異世界をスキルブックと共に

気のまま

お姫様救出大作戦

今俺達は襲撃前の最後の打ち合わせを念話で行っている。
辺りはすっかり暗くなりもうすぐ日を跨ごうかという時間帯だ。
アルカライムにいた時から結構な時間が経過したが俺達はなんとかジャックが指定する時間に間に合う形で王都に着いた。
何故ジャック達との合流がここまで遅れたかというと理由は2つある。
1つはモーテン達だ。
念話でしっかりと武器屋に来るように伝えたのに全然モーテン達は来なかった。
結局日を跨ぐ前になりようやく顔を出した。
遅れた理由を問いただすとやはりあの酒場でモーテン達を囲んでた集団を抜け出す事が出来なかったようだ。
まぁ気持ちは分からないでもないがせめて念話で連絡をくれると助かる。
もう1つはエレナ達だ。
アドロフさんが味方がいない状況からか酒を飲み過ぎてもの凄くエレナ達に絡んで来たようだ。
さすがに酔ったアドロフさんはヘレンさんでも止めることは出来ないらしくエレナ達はかなり揉みくちゃに可愛がられていた。
俺がヘレンさんの家に戻ったときにはエレナ達は食事を取っただけなのに既に疲労が顔に見えた。
このあと襲撃なのに大丈夫なのだろうか?
なんとかアドロフさんを酔い潰した後エレナ達から引き剥がしようやく王都に来ることが出来た。
ヘレンさんがかなり怒っていたのでアドロフさんは明日起きたらこっぴどく怒られることだろう、
自業自得だが一応冥福を祈っておこう。


俺がアルカライムでの事を考えているとどうやらジャック達の打ち合わせが終わったみたいだ。
エレナ達が動き出した。
打ち合わせの内容は聞いていた大方拠点で話していたことと変わらない。
目の前の大きな屋敷、遠目にだが3階建てで立派な木造住宅だ。
庭も広く恐らく3階からは敷地内が全て一望できるだろう。
庭の入り口には守衛も立っており貴族が住んでいると言っても信じそうな外観をしている。
さてエレナ達はどうやるのかな?
今回俺は何も口を出していない。
エレナとジャックがそれぞれ役割を持って作戦を立て行動に移している。
俺はエレナ達の作戦ややり方を楽しみにしながらその後ろ姿を追った。


「おい!!お前ら!そこで止まれ!!ここからはさる御方が住む場所だ!無断でこの場所に入ることは許さんぞ!!」


エレナ達が近づいていくと守衛の男達が声を上げこちらを牽制してきた。


「あら守衛さんこんばんわ、そのさる御方にお会いしたいですけど今晩はご在宅ですか?」


ん?誰だこれは、俺は笑顔でこんな喋り方をするエレナなど初めて見たぞ。


「あぁあの御方は今晩は外出中だ。だがいったいこんな夜更けに何の用だ?っておい!!いい加減に止まれ!!これ以上近づくようであれば実力で・・・」


そう守衛の男が言いかけた所でエレナが踏み込み守衛をいきなり切り倒した。
周囲にいる守衛達も一瞬何が起こったのか分からなかったようだが直ぐに現状を理解したのか武器を抜きエレナを捕縛しようと動き出した。
だがその守衛達もマリアとリンに動きを押さえられ端から無力化されていく。
さすがに庭先での騒動に気がついたのか屋敷の中からは慌ただしく動き始める音が聞こえ始めているが・・・大丈夫なのだろうか?
だが肝心のエレナ達は特に焦った様子など見せずにそのまま屋敷の入り口へと向かっている。
まさか正面突破をする気なのだろうか?
さすがにマリアの予知があるとはいえ正面突破は危ないんじゃないだろうか?
まぁ敷地の外にいる俺が口を出すことではないんだろうが心配だ。
そうこうしていると入り口からも何人かの人間が武装をして出てくるのが見える。
俺は炎を纏い夜の暗闇の中一際目立つエレナの背を見送った。




