異世界をスキルブックと共に

気のまま

襲撃3

アンナ・・・ちゃん・・・?


その無造作に積み重ねられた人間達の中にそれはあった。
重ねられた人間の隙間から見えるその顔には記憶にある愛らしさなど一切なく唯々無表情に何処かを見つめる人間の顔があった。
周囲には重ねられた人間以外にも適当に放られたように何人も転がっている。
その時広場の方から何かそこに投げ入れられた。
それは今し方笑い飲み騒いでいた男達が飲んでいた酒の空き瓶だった。
ふと広場の方を見やると男達が笑いながらまたそこに肉を食い終わった骨を投げ入れている。
重ねられた中には投げられた瓶や骨に当たる人間もいるが誰1人として動く人はいない。
それはまるでそこにいる人間すらゴミだと言っているような自然な動きだった。
そうあの俺の膝の上で楽しそうな笑顔を向けてくれたアンナちゃんをゴミだと・・・・




いやだ・・・
なんでだ?
どうしてこうなった?
駄目だ・・・駄目だ駄目だ駄目だ!!
俺は間に合わなかったのか?
今度アンナちゃんに新しいお話をしてあげる約束をしたんだぞ?
それなのに俺はアンナちゃんを助けることが出来なかったのか?
なんでだ?
何が悪かった?
誰が悪い?
駄目だ、考えが全然纏まらない。


ふとその時俺の耳に洞窟に響き渡る笑い声が聞こえる。


なんだ?
なんであいつらあんなに笑っているんだ?
アンナちゃんがこんなのことになっているのに何が面白いんだ?
あぁそうか。
あいつらだ。
あいつらがアンナちゃんにこんな酷いことをしたのか。
アンナちゃんがこんな状況なのになんであいつらは笑って酒を飲んでいるんだ?
駄目だ、イライラする。
だが一つだけ分かっていることがある。
俺はあいつらが許せない。
アンナちゃんをこんな姿にしたあいつらを許せない。
アンナちゃんがこんな状態なのにのうのうと酒を飲み笑っているあいつらが許せない。
あぁ駄目だ我慢ができない。
お前らもう笑うな




「お前らぁぁぁぁぁぁっ!!!この子にいったいに何をしたぁぁぁぁっ!!!」


俺の喉が裂けんばかりに張り上げた怒号が洞窟内に響き渡る。
既に笑い合うどころか動く人間すら1人も居ない。
なんでこいつら動かないんだ?
駄目だ、イライラする。


「エレナ!!ゴブ朗!!お前らも何やっているんだ?早くこいつらを殺せ!!誰1人として生かすな!!」


その声を聞き一瞬身震いしたかと思うとゴブ朗達は弾かれたように広場に飛び出した。
相手もそれを見てようやく動き各々叫ぶがもう遅い。
誰1人として生かすつもりはない。
広場は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図へと変貌した。


あぁ早くアンナちゃん元に向かわないと・・・
俺はそのままアンナちゃんが居る場所へと駆けていく。
だが目の前には邪魔な障害物がいくつもあった。
それは俺の行く手を塞ぐように立ち塞がる。
邪魔だ・・・邪魔だ邪魔だ邪魔だ!!
俺は視界に入る全ての障害物を土魔法で圧殺しアンナちゃんの元へ急いだ。


重なっている人間からアンナちゃんを引き出すとアンナちゃんの身体はとても冷たかった。
俺はその事に泣きそうになるがふとアンナちゃんの身体を見ると胸の辺りが少し上下している。
俺は目を見開き急いで胸に耳を当てると小さい・・もの凄く小さくか弱い音だが確かに鼓動が聞こえた。
俺はアンナちゃんが生きているその事実を知り涙を流した。
良かった・・・
本当に生きててくれて良かった・・・
俺は急ぎアンナちゃんに回復魔法を掛ける。
しかしどれだけ回復魔法をかけようと一向にアンナちゃんの顔色が元に戻る気配がない。
何が問題なんだ?
俺は鑑定をアンナちゃんに掛けてステータスを見るとそこには魔力枯渇の文字があった。
魔力枯渇?どういうことだ?
確かにアンナちゃんの魔力は0だ。
だがアンナちゃんは魔力を消費するようなスキルは持っていない。
黒の外套が何かしたのか?
わからない。
俺は急ぎスキルブックを開き魔力を譲渡出来るようなスキルを探す。
だが今回は贈与や譲渡系のスキルはなかった。
拙いな、どうすればいい?
急がなければアンナちゃんの容態は悪くなる一方だ。
俺はその時ダンジョンで新しくスキルブックに増えた付与スキルを思い出した。
これで魔力を付与できないか?
俺は藁にも縋る思いで付与を現在持っているLV5まで取得する。
できればLV10まで取得したいがポイントが足りない。
俺は早速魔力を付与できないか試してみる。
すると以前取得した魔力制御と付与スキルが反応し合い少しづつだがアンナちゃん魔力を付与することに成功した。
どれぐらい魔力を送っていただろうかアンナちゃんの顔に少しづつ赤みが差してくる。
周りを見ると既にゴブ朗達も全て黒の外套の一味を倒し終えており、今は魔石の剥ぎ取りと広場にある物を物色していた。
俺が等級の高そうな魔石があれば持ってくるように言おうとした時俺の腕の中から声がした。


「ん・・あれ?おじちゃん?こんなとこで何をしているの?」


あぁ良かった・・・
俺はそう呟くと暖かさを取り戻したアンナちゃん一時強く抱きしめていた。



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