異世界をスキルブックと共に

気のまま

お姫様

そのお姫様はゆっくりと馬車の階段を降りてきた。
年はマリア達と同じぐらいだろうか?
金髪に金色の瞳、
それが映えるように服装も白を基調にし各所に細かな飾り付けが施されている。
さらに服装もそうだがこの子の要所要所の所作から気品のような物を感じる。
まさに絵に描いたようなお姫様だ。
これの相手をするのは一般人の俺には難易度が高すぎる。
隠密が全力で仕事をしてくれることを期待しているが恐らく無理だろう。
なんと言ったら良いのだろうかあのお姫様目力が強すぎる、
その可愛らしい容姿からは想像できないほどの迫力だ。
それにさっきから目線を合わせないようにしているのに突き刺すような視線を感じる、
これは絶対にバレている。


「初めまして、私はクリスティーナ・エリザベート・アン=エスネアートと申します。このエスネアート王国では第三王女として活動しています。気軽にクリスとお呼びください。それではまずこの度の襲撃に関してご助力頂けた事誠に感謝致します。もしあなた方に助けて頂けなければ私達の命はなかったかもしれません。後日お礼をさせて頂きたいのですがお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


いやよろしくはない。
できればこのまま何もなかったことに出来ないだろうか?
神の幸運が仕事をサボった時は必ず面倒な事が起こる。
だがお姫様は先ほどから一切視線を逸らしてくれないので逃げることも出来ない。
俺がそう返答に困っていると我が拠点の救世主、通訳さんが動き出した。


「ようやく少しは話ができる人間が出てきましたか。私はエレナと言います。クリスでしたか?あなたは部下の躾がなっていないのではないですか?助けて貰った事実も認識せず唯々威嚇し、ましては我が主に対して剣を向ける始末。殺されても文句は言えない状況であなた方は我が主の善意で生かされているのですよ?我が主の名前を聞く?冗談にしては余りにも面白くないですね。まずは謝罪をし我が主に頭を垂れなさい話はそれからです」


いやいや、この通訳さん聞いてるこっちがビックリする程の内容をスラスラと仰る。
相手は一応エレナ達の出身国のお姫様だぞ?
戦争でもする気なのだろうか?


「き、貴様!!巫山戯るな!!姫様に頭を下げろだと!!助けたと思って調子に乗るな!!不敬罪で今すぐここで処断してやる!!」


そう声を張り上げお姫様の周囲にいる護衛が一斉に剣を抜こうとした瞬間先頭にいる護衛の1人がいきなり吹き飛んだ。


「エレナさん勝手な行動申し訳ありませんでした。ですがあのままだとご主人様に被害が出る可能性がありましたので独断で対処致しました」
「えぇ構いません、よくやってくれました。我が主には万が一にもご迷惑を掛けるわけにはいきません。それに私もいい加減イライラしていたので少しすっきりしました。良いお灸になったのではないでしょうか?」


よく見えなかったがどうやらマリアが事前に行動を予知し氷魔法で礫を相手の死角に出し吹き飛ばしたようだ。
あの男性は意識の外から礫で吹き飛ばされたので目覚めても何があったかわからないだろう。
これマリアが予知持ちだと知らないと対処不可能じゃないのか?初見殺しすぎる。
それより問題なのはお姫様に対してケンカ腰なのはエレナだけじゃなかったことだ。
マリアが予知で先行したがリンも今にも飛び出しそうだ。
我が拠点には穏便に事を運ぶという思考はないのだろうか?
ほらお姫様を見てみろ、あんなに目を見開いて驚いて固まっているじゃないか、可哀想に。


「お前ら!!我が姫に!我がエスネアート王国にケンカを売る気か!?」
「ケンカを売っているのはあなた方でしょう?どうしますか?こちらはこのまま全てを滅ぼしても構わないのですよ?」


いったいどこの魔王様のセリフだろうか?
このままだとかなり良くない方向話が進みそうだ。
俺が話すの変わろうか?
俺がエレナにそう話しかけようとしたとき・・・


「いい加減にしなさい!!私達はこの人達に命を助けて頂いているのですよ?恩も返さずその方々に剣を向けるなど言語道断です。恥を知りなさい!!」


そうお姫様が声を張り上げると周囲は一様に静まりかえった。
そしてお姫様はこちらに向き直り頭を下げた。


「今回我が護衛達が無礼を働いた事をここに謝罪致します。誠に申し訳ありませんでした」
「姫様・・・」


周囲の護衛達唖然とした顔をしている。
まさか自分たちが行った事がお姫様に頭を下げさせる自体になるとは思っていなかったのだろう。


「謝罪を受け入れましょう、それでクリスは私達に何の用があるのですか?」
「はい、単刀直入に申しますとあなた方の力を見込んで私達エスネアート王国を助けて頂きたいのです。今回も我が身を助けて頂いた上に不躾な願いだとは思いますがどうか話だけでも聞いて頂けないでしょうか?」
「いいでしょう、詳しく話してみなさい。話はそれからです」


ここまでエレナは一切俺に意思の確認を求めていないが忘れられているのではないだろうか?
王国を助けるとか規模が大きすぎる気がするが大丈夫か?


「わかりました。実は現在エスネアート王国とグラス帝国との間に戦争が起こっています。その戦争にあなた方のご助力を願いたいのです」


戦争か・・・
やはり関わると碌でもないことに巻き込まれるな。
しかも現在進行形か、
さてどうしようか?
俺達はさらに詳しく話を聞くためお姫様の次の言葉を待った。



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