異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都のギルド4

「実はうちの子の1人が特異な体質でしてその子に触れると所持しているスキルが消失してしまうんですよ」
「それは本当なの?」
「ええ、スキルが消失したら具合が悪くなる症状が見られるのであそこに倒れている男性達は恐らくスキルを失っています」
「それが本当なら一大事よ。少しここで待っていて」


そういうとカズコさんは奥の部屋に戻り以前クリフォードさんのところで見たステータスを確認出来る水晶を持ってきた。
急ぎ倒れている男性を解放しながら水晶を使用しステータスを確認しているようだ。
倒れている男性と何度か言葉を交わし確認出来たのかこちらに戻って来た。


「確かにケンゴちゃんが言ったとおりにスキルが全てなくなっていたわ、このようなことは以前からあったのかしら?」


リンの奴スキル全部取っちゃったのか。
最近大分ユニークスキルにも慣れてきて強奪するスキルをある程度選べたはずだがまぁ襲ってきたのは向こうだししょうがないか。


「ええ、この子らはアルカライムの奴隷商で購入した奴隷なのですが、奴隷に落ちる前から呪い子と迫害を受け私が購入したときにはそれはもう酷い状態でしたよ」


その言葉を聞きカズコちゃんは険しい顔を浮かべた、どうかしたのだろうか?


「そう、その子達も被害者なのね。たまにあるのよ原因がよく分からないけど周囲に悪影響を与える子が産まれることが、大抵は早々に間引かれるけどその子らはちゃんと育てられたのね」


いや全然ちゃんとはしていなかったぞ。
最終的には殺されかけていたしな。
けどこの世界はやはりユニークスキルは認知されていないようだ。
これはいずれユニークスキル持ちの子が産まれたらどうにかして引き取る手段を考えないといけないな。
よく分からないからと殺されたら余りにも不憫だ。
スキルが悪いだけでその子らには罪はないしな。


「この子らもわざと周囲に悪影響を与えているわけではないですからね。今は回復して私の従者として働いてもらっています」
「でもその子が呪い子だとしたらもうあの男性のスキルを戻すことは厳しそうね」
「そうですね、以前のスキルを取り戻す事は不可能でしょう。新しくスキルを取得できるよう努力するしか有りませんね」
「やっぱりそうよね、襲いかかったのはこちらだから相手に請求する訳にはいかないし、困ったわスキル消失の保証なんて事例がないからどうしようかしら」
「スキルが無ければ冒険者として食べていくのは少し厳しくなると思うので新しくスキルを獲得する手助けとそれまでの生活を保障してあげれば良いのではないでしょうか?」
「そうね、そこら辺が落とし所だとは思うのだけどいきなり今まで培ったスキルが全て無くなると気持ちの整理が追いつかないと思うわ」
「そうですか、何か私達に出来ることはありますか?」
「申し訳ないけど何もないわ。できれば今日はこのまま帰って貰えると助かるわ。彼らも貴方たちがいると心穏やかにいられないだろうから」


こちらが被害者だというのに加害者っぽくなってしまったな。


「わかりました、ではまた日を改めて出直します」


そういうと俺はエレナ達を連れギルドを後にした。
黒の外套が使用している抜け道教えてないが良かったのだろうか?
出るときに男達からもの凄く険しい目を突きつけられたがこちらは襲われた側である、正当防衛だ。
勘違いで襲ってきて出た被害を補填しろと言われても困る。
指名手配を精査せず慣行したギルドを責めるべきだ。
それにしても俺を指名手配したのは誰だったのだろうか?
見つかったら大変なことになりそうだ。
俺はまだ見ぬ犯人の事を考えながら路地裏に入り拠点へと転移した。


拠点に戻ると驚く奴隷達の中からいきなり大きな声が上がった。


「これは!!これは空間魔法なんですか!?それにあの街灯!光量が多いですがどういう作りなんですか?ここは他にも魔道具はあるんですか?」


魔道具制作スキルを持つ男が興奮しながら俺に問い詰めてきた。
ビックリするからいきなり声を張り上げるのは止めて欲しい。


「なんですかいきなり?ケンゴ様が困っているでしょう?今すぐその手を放しなさい」
「空間魔法ですよ!?あの伝説の!!興奮しないわけないじゃないじゃないですか!!これであの勇者が持つスキルアイテムボックスを再現する物が作れる可能性があるんですよ!?貴方こそなんで冷静でいられるんですか?正気ですか!?」


いや正気じゃないのはお前だろう。
エレナ相手にここまで強気に出れる人間は久しぶりに見たな。


「アイテムボックス再現?この収納袋の事ですか?」


待てエレナ、今そいつにそのことを教えたら拙くないか?


「まさかそれは・・・」
「ケンゴ様がお作りになられた収納袋ですよ。時空間魔法が込められており中の空間が拡張されて収納した物の時が止まります」
「うおおおおおおおおおお」


なんだろうエレナは誇らしげに説明しているが周囲を見てみろ。
その男に皆ドン引きしているぞ。


「まさか!まさか!!空間魔法より上位な時空間魔法だったなんて!!もう神話の世界の話じゃないですか!!ご主人様は凄すぎます!!まさか神様なんですか!?」
「神様ではないですがあの神話の世界の神様からこの世界に使わされた使者様で有らせます。その使者様の元で従者として働けるのです。その栄光を噛みしめながら励みなさい」
「はい!!まさか奴隷に落ちたときはもう駄目だと思ったのにまさかこのような幸運に巡り会うとは!!生きていて良かった!!ご主人様!!できれば他の魔道具も見せて欲しいのですがよろしいでしょうか!?」


駄目だまったくこの人のテンションについて行けない。
エレナだけが満足そうに魔道具の男を見ている。
取り敢えずエレナに任せるか。
俺は魔道具の男に拠点の魔道具を調べる許可を与えながらエレナに拠点を説明するように指示をした。
その後俺達はエレナ達を見送りながら残りの2人に拠点について説明しようとしたのだが・・・


「あの・・・ご主人様は本当に神様の使者様なんですか?」


ああ、まずはそこからか。
少し申し訳なさそうに聞いてくる錬金スキルの女性に向き直り俺は説明を始めた。



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