異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都のギルド1

その後問題なく奴隷契約を終わらせ俺達は奴隷商を後にした。
次は王都の冒険者ギルドに向かおうと考えているのだがなんだろう?
先ほどよりも多くの視線を集めている気がする。
奴隷達を含め8人の団体となったので先ほどより目立つのは分かるのだがそれが原因じゃない気がする。
すると年配の女性が突然こちらに話しかけてきた。


「ちょっとあんたら、後ろに連れているのは歌姫じゃ無いのかい?」


あぁサラが原因だったか。


「ええ、そうですが何か用ですか?」
「いや最近めっきり見なくなっていたものだから気になっていてね。もう喉は治ったのかい?」
「いえ、まだです。これから治療に向かうんですよ」
「ああそうかい!治ったら教えておくれ!急に居なくなったから皆心配していたんだよ。歌姫の歌を楽しみにしている奴はまだ大勢いるんだから頑張って喉を治すんだよ!!ほらこれ食べな」


そういうと女性はサラになにか渡しながら何処かへ去って行った。
サラに何を渡したのだろうか?
気になり確認するとそれは歪だが丸い飴のような物だった。
この世界じゃ砂糖は貴重だろうに・・・
そう思いながらサラを見るととても嬉しそうに微笑んでいた。
うん、やはり美女には笑顔が似合うな。
エレナももっと笑うと良いのに。
しかし店主は応援していた人も見限ったと言っていたが全然そうは見えない。
何かあるのだろうか?
まぁサラを治して王都でまた歌い出せば自ずと分かることだろう。
俺はそう見切りを付け王都の道を進んだ。


一時歩いただろうか俺達は王都のギルド前に来ていた。
建物自体は3階建てでアルカライムのギルドより1.5倍ほど大きく見える。
さらに驚いたことにこの建物は先ほど入ってきた街門と直ぐ目と鼻の先に存在していた。
無知というものは恐ろしいな。
何処かに地図売っていないかな?
そう考えながら俺達はギルドの入り口を潜った。


中に入るとさすが王都なのか人がごった返していた。
アルカライムとは違い酒場は無く、受付の数が多い。
依頼の掲示板や資料の書庫なども大きく見える。
俺達が入り口でギルド内を眺めていると早速俺達に片手を上げながら声を掛けてきた人が居た。


「おい!ねーちゃん!初めて見る顔だな?これから冒険者になるなら俺が手ほどきしてやろうか?」
「おいおいお前じゃ力不足だろう!こんな別嬪だ、俺ぐらいじゃねーと釣り合わねーよ」


話掛けられたのは俺じゃ無かった・・・
危なかった・・・
危うく片手を上げ反応しかけたじゃないか。
しかしエレナは男達を一瞥しただけでそのまま俺の後ついてきた。
良いのだろうか?この手は輩は無視するともっと絡んで来そうだが・・・


「おい!!無視してんじゃねーよ!!」
「お高くとまってると痛い目見るぞ!?」


そういうと男達はエレナの腕を掴もうとするがその前に予知したのかマリアとリンから投げられていた。
凄い音がしたが大丈夫だろうか?
確かに綺麗な人を見つけて絡みたくなる気持ちは分からなくはないがここは王都のギルド内だぞ?
アルカライムでもクリフォードさんがギルド内では暴力沙汰は御法度と言っていたのに今回は誰が出てくるのだろうか?
そうこうしていると騒ぎを見ていた人や聞きつけた人が周りに集まり始めた。


「おいおいギルド内でケンカか?」
「命知らずもいるもんだな!それにあれ歌姫じゃねーか?久しぶりに見たぞ」
「なんだと!?歌姫だと!!どこだ!?俺ファンなんだよ!サイン貰えねーかな」
「それにしてもあの前にいる3人は美人だな、初めて見るが新人か?」


周囲の人間が好き放題話している。
だが誰も男達を助けようとはしていない。
どうしよう?うちの奴らがやったことだし俺が介抱しに行くかな。
俺がそう考えながら倒れた男達の方に向かおうとしたとき奴は現れた。


「あらあら、これはいったいどういうことかしら?前から問題起こしたら私が個別指導を行うと明示していたはずよ?今回は誰が私と一緒に熱い夜を過ごしてくれるのかしら?」


そこには2mを超える大きな男・・・いや女だろうか?一目見ても分かるぐらい筋骨隆々な見事な体躯をしているが顔には綺麗に化粧が施されている。髪も長いし言葉遣いも女性らしい。
だが誰でも分かる簡単なことがある、
あの人と2人で熱い夜を過ごすことは絶対に回避しなければならないということだ。


すると今回はマリアが手を上げその男女の人に答えようとしていた。
珍しいな、投げたのがマリアだからか?


「そこの寝ている男の人達がエレナさん、この赤い髪の女性に言いかがりを付け掴みかかろうとしていたので私とこの子リンと2人で投げ飛ばしました。お騒がせして申し訳ありませんでした」
「ごめんなさいです」


そういうと2人は素直に頭を下げた。
凄いな周囲の雰囲気が一気にマリア達を被害者に押し上げている。
2人の顔ももの凄く申し訳なさそうだ。
俺は2人のコミュ力に驚愕していると奴がさらに喋りだした。


「3人とも私には劣るけど確かに綺麗な顔をしているし、そこの寝ている男達が声を掛けたのも分からなくないわね、誰かその現場見た人いるかしら?」
「あー俺も偉い別嬪が入ってきたから見てたが大方彼女らが言ってることで間違いねーよ」


入り口に居た男が手を上げ答えてくれる。
なんだ初めはどうなるかと思ったが良い人が多いな。
いやあの男女の人が怖いだけか?


「これで今夜の私の相手が決まったわね。それじゃそことそこに居る人、そこで寝ている男が起きる前に縛って私の部屋に連れて行っちゃって」


男女がそう言うと余程怖いのか指摘された男達はスムーズな動きで寝ている男達を縛って連れて行った。
いやかなり手慣れている、縛る縄の場所とか誰にも聞かずに取りに行ったしな。
これが王都のギルドの日常なのか?
そうだとしたら恐ろしいな・・・
俺がそんなことを考えているとエレナが男女に話掛けた。


「それでは私達はもう行っても良いのですか?」
「ええ、うちの冒険者が迷惑を掛けたわね。それに初めて見る顔だけど貴方たちこのギルド初めてかしら?罪滅ぼしに私が案内しましょうか?」
「いえ、結構です。ケンゴ様がギルドに用が有るようでしたので立ち寄っただけですので」


ナイスだエレナ。
あの男女の人に付きまとわれては安心してゆっくり探し物もできたもんじゃない。
俺がそうエレナの英断を褒めようとした時その声はギルドに響き渡った。


「全員その新顔達を包囲しなさい!!隙有れば各自の判断で捕縛!!抵抗するようであれば多少の暴行も許可します!!」


一気にギルド内が殺気立つ。
あれ?これ俺達を捕まえようとしているのか?何でだ?
その日俺達はいきなり敵意に満ちあふれた視線に囲まれることとなった。



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