異世界をスキルブックと共に

気のまま

実験

あれから俺達は問題なく平原を抜け、現在は林の中をポチに乗り駆け抜けている。
上を見ると空は夕暮れに染まり、もうすぐ日が暮れそうだ。
恐らく今晩はこの林で過ごすことになりそうだ。
俺はポチに寝床に出来そうな広場に出たら今日の移動は終わりにしてキャンプをすることを伝える。


「あれ?ご主人様は拠点に戻られないのですか?」


ああ、今日は拠点に戻らずポチと一緒に寝ると決めているんだ。
俺を除け者にして1人ポチの毛並みを堪能しようとしてもそうはいかない。
それに試してみたいこともあるしな。
俺は少しでも見やすいようにと光魔法で光球を出し前方を照らしながら今晩寝る場所を探した。


あれから直ぐに3人がなんとか寝れそうな少し開けた場所に出ることができた。
俺は直ぐに土魔法で寝床を整えながら、今晩の食事の準備をマリアと共に始めた。
それにしても今日はかなり進むことが出来たな。
平原にいる時は松風と大差なかったが林に入ってからのポチは凄かった。
生い茂る木々を躱しながら平原とほぼ変わらぬ速度で進んでいた。
しかも俺達を乗せた状態でだ。
松風ではこうはいかないだろう。
さすが大森林出身ということか。
最初俺の探索について来れなかったころが懐かしい。


食事を済ませた後、辺りが暗くなり始めた頃を見計らい俺は一つ実験をすることをポチ達に伝える。


「ウォン?」
「実験ですか?何をされるかは分かりませんが私達に何か手伝えることはありますか?」


ああ、主にポチに手伝ってもらおうと思っている。
今回実験するのはワープ、転移についてだ。
今まで俺が知っている場所にしか行けなかったが最近マップと追跡のスキルを得た。
このマップと追跡スキルで気付いたのだが俺が一度認識さえしてしまえばマップがない場所でもマーカーが勝手に自走して表示される。
そこで俺が認識した対象がまだ俺が行ったことがない場所いるとき俺はその対象の元に転移出来るのかを実験したい。
手伝ってくれるか?


「ウォン!!」


ああ、有り難う。
相変わらず言葉は分からないが今日一日で簡単なYES、NO会話ぐらいなら成り立つようになった。
実験を開始するにあたってちょうど良いことにここは林で辺りも暗くなってきている。
周囲を見渡してももう林の奥の方は窺えない。
マップを見てもちゃんと俺が見えない、そして行ったことがない場所は表示されていない。
良し、準備は万端だな。
さっそく俺はポチにまだ俺が行ったことがない場所に1㎞ほど進むように指示を出す。
俺が少しでも見えたら意味がない。
少し遠目に行って貰う。
俺はポチが林の中に消えたのを確認し、マップでポチのマーカーが止まるまで少し待つ。
マーカーが停止し、一応念話でも止まったかを確認する。


「ウォン!!」


良し、それじゃあ転移してみるか。
俺は時空間魔法を起動しポチの元に転移した。


結果から言えば転移は成功した。
あの後問題なくポチの側に転移するが出来た。
その後は引き続きポチに移動してもらい、今度はポチの背中に転移して乗れないかを試しそれも成功した。
その後は少し楽しくなって走っているポチの背中に転移したり、岩の下に隠れているポチの横に転移したりといろいろと実験した。
後半になると予告なしで俺が突然転移してくるから、驚いたポチの顔がかなり面白かった。
どうやらこれは一度認識さえしてしまえば何処に行ってもその認識した物の周囲1メートル以内の意識した場所に転移出来るみたいだ。
その際に俺が転移しようとした場所に物があった場合は勝手に少しズレて俺が転移してくる。
自動で物を回避してくれるとはなんて便利な魔法なんだ。
それにしてもマップと追跡スキル、時空間魔法の組み合わせは凄まじいな。
これは俺が一度認識さえしてしまえばそれが何処に行っても側に行くことが出来る。
悪用すれば凄まじいストーカーの出来上がりだ。
もう相手は夜も安心して眠れないだろう。
まぁ悪用する気はないんだがな。
俺達がそうやって暗い林の中遊んでいると・・・


「あの・・・ケンゴ様?まだ実験は終わらないのでしょうか?」


ああ、すまない。完全に忘れていた。
ついついポチの驚く顔が面白くてやり過ぎてしまった。
ポチもすまなかったな。


「ウォン!!」


うんうん、許して貰えて何よりだ。
聞き方が悪くてどちらかよく分からなかったが大丈夫、ポジティブにいこう。
俺は急ぎポチと共にマリアのいる寝床まで転移する。
マップで確認したがマリアからかなり離れた場所に来ていたようだ。
マリアは転移で突然現れた俺達を見つけると一瞬驚いたような顔をしたが直ぐに安堵の笑顔を俺達に向けてくれた。
心配を掛けて申し訳ない。
それにしてもマリアの笑顔は綺麗だな。
リンはどこか幼さを残す笑い方をするが、マリアは逆に大人っぽい。
ポチもそう思うよな?


「ウォン!!」


俺はポチの返事に満足しながら寝床で寝るためにポチと共にマリアの側に向かった。

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