異世界をスキルブックと共に

気のまま

E級ダンジョン2

あれからどれくらい奥に進んだだろうか。
何度か下り坂を下ったので最深部に近づいていると思うが今何階層なのかわからない。
そもそも洞窟で階段もないのにどうやって階層を判断しているのだろうか?
取り敢えず俺たちは休憩を挟みながら進み続ける。


下に進むにつれて魔物の種類も増えてきた。
初めは蟻型だけだったのに今ではモグラやワーム、蝙蝠などの魔物も混じり出した。
だがどれも強さ的に10等級と同等らしくマリアやリンは問題なく倒して行っている。
最初に比べ魔物にも慣れてきたのかマリアは相手だけではなくリンの先も読み始め、たまに指示を出しているしリンも相手から得たスキルを自分なりに工夫し複合させ効率よく使っている。
この調子でいけば近いうちにユニークスキルの方も使い慣れリスクもなくなるだろう。
だが少し問題もある。
俺の存在意義が既にほぼ無いに等しくなっている。
序盤は索敵も気配察知に引っかかったら声を掛けていたのだがエレナからそれでは成長しないしスキルも取得できないと言われ俺は今やただの後をついて行くだけの人に成り下がっている。
死体の回収もエレナが完璧に行い罠の処理すらマリア達にやらせており俺の仕事をどんどん奪っていく。
このままではヤバい。
ゴブ朗達の時にも感じたニートなヒモ生活に突入する可能性がある。
俺はダンジョンとまったく関係のないところで危機感を覚え、活躍するスキを伺いながら静かにエレナ達の後をついて行った。


順調にダンジョンの探索を進めていたら始めて大きな広場に出た。
だがここは特に目立った所はないドーム型の広場のようだ。
マリアとリンも何もないと思ったのかそのまま広場の中央に向かっている。
だが中央に近づいた時だろうか。


「リン!!下がって」


マリアがそう叫ぶとリンの足下が急に崩落した。
リンは慌てて下がろうとするが声を掛けたのが一歩遅かったのかそのまま穴に落ちリンの姿が広場から消えた。
マリアがどうすれば良いのか戸惑いながら穴とエレナを交互に見ているが。
俺はここぞとばかりに駆け出しエレナの制止を振り切りリンが落ちた穴へと飛び込んだ。


穴を下りてみるとそこは一面暗闇の世界だった。
ギシギシと音だけが聞こえてくる。
俺は急ぎ光魔法で明かりを確保しようと光球を生成する。
そして少しづつ見えてきたのは辺り一面埋めつくさんばかりの蟻の群れだった。
視界の端から蟻たちが折り重なるようにこちらに向かってくる。
これは拙いな・・・
俺は足下にいるリンを抱え転移で上へと戻る。
無事に戻って来た俺の姿に安堵したのかエレナが堰を切ったように声を荒げてくる。


「ケンゴ様!!何故急に1人で助けに向かわれたのですか!!何かあったときは誰かを連れて行くという約束をお忘れですか!?ケンゴ様の身に何かあってからでは遅いんですよ!?」


うん、申し訳ないが今はそれどころじゃない。
さっきから足下でギシギシ音がする、恐らく蟻たちは穴から上がってくるだろう。
出てくる前にどうにかしないとあの数は4人では手に余る。
俺はいつも通りスキルブックを開く。
そういえば以前爆炎魔法があったのを思い出したのだ。
そのままLV10まで取得し穴に向かって爆炎魔法を展開する。
すると目の前に手のひら大の火球が現れた。
あれ?俺爆炎魔法を展開したよね?
見た目火魔法となんら変わりがない。
取り敢えず出してしまってものはしょうがないのでそのまま穴に向かって放つ。
火球が穴に吸い込まれていくが何も起こらない。
俺が不思議に思い穴を覗こうとした瞬間もの凄い轟音が辺りに響き渡った。
洞窟自体も揺れているようであまりの揺れに立っていられない。
俺はあまりの事態に驚愕しているとさらに目の前の穴から火柱が吹き上がった。
周囲を見ても所々崩落が始まっている。
どうしよう・・・・やりすぎた・・・・
俺は後でエレナ達に怒られるのを覚悟しながらショートワープで皆を回収しながら広場の奥の通路に向かった。


間一髪だったのか振り返ると広場だった場所は見るも無惨な場所へと様変わりしていた。
俺は怒られる前にエレナ達に謝罪をするがどうも怒っているようには見えない。
エレナはいつも通り満足そうに頷いているし、マリアとリンに至っては顔を赤らめ目を輝かせながらこちらを見ている。
広場を崩壊させてしまったというのにどういうことだろうか?
取り敢えずリンの怪我の有無も確認もしないといけないし俺はここで一度小休憩を取ることにした。


休憩後は再び広場に入る前と同じスタイルで進むことになった。
マリアとリンは先ほど休憩中エレナから不注意で俺に手間を掛けさせ剰え危険に晒したとこっぴどく怒られていた。
2度目はないとのお達しなので先ほどから過剰に警戒している気がする。
大丈夫そんなことで見捨てたりとかするつもりはないので肩の力を抜いて欲しい。
しかしE級であんな群れがいるのか・・・
普通の人だと逃げられないし食べられて終わりじゃないかな?
俺はE級の難易度の高さに困惑しつつエレナの背を追った。


その後は特に問題もなく広場前と同様、魔物を倒しながら進んだ。
違うところと言えば何個か木箱が置かれていたことぐらいだ。
中身は鉄の剣や鉄の鎧などの鉄装備シリーズだったのでエレナ達に誰か装備しないか聞いたら誰も装備したがらなかった
なんでだろう?呪われているのかな?
鑑定には呪いは表示されていなかったので恐らく誰かが着たであろうこの饐えた匂いが原因なのだろう
もちろん俺も装備していない。


そのまま探索しながら進んでいると何回か下ったところでまた広場に行き当たった。
しかし今回は前回の広場と少し違う。
広場の中央にあからさまにボスみたいな奴が鎮座している。
身体は男性の物だが頭が牛だ。
あれはミノタウロスか・・・?



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