異世界をスキルブックと共に

気のまま

出発前3

「エレナさん!大丈夫ですか?どこか具合が悪いんですか?」
「いいえ、心配をかけましたね。少し気分が悪かったのですがケンゴ様に治して頂いたのでもう大丈夫です」
「良かったー、エレナさんが具合悪いところなんて見たことないから何かあったんじゃないかと心配したよ」


エレナを連れ寝床を出た途端マリアとリンが直ぐに声を掛けてきた。
日頃からよく一緒に居るし心配していたのだろう。


「ケンゴ様、態々私のために寝床まで足を運んで頂き有り難うございました。そして今日のケンゴ様が招集された会議に出れなくて申し訳ありませんでした」


ん?ああ、そんなこと気にしなくていいぞ。
俺とエレナの寝床は初期に作った物だから割と近い位置にあるし会議はゴブ朗達が纏めてくれたから大丈夫だ。


「有り難うございます、それで本日の会議は何を話し合われたのですか?」


会議の内容か?
1つはアルカライムでのタトゥーの流行と1つはナミラ平原までの移動に関してだな。
結果はタトゥーは様子見でナミラ平原への移動は俺とポチとマリアで行くことになったぞ。
俺がその結果を話した瞬間エレナは驚愕したような表情を見せた。
どうかしたのだろうか?


「あの、ケンゴ様、私は・・・?」


ああ、エレナは今回はお留守番だ。
俺のその一言が余程ショックだったのかエレナはその場でへたり込でしまった。


「やはり私はケンゴ様に見限られて・・・」


いやいやだからそんなことはないとあれほど・・・


「ウォン!!」


その時俺の後ろからポチが突然吠えた。
相変わらずこいつらわざと俺を驚かせているんじゃないだろうか?
お願いだからせめて俺の視界内で吠えて欲しい。


「っ!!はい、すみませんでした。ポチ先輩の言うとおりです。以後気をつけます。」


そういうとエレナ直ぐに立ち上がり身を正し始めた。
どういうことだ?まさかあの一言にいったいどんな意味が込められていたというのだろうか?
お願いだから誰か翻訳して欲しい。


「私も言葉は分かりませんが恐らくポチ先輩が注意したんだと思いますよ。相変わらずポチ先輩は優しいですね」


優しい?
そうマリアが答えてくれるが何がどう優しいのか全く分からない。
最近ジャックが違和感なしに翻訳してくれるからジャック不在に不便さを感じてしまう。
まさか拠点に来て僅か1日でここまで影響力を残すとは恐ろしい男だ。


「ゴブ朗先輩やうさ吉先輩だったらエレナさんがこんな状況になっても注意なんかしませんよ。あの2人は少しエレナさんに厳しい気がします」


ほうほう、最初にゴブ朗、うさ吉、ポチにエレナの教育を任せたが3人とも教育方針が違うのか。
それにマリアもよく見ているな、俺もこれからなるべく拠点の奴らと行動してコミュニケーションを取っていかないとな。
取り敢えず今はまずポチのセリフの違いを俺に教えてくれないか?


「違いですか?その時の表情や吠え方の強弱などで大体わかりませんか?」


全然わからない。先程から何度か吠えているが全て一緒に聞こえる。
それに表情も全然分からないぞ、お前は分かるのか?


「はい、今はエレナさんが立ち上がったことに満足して少し微笑んでいるように見えます」


凄いな、同じ狼種族だからわかるのだろうか?
リンもわかるのか?


「私は吠え方は多少分かるんですが表情まではわかりません」


やはり同じ種族でしかわからない事もあるんだな。
むしろマリアの方が分からない俺達に驚いている。
いやお前もうさ吉の表情とかわからないだろう?
それと同じだ。
そういうとマリアは納得したのかポチの側に戻っていった。
ポチが言っていた気が合うというのは本当だったんだな。
この2人が居れば道中は大丈夫だろう。


「それではケンゴ様はナミラ平原に向かわれましたら到着するまでは拠点には戻ってこられないのですか?」


うーん、それはどうだろうか?
俺の神様の幸運スキルは信用ならないから俺が何かすると厄介事を持ってくる。
何かあって俺とポチ達だけじゃ対応出来ない時はもちろん戻ってくるし拠点に何かあっても戻ってくるつもりだ。
それに少し試してみたいこともあるからそれが成功したらちょくちょく戻ってくるぞ。


「そうですか、私も決戦までに少しやりたいことがあるので何かありましたらお声がけください」


そう言うとエレナはこちらに一礼し広場の方へ向かっていった。
俺達もそろそろ王都に向かうか。
王都でモーテン達と合流して一度拠点に回収しないといけないしな。
決戦でモーテン達を使う場合王都からだと距離があるから一度回収しておかないと辻褄が合わないことになる。
まあ、既にアルカライムから王都に移動させているから今更感があるがそこらへんはなんとか誤魔化そう。
やはり移動に関して何かしら対策を立てないといけないな。
モーテン達を運んだら皆に相談しよう。
魔道具制作スキルの男は先程から念話を飛ばすが一向に返事が返ってこないしな。
ゴブ朗達から異常があった報告はなかったから大丈夫だろうがどうかしたのだろうか?
帰って来たときに再度念話で確認してみるか。
さて待たせて悪かったな、王都に行こうか。
俺がそう言うとマリアとポチがこちらに近づいてきた。
いやちょっとまて、ポチお前はモーテン達を連れてくるまでお留守番だぞ?
するとポチは驚愕したように目を見開いた。
ああ、これは俺にも分かった、以外と表情が豊かな奴なんだな。
俺は驚愕しているポチを横目にマリアを連れ王都へと転移した。



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