異世界をスキルブックと共に

気のまま

再会

俺が街の門前のキャンプ地に戻るとエレナ達の所にまた守衛の人達が訪れているようだ。
なんのようかな?


「おい、あの男は何処に行ったんだ?まさかお前達を置いて逃げたんじゃないだろうな?」


どうも俺に用があるようだ。
俺は近づきながらランスさんに声を掛ける。


「どうもこんにちわランスさん、先ほどからまだ数時間しか経っていませんが何のようですか?」
「いやなにそろそろ後悔して謝罪を申し出てくる頃かと思ってな、態々俺が来てやったんだ。どうだ?謝罪をして黒の外套の首と回収した物を渡す気になったか?」
「いえいえ、特に心変わりすることもなかったので謝罪するつもりはありませんよ。態々ご足労頂いて申訳ありません」
「なんだと!?いい加減にしろ!!お前のせいでこの人達は街に入れないんだぞ?お前に罪悪感と言う物はないのか?」
「一応罪悪感はありますけど現状街に入る手段がないので諦めるしかないですね」
「だから!!お前が謝罪し黒の外套の首と物資を置いていけば入れると言っているだろう!!」
「謝罪するのは良いですが私は黒の外套の首と物資は持っていませんよ?」
「どういうことだ!?さっきは持っていただろう?」
「人にあげました」
「巫山戯るな!!どれだけ人を馬鹿にすれば気が済むんだ!!人にやったのなら奪い返してこい!!でなければ街には永久に入れないからな!!」
「へぇー、君街への立ち入りを永久に禁止する権限はないと思うんだけどね?どういうことかな?」


そういうと後ろからクリフォードさんが何人か人を引き連れながらやってきた。


「なんだお前は!関係ない奴は引っ込んでいろ!!」
「僕はこの街の冒険者ギルドのギルドマスターをやっているクリフォードというものだよ。守衛長なのに知らないのかな?確かに僕は関係ないかも知れないけど知り合いが困っているんだ事情ぐらい聞いてもいいだろう?」
「ギルドマスターだと?なんでそんな奴が急に出てくるんだ・・・」
「そんな奴とは酷いね?それで君は僕の知り合いをなんで街に入れてくれないんだい?」
「こいつが・・・危険な物を所持しているからだ・・・」
「危険な物?それは何のことだい?」
「ぐっ、黒の外套に関連する物だ」
「へぇーなんでケンゴさんがそんな物を持っていると思ったのかな?それに本当にケンゴさんはそんな物持っているのかい?」
「いいえ、持っていませんよそんな物」
「お前!!さっきは持っていただろうが!!」
「記憶にありませんがランスさんの勘違いじゃないんですか?」
「巫山戯るな!!俺を騙したのか!?」
「騙したつもりはありませんよ。そもそも私は被害者の方を連れて街に入ろうとしたところあなたに止められているだけなので騙すも何もないのではないですか?」
「クソッ!!いい加減にしろ!!お前はいったい何がしたいんだ!!」


ランスさんは顔を真っ赤にして興奮しているようだ。
そんなに怒鳴るような内容だっただろうか?


「へぇー、ということは君は不当に僕の知り合いを街に入れないだけではなくこの人達が黒の外套の被害者だと知りながら街に入れなかったということになるね?どういうつもりかな?」
「ぐっ・・それはお前には関係ない!!」
「そうだね、僕にも入街を管轄する守衛に口を出す権限は持ち合わせてないからね。ねぇこの件についてどう思う?リングフォード」
「そうだな、俺の街を守護する者にあるまじき蛮行だ。まさかこのような輩が俺の街の守衛長だとは・・・恥ずかしくて俺はもう表を歩けねーよ」


そういうとクリフォードさんの後ろから50代ぐらいだろうか?初老の男性が現れた。
服装も豪勢だがなんだろう?雰囲気が普通の人とは違う、たぶん偉い人なのだろう。


「りょ、領主様!!なんでこんな所に!?」


領主!?クリフォードさんの時も思ったがこの街はトップがいきなり出てくるのが普通なのだろうか?
フットワークが軽すぎる。


「あぁこいつからアホな守衛がいるって聞いてな、見に来てみればまさかそれがこの街の守衛長だとは思っても見なかったわ。こりゃ傑作だ。ガハハハ」
「ハハハ、傑作ですか・・・」
「お前ぇ何が面白いんだ?ここに来る途中でも既に噂になっているんだぞ?誘拐されて苦しんだ人がようやく助かったと思ったら今度は街から閉め出されているってな。この後この街の領主の俺はなんて言われると思う?考えるだけでも恐ろしいわ」
「で、ですが領主様・・・」
「黙れよ。もうお前は今この時から俺の街の住人じゃねぇ。おい!こいつを捕らえろ!!殺すんじゃねーぞ!こいつには牢屋の中でいろいろ聞きたいこともあるからな」


