異世界をスキルブックと共に

気のまま

魔道具制作スキルの男

寝床の中に入ってみると中で健やかに寝ている男がいた。
間違いなく魔道具制作スキルの男だ。
何だ、寝ていただけか。
けどもう日も大分昇っているがこいつはいつまで寝ているつもりなんだ?
おーい、起きろー。
俺は少し雑にその男を叩き起こす。


「んがっ、ん?あ?ああ、ご主人様おはようございます」


お前おはようございますってもう昼前だぞ?いつまで寝ている気だ?


「ああ、すみません。この拠点は外灯のおかげで夜も明るいので夜はついつい夜更かししてしまうんですよね。この拠点には気になる魔道具が多いですし」


魔道具制作スキルの男は寝床から起き上がりながら俺にそう答えた。
そうか、外灯は夕方以降でも拠点で活動しやすいように設置したつもりだったが夜明かりがあるとこういう奴も出てくるのか。
寝床をよく見ると自分で改造したのか外灯の頭の部分だけが取り外され起動すれば寝床を照らすように設置してある。
上手いこと設置しているな。
これは時間があれば各個人用に寝床に設置する灯も作った方がいいかな?
俺がそんなことを思案していると・・・


「それでご主人様はどのような要件でいらしたのですか?まさかっ!新しい魔道具が完成したんですかっ!?」


ビックリした。
こいつ魔道具の事になると一気にテンションが上がるな。
いや今回は相談に来たんだ。


「相談ですか?私は魔道具以外に才能のない男ですよ?」


こいつ魔道具については才能があると言い切ったな。
確かにスキルは所持しているようだが、余程魔道具に関して自信があるのだろうか?
相談に関してだがな、現在俺以外の奴らの長距離移動は俺のロングワープに頼りきりだろ?それを俺なしでも可能にしたいのだが可能だろうか?


「それはご主人様なしでロングワープを可能にする魔道具を俺が作れるか?ということですね。いいですね、面白くなって来ました。実は神話時代の遺跡に関する文献に空間魔術を利用した空間移動が出来る門が存在する記述があったのを読んだことがあります。それは遺跡と遺跡を繋げる物だったらしいのですが今は全て失われてしまったようです。文献の記述によれば場所の座標指定と空間魔術かそれを内包した魔石を使用することによって作成は可能だと書かれていましたが、魔石関係はご主人様がいるので収納袋に付けられている時空間魔法の魔石で十分だと思われます。問題は座標の指定ですが、この世界の行きたい場所の座標の割り出し、指定、その後座標を確定しこちらの座標と空間を繋げ維持するのが難しいと思います。そもそも座標の割り出しをどういう基準で行うかが・・・」


どうしよう、可能かどうか聞きたかったんだが突然1人で喋りだして今も現在進行形で喋り続けている。
やはりこの男の魔道具に対する熱意は凄いな。
それに神話時代関係の文献を読んだことがあるなんてもしかしてこいつはそれなりの地位にいた人物なんじゃないだろうか?
なんで奴隷なんかやっているんだ?


「ご主人様聞いていますか?まず座標を割り出すためにこの世界の構造を一から調べ直す必要が・・・」


いやいや、ちょっと待て。
とても世界の構造を一から調べている時間などない。
ちょっとこれを見て欲しいのだがこれじゃあ駄目なのか?
そう言いながら俺はマップを起動し、さらに追跡スキルを起動するとマップの右上に表示された数字を男に見せる。


「これは・・・?」


これは一応俺が把握しているここら辺の地図だな。
それで今このポインターがお前だ、この数字を覚えておけよ?
そう言いながら俺は男を連れ寝床の外に出た。
そしてまた男にマップの数字を見せる。
どうだ?移動したら数字も変動しているだろう?
それとこのポインターはエレナだな、ほら移動するたびに数字が変動している。
恐らくこれがこの世界の座標なのだと思うが利用できそうか?
そう言いながら男の方に振り向いた瞬間・・・


「凄いです!!最高です!!さすがご主人様は神様の使者様です!!これで!!これでついに伝説の空間移動の魔道具を作ることが出来ます!!」


何度も言うがお願いだから突然声のボリュームを上げないでくれ、俺の心臓に悪い。
このままじゃ俺が死ぬ時の死因はショック死で間違いないだろう。


「ご主人様!!なんでそんなにテンションが低いんですか!?空間移動の魔道具ですよ!?いまだ歴史上誰も作り得た事がないものがもうすぐ作れるかもしれないんですよ!?ああ、こうしちゃいられない。直ぐに魔石を用意してそれに合わせて門も制作しないといけないし、空間の維持の実験もしないといけない。実験動物はゴブリンでいいか?いやこの拠点にはゴブリンがいるからそれは拙いか。だけどそれなら外で新たに捕まえてくれば・・・」


またこいつは1人の世界に入り込んでいるな。
さて俺はどうしようか。
魔石を用意するのは良いがどの等級が必要なのだろうか?
それに座標を教えるのにも俺がいないとマップが見えない。
ナミラ平原にも向かわないといけないし早くこっちの世界に戻って来て欲しい。
おーい、戻ってこーい。


「何ですか?今私は忙しいんです!!用がないなら話掛けないでください!!」


いや用はあるぞ。
いろいろやらないといけないことはあるが取り敢えず、
お前の名前を教えてくれないか?



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