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「それではそちらは任せましたよエレナさん。騒動が起き次第こちらも侵入を開始します」
「ええこちらは任せてください。それよりもそちらも間違っても失敗などしないようにお願いしますね。貴方はまだ等級も高くないのですからもし失敗でもすればケンゴ様に迷惑が掛かります。そこら辺をしっかりと心に刻み任務に当たってください」
「分かっていますよ、そのためこのように巳朗さん達にも同行をお願いしているんです。間違ってもご主人様の顔に泥を塗るような行為は致しませんよ」
「おうおう、そうだぞエレナ!この俺様がいるんだから間違いはねーよ。ゴブ朗先輩にもキツく言われているしミスなんてしねーよ」
「なら良いのですが、ではそろそろ始めますね」


そう言うとエレナ達は屋敷の守衛達の元に歩いて近づいて行った。


「おい!!お前ら!そこで止まれ!!ここからはさる御方が住む場所だ!無断でこの場所に入ることは許さんぞ!!」
「あら守衛さんこんばんわ、そのさる御方にお会いしたいですけど今晩はご在宅ですか?」
「あぁあの御方は今晩は外出中だ。だがいったいこんな夜更けに何の用だ?っておい!!いい加減に止まれ!!これ以上近づくようであれば実力で・・・」


その瞬間守衛の言葉を遮るようにエレナが抜刀し目の前の守衛の男を切り倒した。


「マリア!リン!」
「「はい!!」」


もう一方の守衛もエレナのかけ声とほぼ同時にマリアとリンに切り伏せられる。


「上出来です。最初の頃に比べたら貴方たちも成長しましたね。このまま私達は目立つ行動を取りながら正面から屋敷を攻略していきます。リンはスキルを使用し周囲を壊しながら敵を殲滅しなさい。マリアは私達の補助と遠距離の対処です。良いですか?」
「「はい!!」」
「ちょうど良い感じに向こうもこちらに気付いてくれたようです。行きますよ」


そういうとエレナは炎を纏い闇夜の中周囲を照らしだした。


「お前ら何もんだ!!ここが誰の屋敷か分かってやってるんだろうな!?無事に生きて帰れると思うな!!」
「それはこちらの台詞ですよ?ケンゴ様の手を煩わせるようなことをして貴方たちこそ万死に値します。産まれたことを後悔しながら死になさい」


そうエレナが言葉を放つと同時に特大の火球を玄関前に放った。


「な、なんだとっ!?全員よけろ!!」


だが火球は玄関前にいた多くの人間を巻き込みながら地面に着弾しもの凄い轟音を立てながら辺りに火を振りまきだした。
あまりの轟音に周囲の家もただ事じゃないと慌ただしく動き出す音や声が聞こえだしている。
その時屋敷に飛び火しようとしている火から屋敷を守るように屋敷の壁がいきなり凍り出した。


「エレナさん駄目じゃないですか、このあとケンゴ様が屋敷に来られる手筈なっているはずですよ?燃やしてどうするんですか」
「ああごめんなさい、ケンゴ様の手を煩わせた人間の顔を見ているとどうしても無性に腹が立ってしまってついに先に手が出てしまいました。迷惑を掛けましたね」
「先ほどの守衛もそうですよ!マリアが予知して教えてくれたから間に合ったけど斬りかかるなら先に教えてください!」
「ええ、次からは気をつけます。でも貴方たちなら対処できるのだから問題ないのではないですか?」
「それでもです!万が一何かあったらケンゴ様が悲しまれますよ!」
「それは良くありませんね。私が間違っていました。以後動くときは念話で一言入れます」


そういうとエレナ達は入り口のドアを吹き飛ばしながら屋敷の中に入っていった。
中に入るとそこは広いエントランスがありエレナ達を囲むように男達が配置されていた。


「マリア、リン私達はこのまま上の階を目指します。地下は巳朗達が居るので問題はないでしょう。さぁ外でケンゴ様が待っています。手早く済ませますよ」
「「はい!!」」


そういうとエレナ達は男達に向かって駆けだして行った。



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