異世界をスキルブックと共に

気のまま

お姫様救出大作戦4

「・・・はい!!必ず期待に応えてみせます!!」


うおっと、ビックリした。
いきなり声のボリュームを上げるとか心臓に悪いから止めて欲しい。
それにしてもお姫様救出大作戦は順調のようだ。
ジャックの予想通り第2王女も捕まっていたしこれでナミラ平原の決戦での憂いも少しは解消されるだろう。
問題は第1王女だが現状どうすることも出来ない、
決戦までに何か情報が出るのを期待しておこう。
だが取り敢えずは第2王女と第3王女だ。
ジャック達も1階に向かっているだろうし俺達も向かうか。
そう俺は一緒に待機していたモーテン達に声を掛けると屋敷に向かって歩き出した。


「あの・・・ケンゴ様、本当に良いでしょうか?」


ん?何がだ?
モーテン達が屋敷に入る前に突然問いかけてきた。


「いえ、今回も私達が王女様達を助けたことにすると言っていたので・・・そんなことして本当に大丈夫なのですか?」


ああ、そのことか。不安になる気持ちは分かるが特に気にしなくても大丈夫だぞ。
一応これから行う第2王女との交渉次第になるが恐らくなんとかなると思う。


「いえそういうことではなくて私達なんかが王女を助けた功績をケンゴ様から奪って有名になって大丈夫なのかな?と・・・それに前回は私達も戦闘に参加しましたが今回は全く何もしていません。罪悪感が凄まじいんです」


あーそういう感じに受け取っていたのか、
罪悪感なんて感じる必要ないのに。
そもそもこれは俺があまり目立ちたくないからモーテン達を都合良く代替わりに使っているだけだ。
罪悪感なら俺が感じるべきだろう。
一応今回もモーテン1人ではなくモーテン達パーティーとその仲間達が助けた事にする予定だ。
恐らく明日以降にはモーテン達は王女様救出の立役者として有名になるだろう。
モーテンの言葉だと俺から功績を奪って有名になったと言っていたが確かに知名度の初期ブーストはやらせかも知れないがアルカライムで街の人と触れあい一冒険者として地道に困っている人達を助け最短でC級にまで上り詰めたのは確かにモーテン達の頑張りだ。
だから今だにアルカライムではモーテン達は英雄と呼ばれている。
その名にふさわしくない人間であれば直ぐに化けの皮が剥がれるだろうしな。
だからそんなに気にするな、
確かにいきなり功績を押しつけたのは悪かったがお前達ならいずれその功績が当たり前だと周囲に言われるような存在になるよ。


「有り難うございます・・・これからもケンゴ様の為に少しでもお役に立てるように頑張っていきます」


モーテン達はそう言いながら目尻に浮かべているのが見える。
いやいやお前達の人生だ、
たまにお願い事をするかも知れないが基本的には自分たちの為に頑張れ。
じゃないと楽しくないだろう?
俺はそう答えながら屋敷の扉を開けた。
中に入るとそこには既にジャック達が待っていた。
あれ?もしかして待たせたか?


「いえ私達も今ちょうどここに来たばかりです」


ああそれなら良かった、
さっきモーテン達と話し込んでいたから遅れたかと思った。
それでこの人が第2王女さんなのかな?


「はい、この方が第2王女で間違い有りません。王女様こちらの方が私達の主であるケンゴ様です」
そう言いながらジャックが俺に第2王女を紹介してくる
こいつ、王女が相手だというのに俺の前に王女をエスコートしてくる動作に違和感がない。
かなりの手練れだな、
俺がそんなことを考えていると・・・


「初めまして、私このエスネアート王国の第2王女を務めさせて頂いているシェリティア・マルグリット・ファナ=エスネアートと申します。この度は賊の魔の手から救出して頂き誠に有り難うございます。王城に戻り次第お礼をさせて頂きたいのですがよろしいでしょうか?」


どうしよう、また名前が長い。
俺は日本人の感覚が未だに残っているのでどうも外人の、しかも長い名前は覚えきれる自信はない。
第3王女の名前ですら怪しいのに第2王女とかを一発で覚えるのは無理だ。
しかも第3王女はクリスと呼んでくれとわかりやすく言ってくれたが第2王女はそれもない。
いったいなんて呼べばいいのだろうか?
取り敢えず王女様で誤魔化そう。


「初めまして、私はケンゴと申します。その件について少しお願いがあるんですよ」
「お願いですか?」
「はい、今回王女様を助けたのはこのモーテン達と言うことにして頂きたいんですよ。駄目でしょうか?」
「いえ、駄目と言うわけでは・・・何か理由があるのですか?」
「単純にあまり目立ちたくないんですよ。それに私はあまり前に出るのは得意じゃなくて出来れば裏方でやっていきたいんです」
「そうですか・・・あの・・・代わりに王城でお礼をするのはその方達じゃないと駄目ですか?」


第2王女はそう言いながら後ろで待機しているジャックのほうを伺っていた。


「そうですね。申し訳ありませんがジャックもまた前に出すことは出来ないんですよ」
「そうですか・・・」


ん?なんだろうか?
俺からモーテン達に変更をお願いした時よりもあからさまに落胆しているように見える。
ジャックに何かあるのだろうか?


「あの・・・それで先程ジャックさんにもお願いしたのですが実は私以外にも妹がここに捕らわれているはずなんです・・・厚手がましいお願いと存じますが助けて頂く訳にはいかないでしょうか?」
「ああ、それでしたらジャックから聞いていますよ。別の部隊が向かっているのでそろそろ・・・」
「ケンゴ様!!ただ今第3王女を無傷で確保致しました!!今からそちらに向かいます!!」


だからいきなり声のボリュームを上げて話掛けないで欲しい。
見てみろ、念話は王女様には聞こえてないから俺が突然ビクッと動いた様子を訝しんでいる。
しかし今日のエレナはやけにテンションが高いな、
俺はエレナ達がいるであろう3階のほうを見ながら王女様に無事妹さんを確保したことを伝えた。



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