異世界をスキルブックと共に

気のまま

会議1

俺は今拠点の広場で土魔法を使い椅子とテーブルを作っている。
これから行われるお姫様救出大作戦の会議会場を作っているのだ。
イメージは円卓で皆に認識しやすいようにマップから型を取り王都のミニチュアも完備している
抜かりはない。


あの後直ぐに拠点にいる各代表達に手が空き次第広場に集合するように収集を掛けた。
拠点で暇な人も集まるように念話で号令を掛けたのでそこそこな人数が集まるだろう。
円卓の周りにも皆が座れるように観客席を設けている。
今回お姫様救出大作戦の他にもこれからの方針を話し合う予定だ。
聞いてる人は多い方が良い。
すると少しづつ人が広場に集まりだした。
皆気さくに挨拶を交わし談笑しながら席に着いていく。
本当に拠点の中では皆良い奴ばっかだな。


それから30分ほど各代表も問題なく集まり着席を確認後会議を開始した。
さて本日の議題は今晩王都に捕らわれている王女様の救出だ何か良いアイデアがある人はいるかな?
するとゴブ朗が早速手を上げた。


「ゲギャギャ、グギャッゲギャググギャ」


ああそうだった、皆こちらを見て俺の返答を待っているようだが俺ゴブ朗達の言葉分からないからな?
まず通訳係を決める必要がある。
誰かいないかな?


「それでは私がその役目を担いましょう」


立ち上がろうとしていたエレナを横目にジャックが手を上げながらその役目に就いた。
いや別に誰でもいいんだからそんなにジャックのことを睨まなくてもいいんじゃないか?


「すみませんエレナさん。今回は私達黒の外套が関わっている案件ですので新参者の私が会議に参加し発言しやすいようにまず通訳として各代表に覚えて頂く方が都合がいいんですよ。申し訳ありませんが今回は譲ってください」


まさかあの一瞬でここまで計算して発言しているのか?
俺とは頭の作りが違いすぎる。
本当にこの拠点は俺以外が優秀だな。
それでゴブ朗はなんて言っていたのかな?


「(王女とやらを救出に行くのは構わないがどういう経緯で捕まってどのような場所に捕まっているのかを詳しく教えて欲しい。そうじゃないと誰を向かわせていいのか、何をすれば良いのかわからない)」


え?あのゴブ朗が発した短文がまさか翻訳されてこんな長文になって返って来るとは思わなかった。
ゴブリンの言語はどういう文法で構成されているのだろうか?
俺がゴブ朗に王女達の事を説明しようとしたら。


「でしたら私が簡単に説明させて頂きます。この拠点が参加するナミラ平原の決戦に勝利するため帝国が王国の王女達を捕獲しました。このままだと王国側で参加するご主人様にナミラ平原で泥を塗るような行為が行われる可能性があります。そのため帝国に王女が引き渡される前にこちらが奪い返す必要があります。さらに王女を取り戻せば王国でのご主人様の地位も向上し色々と有利に働く可能性もでてきます」


あれ?ジャックは俺達がナミラ平原の決戦に参加すること知っていたっけ?


「ご主人様が設営している間にこの拠点の現状は粗方聴取済みです」


なんだろうこいつ。
完璧すぎるんじゃないか?


「それで今回の王女救出作戦ですが。現在王都のとある屋敷に第3王女が捕らわれています。これはご主人様のマップで確認しましたが黒の外套が隠れ家として使用している屋敷で地上3階地下1階の構造をしています。現在第3王女が屋敷の何処に捕らわれているかは不明です。さらに第3王女を捕獲したのと同時期に第2王女も捕獲されているので同じ屋敷に拘束されている可能性が高いです。そのことを踏まえて襲撃を行う方が良いと進言致します」


ジャックは口頭で説明しながらも俺が作った王都ミニチュアでゴブ朗達に詳しく説明していく。
これ別にエレナが通訳係をしてもジャックは皆に覚えられたんじゃないか?


「(と言うことは最低でも敵を無力化する奴と王女を捜索する奴が必要だな。誰か行きたい奴はいるか?)」


ああすまん、言い忘れていたがそこは王都の中だ。
目立つ魔物であるゴブ朗やポチ、うさ吉に熊五郎とかは行けないからな?
その俺の発言を受けゴブ朗達は驚愕に目を見開いている。
こいつら行くつもりだったのだろうか?


「(だがそれだと誰が部隊の指揮を執るんだ?)」


ん?それはエレナだと駄目なのか?


「私だとマリアやリンのようにいつも一緒に行動している人間や部隊の人数が少ない状況でしたら問題ないのですがやはり人数が多くなりさらに部隊を分けることになるとゴブ朗先輩のように指揮に慣れている人で無いと厳しいと思います」


そういうものなんだろうか?
俺はあまり大勢を指揮し動かした事が無いのでよく分からない。
なら指揮する人間を増やしたらどうだ?
最近ダンジョン等で戦闘を鍛えているエレナとマリアとリンを殲滅に回し、
王女の捜索をジャックを筆頭に何人か選別して連れて行けば良い。


「ケンゴ様!!さっき召喚されたような新参者を起用するのですか?」


エレナが席を立ち反対してくる。
いやさっき召喚されようが優秀な奴なら使うのが正解だろう。
こちらの被害を最小にするためにも頭は優秀であるべきだ。
だからそんな通訳係を取られたからって目くじらを立てるなって、
一応俺も行くし何かあったら直ぐに動くから大丈夫だ。


「新参者ながらそのような大役を任せて頂き光栄です。必ず成功させてみせましょう」


ああ、頼む。人選についてはこの後ゴブ朗達と相談してくれ。
あまり大勢では行けないから少数精鋭で頼むぞ?
それで屋敷にはどう攻め込もうか?


「私が王女の捜索をさせて頂けるのでしたらエレナさん達には出来れば正面から踏み込んで頂きたい。その間に屋敷の周囲に何人か配置し包囲しながら私は屋敷に隠された地下通路から侵入を試みます」


屋敷の地下にそんな物があるのか。
今回黒の外套のメンバーを召喚出来たのは運が良かったな。
誰かこの案に反対の意見がある奴はいるか?


「(意見はない、そのジャックとやらが一番屋敷について詳しいのならその者が進める作戦で行くのが最も成功する確率が高いだろう)」
「(だけど王女を回収したらどうするの?この模型だと他の屋敷も密集しているし周りが騒ぎ立てるんじゃないかな?)」


一瞬誰が喋りだしたかと思ったがうさ吉か。
こいつあんなに図体が大きくなったのにしゃべり方はえらく大人しいな。


「それはエレナさん達次第になります。エレナさん達が問題なく敵を鎮圧出来ればご主人様に屋敷に入ってもらい中で全員で転移します。ですが鎮圧が出来ない、又は間に合わなかった場合は私達は王女を連れ来たとおりに地下通路を抜けそのまま黒の外套が使用する秘密の抜け道を使用し王都を抜けます。エレナさん達は敵を牽制しながら撤退してください。さすがにご主人様も側にいるのでそれぐらいは問題ありませんよね?」
「あら、言いますね?わかりました見ていなさい、貴方が王女を見つける前に敵を殲滅してゆっくり捜索出来るようにしてあげますから」
「そうして頂けると助かります」


エレナは対抗心を燃やしているようだがこれはジャックが一枚上当てなんじゃないか?
上手くエレナを焚き付けている。
これは大丈夫そうだな。
俺は王女救出大作戦の成功を確信しながら次の議案へと話題を変えた。



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