領主様がそういうと後ろで控えていた男達がランスさんを捕縛するために一斉に飛び出した。


「は、放せ!!俺は騙されただけんなんだ!!悪いのはあいつだ!!捕まえるならあいつにしろ!!」
「見苦しいね?街に入る大勢の人達から見られているんだよ?しかも街の中の被害者の家族はそれを聞いてどう思っているかな?君はもう終わったんだよ」
「い、嫌だ!!俺はこれからもっと、もっとデカい男になるんだ!!こんなとこで躓くわけには行かないんだよ!!放せ!!」


ランスさんはそう最後まで喚きながら連れられていった。
ランスさんが連れられて行くのを確認すると領主様がこちらに話しかけてきた。


「いや本当にすまなかった。俺はこの街の領主をしているリングフォード・ディ・アルカライムだ。君がケンゴ殿かな?俺の街から黒の外套を掃除しさらに行方不明になっていた人達も見つけ助け出してくれたこらしいな、本当に助かった。ありがとう感謝する。だがこの街の恩人に対して馬鹿がやったこととはいえ俺達は恩を仇で返してしまった。そのことをここに深く謝罪する。本当に申し訳なかった」


そういうとリングフォードさんはその場で深く頭を下げた。
皆の視線が俺へと集まるがリングフォードさんは所謂貴族という人種なのだろう対処の仕方がわからない。


「いえいえ、気にしないでください。今回の事は知り合いを助けに行ったら偶々黒の外套や行方不明の人達がいたので討伐し助けて来ただけです。リングフォードさんも出かけたら目の前で女性が暴漢に襲われていたら助けるでしょう?それと一緒です」
「だが規模が違うし君がやったことに対する正式な謝礼と我々街が行った事の正式な謝罪が必要だ。俺は一応この街の領主だからな。なぁなぁにはできないんだよ」


貴族も大変なんだな。
けどこの人はホント有能そうな人だな、街が活気に溢れているのも分かる気がする。


「この件に関しては後日クリフォードに連絡し謝罪と謝礼の席を設けるから是非来て欲しい。それよりも今日は先にこの被害者達の帰りを待っている家族が大勢門の向こうに居るんだ。早く会わせてあげたんだが構わないか?」
「えぇ、構いませんよ。一刻も早く無事を知らせてあげてください」


そういうとリングフォードさんは直ぐに周囲に指示を出し、被害者の人達を門の方に誘導し始めた。
門の入り口には事前に知らせていたのか大勢の人が待っている。
皆辺りを見渡して目的の人物がいないか必死に探しているようだ。


「お父さん!!お母さん!!」


その時俺の元をアンナちゃんが声を張り上げいの一番に離れていった。


「「アンナ!!」」


ザックさん達は一瞬アンナちゃんの髪の色に驚いたようだが直ぐに駆け寄りアンナちゃん2人で抱きしめた。


「アンナ!!アンナ!!あぁ良かった、本当に無事で良かった。何処も怪我していないかい?酷いことはされなかったかい?ほらもっと顔を良く見せておくれ」
「うん!大丈夫だったよ。家に居た筈なんだけどいつの間にか寝ちゃったみたい。それにおじさんが迎えに来てくれたから大丈夫だったよ」
「おぉそうか、後でちゃんとお礼を言わないといけないね。しかし本当に無事で良かった」


そういうとザックさん夫妻は泣きながら強くアンナちゃんを抱きしめていた。
周囲を見ても同じように泣きながら家族との再会を喜んでいる人達がいる。
頑張って助けた甲斐があったな。
俺は周囲を見渡しながらその結果に満足し、皆が落ち着くまで少しの間街門の周囲を歩いて回った。



「異世界をスキルブックと共に」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ウォン

    ええのおー

    0
コメントを書く