異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都の奴隷商1

「いらっしゃいませお客様。本日はご用件はなんでしょうか?」


俺が店に入るといきなり受付にいた男の1人に話しかけられた。
さすが王都ということだろうか。
この店はアルカライムにあった奴隷商の店よりも遙かに大きいし雇っている人間も多いようだ。
俺はエレナ達を入り口に待たせ男に答える。


「今日は奴隷の下見と購入に来ました。誰か良い奴隷はいますか?」
「奴隷の購入ですね。もしかしてお客様は戦闘奴隷の御購入をお考えですか?」
「いえ、どちらかというと街を作ったり、豊かにするスキル持ちを探しています。戦闘奴隷が何かあるんですか?」
「はい、現在エスネアート王国は帝国と戦争状態にあり、この後行われる決戦にの為に戦闘奴隷は全て王国に買い取られ在庫不足なんですよ。それに今後もしもの事があったら困るので身を守るために戦闘奴隷をお求めになられるお客様が多数いらっしゃるのですが売れる戦闘奴隷もいないのでクレームが多くて困っているんですよ」
「それは大変ですね。エスネアート王国は負けそうなんですか?」
「現在の状況だと大分旗色が悪いみたいです。この後ナミラ平原と言うところで決戦が行われるのですがそれ次第で大方王国の行方が決まりそうですね。ナミラ平原を抜ければめぼしい要所も少なく王都まで一直線に来れますからね。私共も現在何があっても良いように逃げる準備をしているのでお客様も用心した方が良いですよ」


エスネアート王国負けそうなのか・・・
魔物の軍団と怪しい黒い魔力を纏う軍団が原因らしいが一応後でゴブ朗達に油断しないように伝えておくか。


「教えてくれて有り難うございます。一応用心しておきます」
「あと馬も在庫が少なくなっているので早めに購入する事をオススメしますよ、それでは本題ですがお客様は街作りやその街を豊かにするスキル持ちの労働奴隷をお捜しということでよろしいですか?」
「はい、それでよろしくお願いします」
「それでは見繕って来ますのでこちらで寛いでお待ちください」


それから10分程度で13人程の男女を連れて来た。
説明によると、建築、測量、石工、鍛冶、魔道具制作、錬金、服飾、農耕、会計、政務、商売、教育、畜産と数多くの奴隷を連れて来た。
さすが王都だ多くのスキル持ちを揃えている。


「どうですかお客様、どれか気になる奴隷はいましたか?こちらは全て借金奴隷になりますので安心して御購入頂けますよ」
「凄く多様なスキル持ちを揃えてるんですね。王都はいつもこれぐらいいるんですか?」
「はい、大体はいつも似たような種類を揃えていますよ。王都は住んでいる人間も多いのでいろんな理由で奴隷に落ちる方がいるんですよ。もちろん国外からも仕入れますがやはり一番多いのはこの王都ですね」
「そうなんですか、私も奴隷に落ちないように気をつけないといけませんね」


そう言葉を交わしながら一通り鑑定で奴隷達を見ていく。
皆特に変わった所はないようだ。


「では今回は魔道具制作の男性と錬金の女性をお願いします。労働の期間と金額はいくらぐらいになりますか?」


出来れば教育や畜産等のスキル持ちも購入したいが現状拠点には子供もいないし家畜もハニービーぐらいだ。
急ぐ必要は無いだろう。


「錬金は金貨6枚で約1年の労役、魔道具制作は金貨9枚で1年と半年ほどの労役になりますね。購入されますか?」
「はい、お願いします」
「御購入有り難うございます。それでは契約を行いますのでこちらにお願いします。」


そう受付の男に奥の部屋に促されるが俺にはもう1つ聞いておかなければならないことがある。


「すみません、奥に行く前にもう一つお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「はい、なんでしょうか?」
「この奴隷商には訳ありの奴隷とかはいますか?」


受付の男がその言葉を聞き少し考えるような素振り見せる。


「その質問に答える前にこちらも1つ質問をして良いでしょうか」


ん?なんだろうか?


「ええ、構いませんよ」
「もしかしてお客様はアルカライムで訳あり奴隷を買われませんでしたか?」


!?
まさかもうそんな情報が出回っているのか?
マリア達を購入して1ヶ月も経ってないのに王都まで広まっているとは驚きだ。


「はい、確かにアルカライムで訳あり奴隷を購入したのは私ですが何かあるんですか?」
「あぁいえいえ、元々アルカライムの奴隷商の男が奴隷商の総会で折角獣人の国まで遠征し仕入れてきたのに呪い子を掴まされただの道中で商品が駄目になっただの愚痴を言っていたんですよ。それが今月いきなりその訳ありの奴隷達を引き取る奇特な人間が現れたと吹聴して回っていたのでお客様が訳あり奴隷の事を聞いてきたときもしかして、と思いまして聞いてみただけです。今じゃ奴隷商界隈では皆知っていますよ」


あの店主やってくれたな。
守秘義務という物はこの世界にはないのだろうか?
しかも誰が奇特な人間だ、
今度会ったらどうしてくれようか。


「それでこの店には訳あり奴隷はいるんですか?」
「ええ、1人だけ居ますよ。こちらにどうぞ」


俺は促されるまま受付の男について行った。


「こちらです」


受付の男が開けたドアの先には枷も何も付けられずただ木の椅子に座り物憂げに壁を見つめる女性がいた。


「この人が?」
「ええ、声を奪われた歌姫サラ・リヴァイスです」



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