異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦準備4

それで、この卵はいったいどうしたんだ?


「ゲギャギャゲグ」
「どうやら巣にあったから持って帰ってきたらしいです。」


なんだろう、そこに落ちていたから気軽に持って帰ってきた感が凄まじい。


それによく見ると卵の大きさや色が若干違うのがあるが全部同じ種類なのか?


「ギャゲグゲ」
「それは本当なんですか?凄いですよご主人様、3つは火竜の卵らしいです」


おいおい、なんて物を持って帰ってきているんだ。
残りの4つは恐らくワイバーンの卵なのだろうがどうするんだこれ?食べるのか?


「ギャギャゲグガ」
「もちろん孵化させるらしいです。そうですね、確かにゴブ朗さんの言うとおり無傷で竜種が仲間に出来るのはこの拠点にとってもメリットが大きいでしょう」


だがどうやって火竜から卵を奪ってきたんだ?さすがに竜に挑むのは無理があるんじゃないか?


「ギャグゲギャギャギャ、ギャゲグギャ」
「さすがゴブ朗さんですね、遠目から火竜が飛び立つのが見えたので巣があると仮定して同行していた蛇に収納袋を持たせて向かわせたみたいですね。蛇達は卵をそのまま収納袋に入れて戻って来たので臭い等で追われる心配はないそうです。」




ああ、これが嫌な予感の原因か。
今頃火竜は怒り狂っているんじゃないか?
臭いで追われないとして他の要因で火竜が卵を捜索する手段があっららどうするつもりだ?
この拠点は対空装備がないから上空から丸焼きだぞ?
だがまぁ持ってきてしまった物はしょうがない。
孵化させるのは構わないが一応地下で孵化部屋を作って管理し、ちゃんと火竜が来ないか警戒しろよ?
それにしても対空装備か・・・
どうやって用意しようか・・・
最近巣立ちしたホーク達に装備させても火竜に対抗するのは無理そうだし、地上から何か飛ばすにしても槍か土球を打ち出す道具しか思い浮かばないが問題は火竜に当たる気が全くがしない事だ。
もうすぐ決戦だというのに本当にやることが多い。
取り敢えず動きを阻害する為の網を作るため蜘蛛達に頑丈な糸を生成できないか相談してみるか。
俺は卵を大事そうに抱えながら地下の方へ向かっていくゴブ朗達を見送りながら工房へと戻った。


翌日未だ魔力ポーションを作り続ける俺に一つの念話が入った。
マリアからだ。


「ケンゴ様、大変申し訳ないのですがこちらへ来ていただくことは出来ないでしょうか?」


何かあったのかな?
俺は作業の手を止めヒルダにマリアの所に行く伝えた後すぐにマリア達の元に転移した。
転移した瞬間目の前には辺り一面見渡す限りの平原があった。
おお、凄いな。
日本ではこんな広い平原は見たことはなかったので圧倒される。
俺が風景を堪能していると後ろからマリアが話掛けてきた。


「ケンゴ様、お忙しいところお呼び立てして申し訳ありません。」


いや、構わないぞ。
何かあったのか?


「はい、目的のナミラ平原に到着した報告と前方に見える軍隊への対応の相談をしようと思いまして」


ほうほう、これがナミラ平原か。
予定よりかなり早いが恐らくマリア達が頑張ってくれたのであろう。
だがやはりこういう風景を見ると異世界に来たんだと実感するな。
しかもここで決戦が行われるのか。
何処にも隠れる場所がない分純粋に戦力で決まるんだろうな。
エスネアート王国の戦力はどれくらいなのだろうか?
俺はマリアが指し示す方向へ目線を向ける。
すると前方にエスネアート王国側に大規模な軍がキャンプをしているのが見える。
凄く人数が多いが何人ぐらいの人間がいるのだろうか?
ぱっと見ではわからない。
取り敢えず話を聞きに行くか。
俺がそう思いながらキャンプへと歩き始めると後ろからマリアの慌てて声を掛けてきた。


「ちょ、ちょっと待ってください!!ケンゴ様、まさかお一人でキャンプへと向かわれるつもりなのですか?」


ん?何か問題があるのか?


「お一人での拠点外行動はエレナさん達に禁止されているはずです。キャンプに向かわれるのであれば私達を同行させてください」
「ウォン!!」


うーん、でもマリアはともかくポチが行ったら警戒されないか?


「それでもです。もしケンゴ様に何かあれば取り返しが付きません。こちらがゆっくり近づけば向こうもあまり性急な手は打ってこないでしょう。」


そういうものなんだろうか?
まぁ確かに約束を破ると後が怖いし取り敢えずマリアの言うことに従ってみるか。
俺とマリアはポチに跨がり軍がキャンプをしている場所へと向かった。


キャンプに近づくと多くの兵士が訓練をしたり装備の手入れをしているのが見える。
さて誰に話掛ければ良いのかな?
俺がそう話掛けやすそうな人を探していると突然鐘を打ち鳴らす音が周囲に響き渡った。


「敵襲!!敵襲だ!!」


敵襲?俺は周囲を見渡すが俺達以外は誰もいない。
ああ、俺達の事か。
ほら見ろ、やはり警戒されたか。
だけど確かにポチは魔物だが上に俺達が乗っているのが見えないのだろうか?
それにかなり速度も落としている。
俺達の情報は伝わっていないのか?


「敵と接敵している面の部隊は抜剣し急ぎ敵を牽制せよ!弓部隊急げ!!敵は狼型だ!!敵の斥候かもしれん!!決して逃がすな!!」


目の前にどんどん全身装備を整えた兵士達が集まってくる。
いやこの人達は俺達が既に立ち止まっているのが見えないのだろうか?
こんな暢気に部隊が整うまで待っている敵なんていないぞ?
俺が取り敢えず相手の準備が整うまで待っていると・・・


「隊長!!狼型の魔物の上に女性がいるのが確認出来ますが如何致しましょう?」
「馬鹿が!!魔物に跨がっているんだぞ?普通の人間なわけがあるか!!魔族か帝国の魔物使いかに決まっている!!」


うん、この隊長は駄目だな。
状況を理解しようとしていないのか?
まぁポチに乗って近づいた俺が言うことじゃないかも知れないが、
第3王女が練兵はしっかり行っていると言っていたが嘘だったのだろうか?
こんなのが上官だったら部下は直ぐに死ぬぞ?
それに何故皆俺を無視するのだろうか?
マリアの前には確実に俺が跨がっているというのに俺を素通りしてマリアだけを認識するとは中々凄いことをする。
やはりこれは隠密だけの影響じゃなさそうだな。
特に敵意ある相手には高確率で見つかっていない。
やはり神様が長く生きられるよう俺の身体を弄ったのが原因か・・・
神様、確かに死ににくいが他人に認知されないとか非常に生き辛いぞ。
ホントなんてことをしてくれてるんだあの神様・・・
俺は目の前の現実と神の行動に大きなため息をつきながらこの場をどう切り抜ける対処を考えた。



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