異世界をスキルブックと共に

気のまま

回復2

「私は実は別の世界、恐らく最近召喚された勇者達と同じ世界に暮らしていたんだけど急遽神様のお願いでこの世界に来ることになってね。エレナ達は大げさに言っていたけど私はごく普通の一般人だからそんなに気を遣わなくてもいいからね。」
「いや、いくら一般人とはいえ今は私達のご主人様なんですから気を使いますよ。それに一般人は神様と会ったり伝説の時空魔法は使えませんよ」


そんなものなんだろうか?
確かに神様から貰った力は凄い気がするが俺は前世も今世も一般人を自称するのを止めるつもりは無い。
良く見るとサラも後ろで頷いている。
しかしこの世界では凄く神様の存在が大きいんだな。
今はいないみたいだけど神話の世界の時に何かあったのかな?
気になるし後で図書館に行って調べてみるか。


「それとご主人様は勇者様と同じ世界から来たと言っていたけどご主人様も勇者様なんですか?それとも逆に勇者様も神の使者なんですか?」
「それは私も気になっていることでね、実際勇者に会ってみないことにはわからないんだよ。一応神様は私1人だと言っていたけど実際来てみると同じ世界から勇者が召喚されていたからね。いずれ会いに行くから申し訳ないけどその時まで我慢してね」
「はい、その時教えてくれると有り難いです。錬金を嗜む手前古文書や歴史の関係の本を読むのが好きなので神の使者や勇者様の話などここ数千年無かったことなのでとても気になります」


勇者召喚も数千年単位なのか?
たまたま今回の召喚が被ったのだろうか?
いやでも数千年単位のものが被るとかいったいどれくらいの確率になるだろうか?
誰か答えを教えて欲しい。
取り敢えず勇者に会えるまでは置いておくしかないな。


それよりもまずするべき事を済ませておこう。
俺はサラを呼びこれから治療を開始することを告げる。
サラは拠点に来てこれほど直ぐに治療するとは思っていなかったのか驚いているように見える。


「大丈夫、直ぐに声を出せるようになるから」


俺はそう声を掛けながら彼女の喉に優しく手を添えた。
いつも通りに回復魔法を掛けていくとやはり声帯周辺がダメージを負っているのか少し手応えがあった。
さらにサラはいきなり魔法を掛けられたせいか少し身体が強ばっている。
ずっと力を入れていると疲れるぞ?
俺は回復魔法を掛けながら彼女に肩の力を抜くように指示をする。
10分ぐらい経っただろうか?ようやく回復魔法に手応えが無くなった。
周囲を見ると俺の魔法が収束していく光景に固唾を飲んでいるのが見える。
皆心配していたのだろう、大丈夫だ恐らく治っている。
俺は治療を終え一歩だけ離れてから彼女に声を掛けた。


「恐らくもう喉は治っているからゆっくり声を出してごらん」


彼女は頷きながら喉を確かめるように手を添え少しづつ声を出し始めた。


「あ・・ああ・・・声が・・・声がでます・・・」


彼女は感極まったのかその場で大粒の涙を流し出してしまった。
周囲の女性陣ももらい泣きをしている。
治って本当に良かった。
だがどうしよう、予想以上に泣き出してしまった。
俺にこの涙を止める手立てはない。
取り敢えず俺はマリアとリンの時と同じように泣き止むまで頭を撫で続けた。


ようやく泣き止み少し落ち着いたのか彼女はいきなりこちらに頭を下げてきた。


「あ・・あの・・ありが・・とう・・ございま・・す。この・・ご・・おんは・・・かなら・・ず・・」


いや大丈夫だ。
別に恩を着せる為に助けたわけではないので気にしなくていい。
お礼なら例の奴隷商の人にしてあげるといいだろう。
だがまだ治ったばかりで声帯も思い通りに動かないだろうから慣れるまでこの拠点で療養していて欲しい。
俺はそう伝えるとマリアとリンに2人を任せ次の作業を行うため中央の広場に移動した。


さて次の作業はお姫様を襲っていた奴らの召喚だ。
最近拠点も活気づいて来ているし人員を増やしても問題ないだろう。
俺は早速念話で拠点で手の空いている奴らを集めて40人弱の人間を解体した。
慣れというものは本当に怖い。
以前は人間の解体は他の奴らに任せていたが最近では人間を解体するのに嫌悪感が薄れてきている。
このまま何も感じなくなる日が来るのだろうか?
それは少し恐ろしい。
解体が終わると早速召喚を行う。
40人弱の男女が裸で並ぶとやはり壮観である。
タトゥーの場所も人それぞれ違うが似たような場所にある人もいる。
何か法則性でもあるのだろうか?
取り敢えず今死体から剥ぎ取った服を着て貰いいつも通りオルドにこいつらの世話をするように指示する。
おっと、その前にお姫様を襲った理由を知っている奴はいるかな?
俺の質問に答えるように10人程手を上げる奴らがいた。
じゃあ残りはオルドについて行って今手を上げた人は俺に襲撃の内容を教えて貰えるかな?


「では私めが説明させて頂きます。まず私の名前はジャックと申します。王都で黒の外套を取り纏めていた1人でございます。以後お見知りおきをお願いします。この度は帝国の依頼により王国を攪乱しナミラ平原の決戦を確実な物とするため王女の誘拐を計画していました。私達の担当はご主人様もご存じの通りクリスティーナ・エリザベート・アン=エスネアートです。」


また黒の外套か・・・
ホント何処にでもいるな。
我が拠点でも半分ぐらい元黒の外套じゃないか?
俺はさらに詳しく聞くためにジャックに続きを促した。

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