異世界をスキルブックと共に

気のまま

会議2

さて次の議題だがこの拠点や俺達の今後の方針を話し合いたいと思う。
俺が皆に向かいそう発言するが皆首を傾げながら何故か疑問顔だ。
何かわからないことでもあっただろうか?


「(今後の方針を話し合うと言うことだが主様よ、何か変更があったのか?)」


ん?変更?
俺は方針を定めたつもりはないがこの拠点には何か既に方針があったのだろうか?
取り敢えず現状の方針を教えてくれないか?


「(主様の存在を世界に知らしめ、いずれこの拠点を中心に主様が世界を掌握することがこの拠点いや俺達全員の目的だ。)」


俺はいったいいつの間に覇道を歩み始めていたのだろうか?
この拠点すら掌握出来ていないのに世界を掌握するとか一般人の俺には到底不可能な話だ。


「(いや問題はない、主様の力を使えばこの世界を掌握し統一することなど容易に可能だ)」


俺の事を買いかぶりすぎではないのだろうか?
いやこれは厳密に言えば神様に貰ったスキルが世界を簡単に掌握できると言うことだろうか、
さすがは神様だ、幸運以外はもの凄い。
だが問題は俺に世界など統一するつもりがないことだ。
この世界にもいろんな種族がいるしいろんな文化がある、
これを統一し一つの国に纏め上げるなど不可能に近いしまずめんどくさい。
それぞれの場所にいろんな国や人種が独自の文化を築いて暮らしている、
大いに結構、とても良いことじゃないか
出来れば各々を尊重してたまに皆で旅などしながらこの拠点でゆっくり暮らしていきたい。
それに俺が最初にこの拠点を捨てずに拡張しようと思った理由とかけ離れているしな。


「取り敢えずお前達に言っておくことがある、俺は別にこの世界を掌握しようなどとは考えていないからな?」


その時今日一番のざわめきが会議会場を広がった。
いやいやお前ら動揺しすぎだ、
エレナなど俺を心配そうに見つめているのが窺える。


「あのケンゴ様、熱でもあるんですか?」


いやいたって正常だ。
だからポーションを用意したり妊娠中のゴブリンプリースト達を呼ばなくていいからな?
逆に俺が気を使ってしまう。


「それでしたら何故・・・?」
「そもそもなんで俺がこの拠点を捨てずに強化しようと思ったのかわかる人いるかな?」
「(だからこの拠点を足がかりに世界を掌握するのではないのか?)」


先ほども言ったように世界を掌握する気など毛頭もない、
お願いだからそこから離れて欲しい。


「(だったらケンゴ様はご自身の国を作ろうとしたのかな?)」


いや国を作ろうとは思っていなかったが結果それに近い物になりつつあるから間違いではないのかも知れない。


「ではケンゴ様はご自身の国を作り何がしたかったのですか?」
「そうだね、簡単に言うと皆が住める場所を作りたかったんだよ」
「皆が住める場所ですか?」


まぁピンとこないだろうな。
現在この拠点は人数も増え少しづつ開発も進んできている、
けど最初は酸っぱい果実の木と土の寝床しかない本当に小さな拠点だった。


「俺がこの世界に来たときは特に拠点など作ろうとも思っていなかったし最初はいずれこの拠点は破棄して人里に下りる予定だったんだよ。だけどある日俺にこの世界で初めての家族ができたんだ、ゴブ朗、ポチ、うさ吉お前達だ」


それを聞いたゴブ朗達は驚いたように目を見開いていた。


「そこにエレナが加わり、エレナが近くに人里があることを教えてくれた。もちろん俺の目的は人が住む場所に行くことだったから行かないわけがない。だけどエレナは人間だがゴブ朗たちはどうだ?魔物だ、容易に人里に下りられないことなど簡単に分かる。俺も初めてゴブ朗達に会ったときもの凄く敵対されたしな。もう大体分かるな?俺はなゴブ朗、お前達が幸せに笑って過ごせる場所が作りたくてこの拠点を捨てずに強化する道を選んだんだよ」


「(主様、俺達のせいで・・・)」


いやそんな申し訳なさそうな顔をしなくていいぞ?
お前達のせいで俺がこの拠点に縛られているわけではない、
俺がお前達の為にしたくてやっているだけだ。


「それに今ではカシムみたいに一度この世界で死んだと認知されている奴やオルドやジャックのように悪行を働いて普通に暮らしにくい奴も大勢居るからな。それに魔物勢もかなり増えた。俺はその全てが幸せに笑って暮らせる場所作りたい。だから別に他の集落や国など武力を使って制圧する必要はないんだよ。
そんなことしてたらお前達が怪我をして死んでしまうかも知れないしな」
「では私達は今まで・・・」


ああ、そんなに落ち込まないでくれ。
今まで全部俺のためにやってくれたことなんだろう?
そのおかげで拠点も大きくなったし魔石のポイント収入もうなぎ登りだ、
何も問題はない。


「だからこれからは無理に拠点を広げる必要はないよ。拠点の発展を第一に考え、もし周囲に集落や部落があったらまず武力以外の方法で接してみて欲しい。もし駄目でも無理に迎合する必要もない。その集落や部落の考え方も有るだろうし尊重していこう。だがもし敵対する勢力があるならばそれは完膚なきまでに叩きめして良い、我が拠点、家族を傷つける輩は何人たりとも許すな。ゴブ朗お前達は俺の国を作ってくれるんだよな?だったら力で世界を掌握するのではなく世界が自ら迎合するような俺が誇れるような国を作ってくれ、できるな?」
「(了解した)」


ゴブ朗がそう言うと席を立ちその場で跪き頭を下げた。
すると周囲もそれに倣い皆頭を下げだした。
いやいやいきなり頭を下げられてもどう対処していいのかわからない、
お願いだからそういうのは止めてくれないかな?


「(俺達はこれから世界一の国を作る。主様はその国の王だ。これくらいで動揺して貰っては困るぞ?)」


ぐっ、そう言われると頼んだ手前止めろとは言い辛い。
しかしこれでもう大丈夫だ、
やっとゴブ朗達とわかり合えた気がする。
ここからだ、
ここから俺達の笑って暮らせる国ができるんだ。
俺は周囲で未だ頭を下げ続ける皆を見渡しまだ見ぬ国を思い描きながら会議の終了を告げた。





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コメント

  • ペンギン

    納得したのかな...?

    0
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