大軍に援軍で無名の2人と1匹が来るのは怪しいわな。
でもこちらは一切アクションを起こしていないのだからせめて話ぐらいは聞いて欲しい。
俺が次にどうするか考えているとついに上官の男が動き出した。


「弓部隊前方の的に向けて弓を放て!!最前列はその間に敵が逃げぬように包囲しろ!!」
「「「了解!!」」」


その言葉が発せられた瞬間、俺達の方に向かって本当に矢が飛んできた。
俺は空中を弧を描きながらこちらに飛んでくる矢を見ながら大きな溜息を吐いた。
なんで毎回このような事になるのだろうか?
まぁこちらもあまり考えず動いているから悪いかも知れないが、一悶着しないと真面に話を聞いてくれた例しがない。
それにこの世界に来て俺が動くと大体面倒な事態になる。
これは神の幸運が働かないんじゃなくてもう呪いの部類に入るんじゃないか?
どうにかしてこのユニークスキルを消す方法はないのだろうか?
まぁ取り敢えずは現状をどうにかしないといけないんだが。
俺は飛んでくる矢を見ながら風魔法を発動し、矢の軌道をずらす。


「隊長!!矢が!!」
「クソッ!!さっきの声もそうだが奴は魔法を使う!!本部に支援を要請しろ!!前衛!!包囲が完成したら無闇に近づかず牽制しろ!!なんの魔法を使うかわかるまで攻撃するな!!」


よしよし、警戒して近づいて来ないのなら丁度良い。
ついでに他の兵士達が突撃してこないように俺達の周囲を土魔法で拠点を改装する感じで囲む。
これで上空さえ気をつけておけば大丈夫だろう。
俺の土魔法はいまだゴブ朗達でさえ破壊不可能だからな。
それに相手はこちらの様子が分からないだろうがこちらは地図化スキルがある。
先程認識した兵士達の動きは手に取るように分かる。
さてここからゆっくり交渉するか。
俺は再びいきなり土壁が出現し慌てる兵士達に向かって声を発した。
すみませーん、こちらに攻撃する意図はありません!!良ければ話だけでも聞いて貰えないでしょうか?


「た、隊長・・・」
「巫山戯た事を!!前衛!!その土壁を壊せ!!おい!!お前ら!!援軍と言うならそれを証明する物は持っているんだろうな!?」


証明する物?
ああ、この王家のメダルのことか。
土壁の外から壁を攻撃する音が聞こえるがここから放れば良いのかな?
俺は収納袋からメダルを取り出し土壁の向こう側へと放り投げた。


「全員警戒!!壁の向こうから何か飛んで来るぞ!!」


そのままメダルは地面に高い金属音を立てながら落ちた。


「これは・・・」


兵士の間に落ちたメダルに周囲の視線が集まる。


「隊長!!大変です!!王家の!!王家のメダルがあの壁の向こう側から飛んできました!!」
「王家のメダルだと!?間違いないのか!?確認して持ってこい!!」


どうやら無事にメダルは届いたようだな。
取り敢えずこのまま壁の中で待っていれば向こうから何かしらアクションがあるだろう。


30分ほど待っただろうか、漸く壁の外からこちらに声が掛かった。


「私はこの軍の右翼を任されているガスタールという者だ!!王家のメダルを所持していた貴君と話がしたい!!出てきては貰えないだろうか!?」


漸く話が出来る人間が出てきてくれたか。
土壁を解除して出て行くのは構わないのだがこの壁を包囲している兵士達をなんとかして貰えないだろうか?
壁との距離が近すぎる。
兵士が離れたことを確認すると俺は土壁を解除しガスタールという男と対面した。



「異世界をスキルブックと共に」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く