異世界をスキルブックと共に

気のまま

神の使徒?

どれくらい泣いていただろうか。
2人も本当に涙が枯れるまで泣き続けていた。


「落ち着いた?」
「はい、助けて頂き本当にありがとうございました」「ありがとうございました」
「うん、元気になって良かったね。まだ身体が修復したばかりだから2人ともあまり無理はしないでね」
「はい、あの・・・ご主人様にお聞きしたいことがあるのですが・・・よろしいでしょうか?」
「ん?いいよ、なんでも聞いてよ」
「ご主人様は神様なのでしょうか?」


んん?神様?いったいなんでそんな話になった?


「私は神様ではないよ。なんでそう思ったのかな?」
「はい、死にかけのさらに欠損した身体を元に戻すなど遙か昔神様がこの世界にいた時のお話でしか聞いたことがありません。それに私が触れるとスキルの消失からか皆体調を崩すのですがご主人様は触れてもスキルがなくなった様子がありませんでした。今までそのような事は一度もなかったので神様がこの世界に再び戻って来てくれて気まぐれに私達を救ってくれたのかと・・・」


そうか、神様昔この世界に居たのか。
しかしなんでいなくなったのだろうか?
気になるからいずれ機会があれば調べてみるか。


「ごめんね神様じゃなくて、期待させてしまったかな?」
「いえ、助けて頂いた上に変な質問をして申訳ありませんでした」


期待していたのか2人はその答えにあからさまに気落ちしている。
周囲の子達も残念そうに顔を伏せてしまった。
腕を回復した子とエレナが一際落ち込んでいるように見えるのは何故だろうか?


さて、どうしようか。神様との事は特に隠している訳ではないが喋っても大丈夫なのだろうか?
せっかく元気になった子達が落ち込んでいるのは見ていられない。
まぁ今のところリスクはないし拠点から広めなければ大丈夫か。
俺は周囲を見渡しながら喋り始める。


「でもね、実は私は一度神様に会ったことがあるんだよ?」
「「「「「えっ!?」」」」
「ど、どういうことですか!?」


うん、皆驚いているが少し元気になったな。
エレナなんて食い気味に聞いてくる。


「実は私はこの世界の住人じゃなくてね、神様に頼まれてこの世界にやってきたんだよ」
「け、ケンゴ様は神の使徒様なんですか?」


相変わらずエレナが前のめりで聞いてくる、少し近いから離れて欲しい。


「ん?神様のお願いを聞いて来ているから一応使徒ということになるのかな?」
「それでこんな凄い力をお持ちなんですね」
「そうだね、俺はそこら辺にいる一般人と大差ないけどこの力は神様に貰った物だからね」
「いえ、ケンゴ様だからこそ神に選ばれ力を授かったのです。あぁゴブ朗先輩は間違っていなかった」


いったいエレナはゴブ朗とどんな話をしているのだろうか?お願いだから他の子達に広めないで欲しい。
周囲を見渡すと先ほどの落ち込みが嘘のように皆目を輝かせて俺を見ている。
元気になってなによりだ。


「あ、あのケンゴ様!!この話は他の皆様はご存じなのでしょうか!?」
「いやまだ話したことないから知らないと思うよ」
「でしたら皆様にこの事をお教えしても良いでしょうか!?」


エレナの鼻息がだいぶ荒いが大丈夫だろうか?


「一応話すのはこの拠点の仲間だけにしておいてね?」
「はい!!わかりました!!」


するとエレナは寝床を飛び出しどこかへ行ってしまった。
おいおいこの子らの世話はどうするんだよ・・・


俺はエレナが走り去った方を見るが帰って来る様子は一切ない。
しょうがないからエレナが帰ってくるまで回復した子達に面倒を見て貰おう。
俺は振り返り奴隷の子達を見渡すが皆もの凄い期待の籠もった目で見てくる。
どうしよう・・神の使徒とか言っちゃったけど俺前世普通の一般人なんだけど・・・
取り敢えず名前の確認をしようか。


「えーと、回復した子は前に出て名前を教えて貰えるかな?」
「「「はい!」」」


まずは腕を回復した子が前に出てきた。


「私はランカと言います!今年15歳になりました!もう子供はいつでも産めます!!」


!?
子供!?
いったいこの子は何をアピールしたいんだろうか?


