異世界をスキルブックと共に

気のまま

王都1

あれから護衛達と打ち解けた俺は今野盗戦で出た遺体を王都まで運ぶを手伝いをしていた。
護衛達は馬車がないので人力で王都まで運ばなければならないらしいがこれはさすがに怪我人が回復したとしても辛すぎる。
いまだ王都は地平の彼方にうっすら見える程度だ。
そこで俺はエレナ達の反対を押し切って俺が乗っていた馬車を貸し出し遺体を一緒に王都まで運んでいる最中だ。
護衛達もかなりフレンドリーに話しかけてくれるしこれはお姫様への報告も期待できるだろう。




王都に着くとここでも護衛達と一緒にいたことで得したことがあった。
この護衛達はどうやらお姫様の直属の護衛らしく城下町に入る街門の守衛の検査をスルーできたのだ。
検査されて困る物は持っていないがスルーできるのなら儲けものだろう。
それにしてもお姫様直属の護衛を置いて王都に向かったのか・・・ちゃんと着いたのだろうか?
街門を潜るとそこにはアルカライムを上回る活気で埋め尽くされていた。
街道一つとってもかなり綺麗に整備されているしここから見渡すだけでもいろんな人種の人達が歩き回っているのが見える。
それに建物も2階建て以上の物が殆どで景観を崩さぬように綺麗に中心に向かって並んでいる。
そして中央には大きな、見上げるほど大きな城が聳え立っていた。
生前は城と言ったら日本にある城を思い浮かべていたが目の前にあるのはヨーロッパ風の城だ。
実際お城を見るのは初めてだがその存在感に圧倒される。
ここから見るだけでも各所に意匠の拘りが見えどの角度から見ても美しく見えるように工夫されているようだ。
さすがこの国の象徴だな、
俺は城を見上げながら少しその風景を楽しんだ。
けど実際住んだら自分の寝床に行くだけでもかなり歩きそうだな・・・
俺がそんな間の抜けた事を考えているとエレナが俺の横に来て話掛けてきた。


「大丈夫ですよ。確かにエスネアート王国の王城は立派ですが必ずケンゴ様の城はこれよりも大きく素晴らしい物を用意しますので安心してください」


俺はいったい何を安心すれば良いのだろうか?
しかし何故この子は俺がこの城より大きい城に住みたいと思っていると勘違いしたんだ?
現状土で作った箱形寝床でかなり満足しているのだがあの寝床じゃ駄目なのだろうか?
寝床を出たら直ぐに酸っぱい果実が食べられる好立地なのに。
俺はいずれ訪れるであろう我が身の不幸を嘆きながら護衛達の指示に従って馬車を走らせた。


少し走ったら城の城門前の大きな建物に着いた。
どうやらここが護衛達が寝起きし訓練や会議を行う建物らしい。
遺体を降ろしていたときに知り合いだろうか?その遺体に寄り添い泣く人が数多く見受けられた。
しかしそれ以上にここまで遺体を持ち運んでくれたことに対する多くの感謝の言葉が俺達に投げかけられた。
どうしよう、今更下心があったなんて口が裂けても言えない雰囲気である。
俺は感謝を受け取りながら護衛や側で悲しむ人と共に追悼を送った。


護衛達と分かれたがさてこれからどうしようか?
ナミラ平原での決戦は7日後、移動に5日掛かるというので明日出発か最悪明後日王都を出れば間に合う。
折角王都に来たのだし買い物や観光もしてみたい。
だが問題は王都に詳しい人が1人も居ないということだ。
俺はアルカライムでも迷子になったほどの人間だ。
右も左もわからない王都では結果は火を見るより明らかであろう。
どうしよう・・・取り敢えず歩くか、迷子になれば拠点に戻れば大丈夫だしな。


どれぐらい歩いただろうか、取り敢えず俺達は目に着く商店に片っ端から入り道を聞くがてら初めて見る
物や珍しい物等を買い漁って回った。
ここで俺が一番興味を引いたのはリーバーシーが売っていたことだ。
これを売っていたおっちゃんに聞くとどうやら帝国に召喚された勇者達が開発した遊びらしい。
これは間違いなく勇者は俺と同じ地球出身の奴らだ。
しかし異世界に来てまで同郷に会えるとは思ってもみなかったな。
俺は1人嬉しくなりほくそ笑んでいるとエレナ達からもの凄い顔で見られた。
なんだろう、俺の顔はそんなに醜いのだろうか?
俺は落ち込みながらそのまま王都の街中を歩き続けた。


今俺は奴隷商の前に来ている。
お金は少し余裕があるので珍し奴隷がいないか確認をするためだ。
しかし俺はここまで来る間に気づいたことがある、
そうエレナ達がもの凄く目立つのだ。
出会ったときから可愛く綺麗な子達だと思っていたが最近纏う雰囲気がかなり変わってきた。
存在感があるというのだろうか、取り敢えず視界に入ったらついつい見てしまう程の存在感がある。
先ほどのおっちゃんも割引してくれたしまず間違いないだろう。
皆出会ったときは初々しかったのが今ではもう懐かしい。
だが道中悪いことだけでは無かった。
この3人が凄く目立つので俺が目立たなくなったのだ。
道中声を掛けられるのは100%この3人だ、
恐らく周囲の人には俺はこの3人の横に居る霞程度にしか見えていないのだろう。
人見知りな俺には大変有り難い境遇だ。
このまま1人誰にも気付かれず王都観光に洒落込みたいのだがエレナ達が他の住民に話掛けられながらも俺から一切視線を外そうとしない。
だんだん俺の性格を理解してきているのだろう。
大丈夫、逃げないからそんなに見ないで欲しい。
俺は蛇に睨まれた蛙のように縮こまりながら奴隷商の入り口を潜った。



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