異世界をスキルブックと共に

気のまま

決戦準備

翌日目が覚めて驚いた。
寝るためにポチに身体を預けてさぁ毛並みを堪能しようかと思ったのだが気付いたら朝だった。
なんということだ、全然堪能できていない。
隣で寝ているマリアは満足そうな寝顔で未だ夢の中だ。
くそっ、こいつは昨晩全力でこの毛並みを堪能したのだろうか?
羨ましい・・・
昨晩堪能出来なかった鬱憤を今晴らしたいが俺が今全力でモフモフしてしまうとマリアを起こしてしまう。
俺はポチの毛を名残惜しそうに見ながらマリアを起こさぬようにそっと立ち上がった。


あれから1時間もせずにマリアは起きてきた。


「おはようございます、ケンゴ様。」


ああ、おはよう。
マリアは今日も朝から良い笑顔だな。
俺は今晩こそはモフるとリベンジを心に決めながら先程から準備していた朝食を皆で食べ始めた。
朝食を食べ終わった後は昨日同様に移動するため、俺がポチに跨がろうとした時後ろからマリアが喋り掛けてきた。


「あの・・・ケンゴ様は本日も私達と一緒に移動されるのですか?」


ん?どういうことだ?
ついに移動の最中も俺抜きで1人でモフりたくなったのか?


「いえ、昨日転移の実験をされていたので今日から移動は私達に任せてケンゴ様は拠点にお帰りになるとばかり思っていたのですが・・・エレナさんにも実験が成功したらちょくちょく帰ると言っていましたし・・・」


まぁ確かにその通りだ。
昨日の実験が成功したからぶっちゃけ俺がいなくてもポチがナミラ平原まで走ってくれれば俺はそのポチの側に転移すればナミラ平原に行くことができる。
だけど折角の旅路なのでポチたちと一緒に行動するのが筋なのではないのだろうか?


「ケンゴ様の貴重な時間は有限なんです。移動だけに使用されるのは勿体ないかと思います。私達は1日でもケンゴ様と一緒に移動が出来れば十分です。それにランカにケンゴ様と寝食を共にしたと伝える楽しみまで出来ました。ですので私達のことは気にせず優先すべき事をなさってください。」


うーん、じゃあ一度拠点に帰るけど何かあったら直ぐに呼べよ?
それに時間が出来たらまた戻ってくるから。


「はい、お待ちしております。」


ポチも頼んだぞ?


「ウォン!!」


俺はそうマリア達に別れを告げながら拠点へと転移で戻った。


拠点へと戻ると朝一だからか皆仕事を始めるためにせわしなく動いていた。
それに何だか皆いつもより活気がある気がするが何かあったのだろうか?
取り敢えずジャックに聞いてみるか。
あいつなら大体把握していそうだし。
俺は目の前を移動する人達に挨拶をしながらジャックに念話を送った。


「おはようございます、ご主人様。本日はどのようなご用件でしょうか?」


ああ、今拠点に戻ってきたのだがえらく皆活気がある気がしてな。
何かあったのか?


「ええ、今日の朝からサラ嬢がリハビリをかねて広場で歌を歌い出したんですよ。あれは凄いですね。私も聞いていましたがとても美しい歌声で聞いてると少しづつ力が沸いてくる気がするんですよ。恐らくそれのせい皆活気が出てるのだと思われます。」


おお、サラが歌えるようになったのか。
だけど先日治したばかりだからあまり無理はしないように言っておかないといけないな。


「分かりました。拠点の皆からもお礼を伝えて欲しいと言われていたので後で纏めて伝えておきます。」


有り難う、助かる。
それで話は変わるがもうすぐナミラ平原で決戦が行われるがゴブ朗達は何か準備はしているのか?
移動に関してはポチがなんとかしてくれることになったから俺で良ければ何か手伝うぞ?


「決戦に関してはゴブ朗さんが分けた各部隊で仕事終わりに訓練を行っています。毎回各部隊事の摺り合わせも出来ており特に問題らしい問題はありません。ただ一つ作戦の打ち合わせで意見が分かれている案件があるのですが・・・」


ん?そうなのか?
あいつらの意見が割れるなんて珍しいな、いったいどんな案件なんだ?


「ご主人様の配置についてです」


ああ、嫌な予感がする。


「現在ご主人様の配置を後方の後方にする意見と後方の前方にする意見で分かれています」


やはりか、どうせ後方の後方はゴブ朗達の意見だろう?


「はい、ゴブ朗さん達は後方の後方で確実に安全な場所で待機、指示を出して貰うのが良いという意見なのですが今回は珍しくエレナさんがご主人様はどうせ前に出たがるから中衛よりの後方に配置した方が不満が少ないと反対していまして・・・」


エレナが?ゴブ朗達に反論するなんて珍しいな。
それに俺のことを良く理解している。
俺の意見を考慮して作戦を提案してくれるなんて初めての事じゃないか?
嬉しいな、後で何か差し入れを持って行くか。


「それでご主人様は配置関係はどうなさるおつもりですか?」


それはもちろん中衛以上だ。
あいつら俺を後方に押しやるつもりだろうが回復はどうするつもりだ?
一応回復ポーションはあるが拠点の回復役のゴブリンプリースト達は妊娠してかなりお腹が大きくて戦場に出すわけにはいかない。
その場合やはり俺が中衛以上にいて臨機応変に回復をして回るのが適切だろう。
何かあってもすぐ対処出来るしな。


「分かりました。後でゴブ朗さん達に伝えておきます。それと、生産区からご主人様に足を運んで欲しいと要望が出ていますので戻ってこられているのであればお手数ですが是非一度視察をお願い致します。」


要望?了解した。
俺はそう言うとジャックとの念話を終わらせ生産区に向かうため移動を開始した。



「異世界をスキルブックと共に」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く