「私はマリアと申します。今年16歳になります。もちろん私もいつでも子供は産めます。しかも経験はありません」
「ッ!!」


水色の髪の子がランカに向かって不適な笑みを浮かべている。
だからなんのアピールがしたいんだろうか?謎だ。


「わ、私はリンって言います。16歳です・・・わ、私も子供は産めます・・・」


金髪の子が顔を真っ赤にしてこっちを見ている。
うんうん、初々しいな。この反応が普通だろう。
15歳で子供とか早すぎる。


「子供は早いよ。物には順序というものがあるしね」
「はい!わかります!!エレナさんが先ですね!!」


駄目だ、全然分かっていない。
俺、こんな若い子にまともに伝えられる気がしないよ。
通訳さんお願いだから早く帰ってきてくれ・・・


「取り敢えず今日はエレナがいなくなっちゃったから君たちに他の子の世話をお願いしたいんだけどできるかな?」
「はい!出来ます!!」


あれ?1人だけしか返事がない。
他の2人は・・・


「あの・・・私は呪われているから・・・」
「私も・・・」


そのことか、説明していなかったな。


「あぁ、そのことなら大丈夫だよ。2人共呪われてなんかいないから」
「え?どういうことでしょうか?」
「2人共少し変わったスキルを持っていてね。リンはスキルを奪うスキル、マリアは未来を予知するスキルだね。ただ今は2人が未熟だからうまく扱えていないだけだよ。呪われてなんかないから安心してね」
「本当に・・・」
「本当だよ、私は君たちにもう大丈夫だと言ったよね?ただ未熟だから現状前と変わりはないから今度一緒に練習しにいこうか?」
「「はい・・・」」


そういうとまた2人は涙を流していた。
俺は先ほど同様にまた頭を撫でる。


「じゃあもう一度聞くけど他の子の世話お願いできるかな?」
「「「はい!」」」
「良い返事だ、ただリンはまだ直接触るとスキル奪っちゃうから今回は2人の補助をしてね」
「はい!」
「では私はもう行くけど何かあったら誰でも良いからタトゥーが入った人に知らせてね、すぐに来るから」
「タトゥーですか?わかりました」


そういうと僕はエレナの寝床を後にした。




外に出るとゴブ朗達が帰ってきたのか皆広場で収穫物の解体を行っていた。
俺が声を掛けるとなんだろう?いつもより皆視線が熱い気がする。
何かあったのかな?
ふと周囲を見渡すとゴブ朗達の横に満足そうな顔をしたエレナがいた。
あぁお前が原因か。
いったいどんな話し方をしたんだろうか?一部の山賊達など平伏している。お願いだからやめて欲しい。


さらに俺が皆の解体を手伝おうとしたら断られた。
しかも以前より強めに。
俺以外の一体感が凄まじいなこいつら、寂しいじゃないか。
俺は仕方ないので街で収集した収穫物を広場に出した。
食料しかないがいくつか栽培できそうな物もある。
これは農家出の山賊達が笑顔で回収していった。
既にエレナは服を配布しているらしく何人かは新しい服を着ているのが見えた。


今日は買ってきた食べ物で久しぶりに皆と豪勢に食事をした。
やはり大勢で食べると楽しいな。
1人酸っぱい果実を食べていた過去が懐かしい。
新しく入った奴隷達がゴブ朗達を見て慌てふためいていたのは面白かったな。
また近いうちに皆で食べよう。
俺はそう心に決め手に持ったパンを頬張った。


さて今日の最後の大仕事だ。
寝る前に強化の申請があった奴らの強化をしていく。
強化出来るようになったら呼ぶように言っていたのに皆我慢していたようだ。
今回ゴブ朗とエレナとホーク達以外全員だ。
明日起きた時が楽しみだな。
俺は使いすぎたポイントが底をつかないことを祈りながら強化して回った。



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コメント

  • ウォン

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