異世界をスキルブックと共に

気のまま

襲撃前

俺は今アルカライムに来ている。
あれから会議の後ジャック組の選別を行った後エレナ達と一緒に王都の中に転移したのだがジャックが言うには襲撃にはあと数刻は待った方が良いとのことなのでエレナ達と一緒にアルカライムにやってきたのだ。
ジャックは襲撃の為に下見をしたいとのことなので王都に残している。
何故今アルカライムに来ているかというとモーテン達を連れてくるためだ。
いまやモーテンは王都にも名を轟かすアルカライムの英雄だ、
カズコさんも知っていたしまず間違いないだろう。
だったら今回王女様を救い出す大イベントに呼ばない手はない。
あいつにはアルカライムだけではなくこのエスネアート王国で英雄になって貰おう。
王都への移動時間を考えると誤魔化せるか少々不安だがまぁなんとかなるだろう。
元山賊の構成員が英雄へと駆け上がるストーリーとか実に面白い、
嘸かし人気がでるであろう。


後は会えたらクリフォードさんにこの間のカズコさんのとやりとりの礼を言いたいのとヘレン夫婦とカスミちゃんに会うためだ。
実は会議の後ジャック組の選別をしている間暇だったのでカシムを呼び出し気になっていた昔のエレナの話を教えてもらった。


「エレナは我が娘ながら昔からとても可愛らしい子でした。街でも子供から大人まで人気があり良くお菓子など貰ってきていましたよ。中でも俺達の冒険者パーティーでは特に可愛がっていて何処に行くにも引く手数多でそれは本当に毎日賑やかに笑いが絶えない生活を送っていました」


そうかそうか、大体予想通りだな。
やはりエレナは召喚する以前はよく笑い人当たりも良い優しい奴だったんだな。
それが俺のせいであんなツンドラのような冷たいイメージがぴったりの女性になってしまったようだ、
本当に申し訳ない。
そういえばヘレンさんとアドロフさんが今はエレナの後見人なんだがあの2人はエレナのことを本当の娘みたいに思っていると言っていたぞ?
今はヘレンさん達の家がエレナの実家だなと言ったら号泣してたしな、
カシム、お前の娘は本当に愛されているな。


「ああ、あいつらがそんなことを・・・私やエレナは本当に幸せ者です」


そう言って笑うカシムの顔は何処か少し寂しそうだった。
やっぱり知り合いに会えないのは寂しいか?


「ええ、やはりふと思い出したとき少しだけ寂しく感じます。ですが今私にはやるべき事も住むべき場所もありそして我が娘が愛されている事も教えて頂きました。それだけで十分です」


そうか、いずれこの拠点が大きくなって認知されだしたらいつか会える時が来るかも知れないが今は申し訳ないが我慢してくれ。


「ええ、期待しています」


そう言ってカシムは仕事に戻っていった。


さてカシムとの会話を思い出していたらいつの間にかヘレンさん家の武器屋に着いた。
今日は営業しているかな?
俺が扉を開け中に入るととても賑やかな声が聞こえてきた。


「あんた!!いつまで槌を振っているつもりだい?もう日が暮れるよ!!さっさと炉の火を落として店じまいする準備をしな!!あんたを待っていたら日が昇っちまうよ!!」
「いやでもなヘレン、このままだと依頼の品が間に合わねぇぞ?最近モーテンって奴を真似て剣に転向する奴が多いから在庫も底を突いちまう」
「それはあんたの腕が悪いからだよ!!人のせいにするなんて本当に男らしくないね!!エレナちゃんが見たら笑われちまうよ!!」
「そいつは困るな・・・だがさすがにエレナちゃんも仕事の事だしわかってくれるんじゃないか?」
「そんなこと私の知ったこっちゃないよ!!そこにいるエレナちゃんに聞きな!!」
「ああ、そうだな。そこに居るエレナに聞けば早いなってエレナちゃん!?いつの間に現れたんだ?」
「アドロフさんは本当に騒がしいですね。そんなんだからヘレンさんが怒るんですよ」


アドロフさんはその言葉に驚いている。
あぁ、分かるよアドロフさん。その周りに味方が1人もいない気持ち、
大丈夫、俺は味方だ。
しかし驚いたな、
今エレナが少し笑っていたぞ。
以前からヘレン夫婦と接する時は雰囲気が柔らかくなっていた気はしていたが笑ったのは初めて見た
やはり美人が笑うと良いものだな、いつも笑っているといいのに。


「それで今日は泊まっていくのかい?それとも晩飯かい?生憎晩飯の準備はまだ出来てないよ」
「いえ今日はケンゴ様がヘレンさん達に用があるみたいなので寄っただけです」
「ん?あの人が来てるのかい?ああまた隠れているのかい。取って食べやしないから出ておいで」


俺はいったいどう思われているのだろうか?
そう思いつつヘレンさんを驚かせないように少しづつ気配を現していく。


「こんばんわヘレンさん、お久しぶりです。相変わらず夫婦でお元気そうで良かったです」
「あら?いっちょ前に心配してくれるとは有り難いね。それで今日は何の用だい?」
「いえ用と言うほどのものではないのですがエレナの昔の話を少し知りたくて寄らせて頂きました。昔のエレナはどんな子だったんですか?」
「ッ!!ケンゴ様!!いったい何を考えているのですか?」


いや単純にエレナの昔話が聞きたいだけなんだが・・・お前らも聞きたいよな?
そう言いながら俺はエレナの後ろで空気になっている2人に問いかける。


「はい、出来れば聞いてみたいです」
「私も・・聞いてみたいです」


ほらみろ皆お前の昔話を聞きたいんだよ。
しかし以前から思っていたがリンは会話するときは凄く消極的になるな。
一度戦闘が始まるとあんなに敵に切迫して攻める前衛をしているのに雰囲気やイメージがかなり違う
まぁそこがリンの可愛いところでもあるんだがな。
俺はそんなことを考えながら1人慌てるエレナを横目に晩飯の用意をしようとしているヘレナさんに話を聞くため、晩飯作りのお手伝いをすることを申し出た。

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