異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦準備3

あれから2日経った。
俺はあの後ゴラン達が次々に運んでくる武具のコーティングに追われ、最終的に全部終わるまで丸1日掛かってしまった。
ようやく解放されたかと思うと次にヒルダの所に行くように言われ、昨日からヒルダと共に魔力ポーションの製造に追われている。
今も隣でヒルダは死んだ魚のような目をしながらをひたすら魔力ポーションの原料である魔力草を細かく砕いている。
昨日からあまり寝ていないように思うが大丈夫なのだろうか?


「ええ、問題ありませんよ。フフフ、何だか少し楽しくなってきたぐらいです」


いや全然大丈夫じゃなかった。
少しは休んだ方が良いんじゃないか?


「ですが決戦まであと4日程しかないらしいじゃないですか。私は戦闘じゃ役に立たないからこれぐらいは役に立たないと・・・」


でもそれでお前が体調を崩したら元も子もないぞ?
既に魔力ポーションは結構な数が出来ているしもう少しペースを落としても大丈夫だぞ。


「ですがもし負傷者が出た場合大量の魔力ポーションが必要になると言われました。私が皆を守る為にはこれが一番効果的なんです」


うんうん、心意気は有り難い。
この間奴隷として雇ってきたばかりなのにかなり拠点の皆と仲良くなっているようで何よりだ。
そもそも今回の魔力ポーションの依頼は以前マリア達を回復させたときに俺の魔力が足りず魔力ポーションが大量に必要になったせいでうさ吉達が念の為に魔力ポーションのストックを作るために出した物だ。
この拠点は回復ポーションは沢山あるが魔力ポーションは一つもなったからな。
最近では採取だけではなく元農家の奴らと協力して薬草や魔力草の栽培まで行っているらしい。
確かに負傷者が出たら必要になるだろうから幾つかは用意をしておきたいがそもそも俺はこいつらをそこまで負傷させるつもりはないから大丈夫だぞ?
今回ナミラ平原の決戦には参加するがもし相手がかなり強敵で俺でも対処の出来ない相手が現れたらお姫様には申し訳ないが全力で皆を回収して撤退するつもりだ。
俺の一番優先するものはエスネアート王国ではなくこの拠点の皆だからな。
まぁなるべく撤退しないようには善処するが、魔物の軍団や、黒いオーラを纏う集団もいるし、もしかしたら勇者も出てくるかも知れない。
勇者に関しては俺と同等のユニークスキルを所持している可能性があるから絶対に油断は出来ない。
だからその作業が一段落ついたら少し休め。
お前も既にこの拠点の一員だから倒れられたら決戦をしている場合じゃなくなるぞ?


「有り難うございます。ではこれが終わったら少しだけ寝させてもらいます。」


ああ、ゆっくり寝てくれ。
その間は俺が出来るだけ作っておこう。
俺はそう言うとヒルダが砕いた魔力草を引き取り少しづつ煎じ始めた。


工房の外が夕暮れに染まり始めた頃、何やら外が騒がしくなってきた。
何かあったのだろうか?
俺は魔力ポーションの製造を一旦止め、工房から外の様子を伺った。
どうやら誰か帰って来たようだがこの拠点は誰か外から帰ってきただけで毎回これほど騒がしくなるのか?
俺はいつも通りジャックに念話し内情を確認する。


「騒ぎの原因ですか?ああ、今ゴブ朗さん達が帰って来たんですよ。今回ご主人様の依頼の件で森の中心部付近まで行ったらしいのでその収穫を今広場で出しているのでしょう。いつもはこれほど騒ぎにはならないのですが・・・少し気になりますね。ご主人様も見に来られては如何ですか?」


そうだな、いつもこれほど騒ぎにならないならゴブ朗達はいったい何を持って帰ってきたのだろうか?
依頼を出した手前あまり強くは言えないがなんだろうこの感じ、厄介事の匂いがする。
俺は神の幸運が働いていてくれることを祈りながら不安を胸に広場に向かった。


広場に着くとそこには熊五郎の倍以上ある死体が解体されていた。
これは・・・翼があるが恐竜の一種だろうか?


「ゴブ朗さん達は今回ワイバーンを仕留めたんですか、凄いですね。騒ぎになるのも分かります。」


これがワイバーンというやつか、これそんなに凄いのか?


「ええ、滅多に縄張りを出ることはないので遭遇することは希ですがやはり亜竜と呼ばれるだけあって軍隊で遭遇しても間違えれば全滅してしまいます。」


おお、そんなに凄い奴をゴブ朗達は狩ってきたのか、本当に成長したな。
けどよく見るとワイバーンは複数体いるしこいつら飛んだらゴブ朗達じゃ対処出来ないんじゃないか?


「ゲギャグギェギャギャギャ」


うんうん、そうかそうか。
俺は黙っていつも通りジャックの方を見る。


「どうやら巣を発見したようですね。それで夜襲を仕掛け狩ることが出来たようです。」


ほうほう、夜襲とはいえ討伐できたのはゴブ朗達の力だ、最近集団で動くことに大分慣れてきているな。
そろそろレベルが上限に達するんじゃないか?


「グギェゲゲギャグゲ、ギャグゲゲギャ」


「上限にはまだ少し足りないみたいですね。それに今回の遠征はこれがメインじゃないらしいですよ?」


レベルが上限に達していないのは残念だがワイバーンが今回のメイン成果じゃないのか?
俺がその報告に一抹の不安を覚えながらゴブ朗達を見ていると、ゴブ朗達は収納袋からゴブ朗達の身体程ある大きな卵を取り出した。
しかも7つだ。
え?ちょっと待て、この卵大きすぎじゃない?


「これはまさか・・・竜種の卵ですか?」


俺はその言葉を聞き、何事もないことを神に祈りながら詳しい話を聞いた。



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