異世界をスキルブックと共に

気のまま

エレナの思惑?

それでエレナさん、いったいどういうことかな?
突然戦争に参加することになったし恐らく拠点の皆を出撃させる予定なのだろう。
大丈夫なのだろうか?
今までの盗賊とは規模が違う、
拠点には戦闘に向かない者もいるだろう。
折角俺の元に来てくれた奴らなのに怪我したりいなくなったりしたら嫌だぞ?


「ケンゴ様、この度は勝手に話を進めてしまい申し訳ありませんでした。ですが戦争の件や報酬の件などは一応全て拠点にいる各代表の意見を参考に決めさせて頂いているので問題はないかと思われます」


拠点の各代表?そんな役職在っただろうか?


「現在はゴブ朗先輩やポチ先輩、うさ吉先輩に巳朗、熊五郎、カシムやオルド等が各代表として拠点をまとめています。そして新しく建築部でヨシュアを代表に押し上げようかという話も持ち上がっています」


そうだったのか、拠点に関しては任せっぱなしだったので知らなかったな。
今度一度拠点の皆を集めて話を聞くか。
しかしエレナはあの会話をしながら念話で拠点組の多数決や意見を聞いていたのか、
凄いな、さすが通訳さんだ
日本でも昔何人かの人の会話を同時に聞ける偉い人とか居たな。
俺は1人で一杯一杯だ。
それにしても戦争が拠点の総意だとすると理由は何だろうか?
それにお姫様を貰うだなんて何を考えているのだろうか?
誰か好みのタイプだったのかな?とても可愛らしかったし。


「戦争に関してはカシムとオルドの意見を参考に可決されました。元黒の外套達の意見や情報を精査して最近帝国が怪しい動きをしていたのは気づいていましたが、さらにこれ以上の情報が見込めなくなっていたところ今回の戦争はちょうど良い渡りに船でした。さらに拠点の皆のさらなる成長の為の経験値の獲得、拠点の資材・人材確保にケンゴ様の知名度の上昇等メリットが多かったので戦争に参加することにしました」


この子ついに人間を経験値や資材扱いしちゃったよ。
やっぱりエレナは少しおかしくないだろうか?
まだ後ろの2人のほうが話している限り常識的だ。
しかし戦争に参加するのはいいが危なくはないだろうか?
一つ間違えれば直ぐ死ぬぞ?


「大丈夫です。ケンゴ様が皆を大事に思っている事は重々承知しています。その点に関してはゴブ朗先輩、うさ吉先輩、ポチ先輩で作戦を練っているので何も問題はありません。むしろあの方々の相手をする事を考えると相手が哀れに思えます。それとクリスの件ですがあの子は少し頭が回るようなのでいずれ国を作る際に法や国政に詳しい人材が拠点に居いなかったのでちょうど良いので皆と話し合い報酬として我が拠点に取り入れることにしました。」


あぁお姫様はついでか、可哀想に。
エレナに目を付けられたのが運の尽きだな、いったい何がそんなに良かったのだろうか?
それに国か・・・
国!?
いやどういうことだ?
俺には国を作ると聞こえたが・・・


「はい、言いました。いずれもう少し拠点の規模を拡張したら法や通貨等を取り入れ、あの拠点を中心にケンゴ様の国を作ります」


は?俺の国?
いやいや駄目だろ。
俺は人の上に立てるような人物じゃないし第一に国の事とかよく分からない。
前世も今世もその辺にいる一般人を自称している俺には厳しすぎる。


「大丈夫です。全ては私共が行いますのでケンゴ様はいずれ出来る玉座に座り寛いで頂ければ問題ありません。それにケンゴ様の国が出来るのは決定事項です。逃げても出来ますので諦めてください」


