異世界をスキルブックと共に

気のまま

モーテン

あの後無事に晩飯は完成し今はエレナ達が晩飯をヘレン夫婦と一緒に食べている。
晩飯を作っている最中にエレナの昔話を聞いたのだがやはりカシムが言っていたようによく笑う子だったようだ。
話の中でも特にヘレンさんが語った「アドロフ、エレナの下着強奪事件」は面白かった。
皆も笑っていたし帰ったらカシムにも教えてやろう。
ただどうもヘレンさんと話した感じだとエレナが最近笑わなくなったという印象は受けていないようだ。
昔から変わらずと言っていたしエレナはヘレン夫婦の前だと昔みたいに良く笑うのか?
マリアたちもエレナさんは可愛いとか言っていたしまさかの俺の前だけツンドラになる疑惑が浮上している。
いったい俺が何をしたというのだろうか?
取り敢えず目的は達したので次に行こうかと思ったのだが折角一緒に作った晩飯だ。
ここで誰も一緒に食べないで帰るというのは寂しい物がある。
そこで俺はエレナ達を生け贄に今ギルドに向かい歩いている。
恐らくあのまま食卓に残れば唯一の仲間である俺に晩酌を勧めてくる可能性が高かった。
今晩はやらなければいけないこともあるしこの後モーテンと会わないといけない、
酒を飲んでいる場合ではないのだ。
そうこうしていると俺は問題なく冒険者ギルドに着いた。
入り口の扉を潜り周囲を見渡すがどうも今日もカスミちゃんの姿が見えない。
どっか行っちゃったのかな?
俺はカスミちゃんを探しながらついでにモーテン達も探していたら酒場のほうに盛り上がっている集団がある。
冒険者ギルドで待っていると言っていたし恐らくあれがモーテン達だろう。
俺がモーテン達に声を掛けるために近づいていくとモーテン達の話の内容が聞こえてきた。


「さすがですモーテンさん!!もうC級に上がるなんて!!ついこの間登録したばかりですよね!?やはりアルカライムの英雄の名は伊達ではないですね!!憧れます!!」
「いや俺なんてそんな凄いもんじゃ・・・」
「あなた!!急に話掛けたらモーテン様が驚くじゃない!!話がしたければ順番を待ちなさい!!」
「モーテン様!モーテン様!!見てください!!モーテン様と同じようにタトゥーを入れてみたんです!!似合いますか?」
「本当に凄いよな!!この間大森林近くの村に出たフォレストウルフ達を依頼を受けた翌日には全て倒して直ぐに解決しちまったんだろう?これはc級クラスにできることじゃねーよ!!恐らく来月にはB級に上がってるんじゃないか?」


いやはやもの凄い人気っぷりだな。
もの凄く話掛けづらい。
今話掛ければ確実にめんどくさい事になるだろう、
モーテンも周囲に押され気味だったし間違いない。
すまないなモーテン、俺は厄介事には極力関わらないようにしているんだ。
後で念話でこっそり待ち合わせでもすれば問題ないだろう。
俺はその場で180度回転し未だ盛り上がり続けるモーテン達を尻目に受付の方へと向かった。


俺が受付の列に並んでいる間も酒場のほうは食事時だからだろうかさらに人が集まり一際盛り上がりを見せている。
しかしモーテン達がいつの間にかC級に上がっているのには驚いたな。
俺は未だF級だが依頼をこなせばこんなに早く上がるものなのだろうか?
今度モーテンに聞いてみよう。
だがそれよりも問題なのはモーテン達のタトゥーだ。
先ほどの女性もモーテンと同じタトゥーを入れたと言っていたがそれで今日アルカライムに来てからずっと思っていた事がようやく理解出来た。
モーテン達のタトゥーがこの街で流行っているのだ。
今日この街に来たとき拠点の奴らと似たようなタトゥーを入れた人間が何人か歩いていたのだがまったく会った記憶がなかった。
俺が覚えてないだけかな?とも思ったがエレナ達も何も言ってこないし恐らく問題ない事なのだろうと気にしないようにしていたのだがまさかモーテン達のタトゥーを真似して入れた物だとは思わなかった。
そう聞いてよく見てみるとモーテンだけではなくモーテンのパーティのメンバーが入れているタトゥーの場所に真似して入れている人も見受けられる。
酒場の集団を見てもその同じタトゥー同士で固まって居るところを見ると既に各派閥ができているのだろう。
まぁタトゥーが広まれば俺が召喚した奴が紛れていい隠れ蓑になるだろうが逆にタトゥーを入れた犯罪者が出ると俺達もマークされかねない。
さてどうしよか、
後で拠点に戻ったら相談してみるか。
するとようやく俺の順番がきた。
もちろん俺が並んだのはリアナさんの列だ。


「こんばんわ、ケンゴさん本日はどのようなご用件でしょうか?」
「リアナさんこんばんわ、今日はクリフォードさんに会えますか?」
「ケンゴ様、申し訳ありません。ただ今ギルドマスターはナミラ平原での決戦に向け領主様と出兵の調整を行うため不在です。急ぎの用でしたら言付けておきますがいかが致しますか?」


おっと、クロフォードさんは不在なのか。
しかもアルカライムもナミラ平原に出兵するみたいだな。
元々勝ちに行く予定だったが知り合いが関わっているなら尚更負けられなくなったな。


「いえいえ、この間少しクリフォードさんに手助けして頂いたお礼を伝えようかと思っただけですのでまた落ち着いた頃に出直します」
「そうですか、一応ギルドに訪ねられた事は伝えておきますね」
「ええ、お願いします」


俺はリアナさんにそう伝えるとさらに人がさらに集まりだした酒場にいるモーテン達に落ち着いたらヘレンさんの武器屋に来るように念話を送り賑わっている冒険者ギルドを後にした。



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