異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都のギルド3

「それで私の嫌疑は少しは解消されましたか?」
「ええ、黒の外套との繋がりや殺人辺りの嫌疑はもう無視しても良いわね。アルカライムでの事しか分かっていないけどそれでも十分な功績だと思うわ」


その功績でなんで強姦の嫌疑は無くならないのだろうか?
俺そんな嫌らしい顔をしているかな?
さっきクリフォードさんも顔はパッとしないと言っていただろうに。
いやまだ大丈夫、忘れているだけかもしれない。


「次は罪状の洗脳と誘拐の説明ですね」
「強姦を忘れているわよ」


確信犯だったか。
周囲の目も完全に強姦魔を見る目だ。
お願いだから止めて欲しい、無実だ。


「そうですね強姦も説明しないといけませんね」
「当たり前よ、誘拐して洗脳した後強姦なんて決して許せる物じゃ無いわ。全女性の敵だもの、もし本当なら極刑ね」


あぁさらに一層皆の視線が厳しくなった。
もう絶対犯人だと思ってるよこれ。
だが問題はそれを証明する手段が無いことだ。
どうしよう・・・


「説明はしてくれないのかしら?」
「あぁそうですね、説明はしたいのですが現状無実を証明する手段がなくて少し考えていたんですよ」
「あら正直ね。でもどうするの?このままだと私達は貴方たちを捕縛しないといけなくなるわよ?」
「少し考える時間を・・・」
「ケンゴ様そんなに悩まなくても大丈夫ですよ」


すると鎮火したエレナが突然話に割って入ってきた。
悩まなくても良いとはどういうことだろうか?


「エレナちゃん?あなたの証言は証拠として採用できないわよ?」
「証言は採用できないのですよね?では調べられる証拠を用意すれば良いだけの事です」


調べられる証拠?そんなもの存在するのだろうか?


「そんなもの貴方に用意できるのかしら?」
「ええ、とても簡単なことですよ。私の身体にあります」


エレナの身体?まさか・・・


「私は処女です」


そうエレナが発言した瞬間ギルド内の時間が止まった気がした。
誰もその発言の内容が理解出来ないかのように呆けた顔をしている。
どうするんだよこの空気。
もう俺の手には負えないぞ。


「ケンゴ様の為でしたらいくら調べて貰っても構いませんよ?」


なんと剛毅な女なのだろうか。
召喚したときは裸を見られるのを恥ずかしがっていたのにどんな心境の変化があったんだ?
すると何故か後ろからも援護射撃があった。


「あの・・・私も経験はありません・・・」
「私も・・・」


マリアは下を向いてとても恥ずかしそうにしているが問題はリンだ。
まるで茹で蛸のように顔を真っ赤にして今にも倒れそうだ。大丈夫か?
さらによく見るとマリア達の後ろにいるサラと錬金の女性まで覚悟を決めたような顔をしている。
いや、言わなくていいからな?
俺は急いで2人に向かってジェスチャーで伝えようと試みたが。


「・・・・・」
「私は経験あるよ、けど相手はご主人様じゃないね」


全然伝わらなかった・・・
サラは声が出ないので頷いているだけなのでどちらか分からない。
周囲の男達は答えを待っているかのようにサラに注目している。
いやいや答えさせないからな?歌姫の性事情などスキャンダルになってしまう。
しかしこれでサラと錬金スキル持ちの女性以外処女だと言うことがギルドに知れ渡ってしまった。
ギルドの男共のエレナ達を見る目が先ほどと違う気がする。
俺のせいで皆に申し訳ないことをしてしまったな・・・


「それで調べるのですか?調べないのですか?早く決めてください」
「いいえ結構よ、こんなむさ苦しい男達の前で乙女にこんな告白をさせたのだもの嘘なわけがないわ」


恐らくギルド内全男性が調べる方に期待していたのだろう、落胆ぶりが凄まじい。


「それではケンゴ様の容疑は晴れたと考えて良いのでしょうか?」
「ええそうね、貴方たちを見ていると誘拐や洗脳の線も薄そうだしね。何故こんな指名手配が出たのかしら?」
「それはそちらが調べることでしょう?もし詳細が分かったら教えてください。この騒ぎの報いを受けさせなければなりません」
「調査の結果を教えるのは良いけど貴方が手を出したら駄目よ。犯罪になるわ。必ず罰は与えるから心配しないで」
「分かりました、貴方を信じましょう。では最後に一応王都で私達の身分を証明する物を提示します。ケンゴ様例のメダルをお願いします」


例のメダル?
ああ、お姫様に貰ったやつか。
俺は収納袋から一枚のメダルを取り出しカズコちゃんに見せる。
その瞬間カズコちゃんは今日一番驚いた顔を見せた。


「これは王家のメダルじゃない!!ケンゴちゃんいったい何処でこれを手に入れたの?」
「何処で手に入れたかは関係ないんじゃないですか?これを持つケンゴ様は王家と第3王女がその存在を認め保護している存在です。それを指名手配するなど王家を疑うに等しいことだと思いますがどう思われますか?」
「たしかにその通りだわ、これは詳しく調べる必要があるわね」


凄いなこのメダル。
特に王都に住む人には絶大な効果があるんじゃ無いか?


「冤罪だとしたら本当に申し訳ないことをしたわね。王都のギルドを代表して副ギルドマスターである私カズコがここに謝罪するわ。本当にごめんなさい」
「いえいえ構いませんよ。カズコさんも指名手配されている人間を捕縛しようとしただけですし気にしないでください。それにこちらも謝らないといけないことも有りますし・・・」
「貴方が謝らないといけないことなんて何かあったかしら?」
「はい、実はうちの奴があそこに吹き飛ばした男性ですが・・・」
「あぁ良いわよ気にしなくて。私が動かしたんだから保証はギルドが持つわ」
「いえあの男性ですが恐らく所有しているスキルを失っています」
「それはどういうことかしら?」


俺そう伝えながら視線を上げると目の前には先ほど謝罪したときの笑顔が嘘のような鬼の形相のしたカズコちゃんがいた。
黙っていたほうが良かったかな・・・・
俺は後悔しながら説明を始めた。

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