いやそれ只の愚王じゃないのか?
しかし逃げても出来るのか・・・
それに俺にはゴブ朗達から逃げ切れる自信はない。
これはどうにかして回避する手段を考えないと手遅れになるな、
勝手に話が進んで膨らみすぎている気がする。
だがまず俺には味方が必要だ。
ここで俺が1人主張しても孤軍奮闘空しくいつもみたいに流されるだけだ。
特にゴブ朗達に感化されない強靱な心の持ち主が必要だな。
あのお姫様エレナとは相性が良くなさそうだったしもし拠点に来るなら試してみるか・・・
俺はいずれ仲間になるであろうお姫様の印象を少しでも良くするために護衛達の元へ歩き出した。
そう護衛達の傷を癒やし俺の素晴らしさをお姫様に報告して貰うためだ。


「あの・・・すみません怪我した人はどれくらいいますか?」
「ッ!!何のようだ!!」


む?まだ警戒されているようだな。
ここは下手に出て穏便に事を運ばねば。


「実は私、回復魔法を使えまして傷ついている人を見ると職業柄気になるので是非治療のお手伝いをさせて欲しいのですが駄目ですか?
「それは本当だろうな?」
「はい、気になるのでしたら誰か症状の軽い方から治しますので誰か連れて来てください」
「・・・わかった、おい誰か傷を負った者を連れてこい!」


護衛がそう言うと1人の腕を切れ裂かれた男性が俺の前に連れてこられた。
傷口は縛って応急処置をしているが出血が酷いようだ。


「今回所持していたポーションは重傷者に使ってしまってこいつを治せる分がもうないんだ。このままだと失血でこいつの命が危ない、治せるか?」
「ええ、任せてください」


そういうと俺は男性の切り口に手を添え回復魔法をかけ始めた。
すると徐々に細胞が活性化し傷が塞がり始め、ものの数分ほどで男性の傷口はほとんどわからなくなるほど塞がった。


「おぉ!凄いな!!あんた良い腕をしているじゃないか!!」
「有り難うございます。一応傷は塞がっていますが失った血自体は無くなったままですので余り無理をせず血を作る食事を早めに摂取してください。それで次の人を診たいのですが信用して頂けましたか?」
「あぁ!もう駄目かと思っていた奴もいるんだ!!こっちに来てくれ!!」


そう護衛達に誘導され俺は傷ついた護衛達を端から治していった。
一応怪しまれてもいけないので部位を欠損している人は申し訳ないが傷を塞ぐ程度にしか治していない。
そして今最後の護衛を治療し終えた時周囲から歓声が沸いた。
護衛達が俺の周りに集まり次々に賞賛の声を掛けてくれる。
あぁこれが仲間に囲まれる感覚か、
久しく忘れていたな・・・
俺がその感覚を楽しんでいると急に背筋に悪寒を感じ急ぎ振り返るとそこには笑顔のエレナがいた。
な、なんのご用でしょうか?


「いえ、何も。本当にケンゴ様はお優しいですね」


いや何も無いことはないだろう。
エレナは笑顔を見せているだけだが冷や汗が止まらない。
凄いプレッシャーだ。
周囲の護衛達は完全に怯えている。
急ぎ念話でマリアとリンに何が起きたのか確認する。


「恐らくケンゴ様と仲良くしている人達が羨ましいんだと思いますよ」
「本当にエレナさんは可愛いとこがあるよね」


いや全然わからない。
完全に仲間に混ぜて和気藹々とできる雰囲気ではない。
俺はどうすることもできないので護衛達を背中に隠しながらエレナのプレッシャーと戦い続けた。


一時向かい合っていただろうかエレナは諦めたのかマリア達の方へ戻っていった。
助かった・・・
俺と護衛達は先ほどの野盗との戦闘よりも強い疲労感を感じながらその強敵の背を見送った。



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コメント

  • ペンギン

    もうヒロインが誰か不明...

    0
  • ノベルバユーザー279885

    エレナ怖すぎ
    主人公の1人のんびり旅を見てみたい

    1
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