異世界をスキルブックと共に

気のまま

回復

「お帰りなさいませケンゴ様」


拠点に戻ると広場にカシム達が待っていた。
辺りを見渡すが山賊達しかいない。
どうやらゴブ朗達は狩りに行っているようだ。


俺は抱えている子を下ろし奴隷を購入してきたことを説明する。


「内容はわかりました。ですがこの身体が欠損した奴隷をどうするのですか?召喚すればなくなった部位も元に戻るでしょうから殺しますか?」
「いや今回はちょっと特殊なスキルもあって死んだらどうなるかわからないから召喚はやめておくよ」
「ではどうするのですか?欠損部位の修復など伝説の妙薬エリクサーぐらいしか聞いたことがありませんが」
「ちょっと待ってて」


俺はスキルブックを開き回復をLV10まで取得する。
どれだけ直せるかわからないので上限まで上げておく。


取りあえず一番手前にいた腕を欠損している子に向かって回復魔法を掛けた。
すると欠損部位から少しづつ肉が盛り上がりなくなった腕を修復していく。
みんな目を見開き驚いている。


だが俺はそれどころじゃなかった。
これもの凄く魔力を消費するぞ。
回復を掛けている間、昔火魔法を乱発したときみたいにゴッソリ身体から何か失われていく感じがする。
俺は急ぎ自分に鑑定をかけ魔力の減る量を確認する。
すると現在の魔力の4分の1持って行かれている。
ゴブ朗達のおかげで俺のLVもかなり上がっているのにそれでも4分の1だ。
確かにこれなら部位欠損が直せる人はほとんどいないのがわかる。
魔力の全量がわからないと回復魔法発動した瞬間魔力が枯渇するぞ。
俺はそのまま回復魔法をかけ続け10分程で無事腕が完全に元に戻った。
周囲の皆は歓声を上げ、腕が元に戻った子は涙を流して喜んでいる。
こういうふうに喜んで貰えると頑張った甲斐がある。


だがどうしよう、
腕1本で魔力4分の1持って行かれる。
後7人もいるし内2人は身体のほとんどを全損しているし、
我が拠点には回復ポーションはあるが魔力ポーションはない。
取りあえず急ぎ街に戻って魔力ポーションを買ってくるか。
俺はカシム達に回復魔法の消費が激しいからちょっと街に魔力ポーションを買いに行くことを事を告げ
奴隷達の世話を任せ街に戻った。
ただ世話をする際特に金髪の子には直接触らないように厳命しておいた、スキル取られちゃうしね。






1時間ぐらいで戻れただろうか。
しかし魔力ポーションが以外と高かった。
残り金貨2枚では余り数が買えず、恐らく全員分には足りない。
取りあえず今回は急ぐ2人を治療しよう。
そう考えながら俺は広場に戻るがそこには既に誰もいなかった。
あれ?どこに行ったんだろうか?
俺は周囲を探すと木造住宅建設予定地に人が居る。
近づいていくとどうも建築スキルの男と山賊達が話している。


「ここの基礎はすごいですね!どうやって作ったんですか?」
「基礎はケンゴ様が全部魔法でやっちまったんだよ、スゲーよな。それよりここの材木の結合部はどうするんだ?ここには釘がねぇからな」
「魔法でですか、凄いものですね。釘がないなら組み手で繋げれば大丈夫ですよ。ここをですね・・・」


いつの間にかもの凄く馴染んでいるな。
俺まだ名前も聞いていないのに・・・


「あぁケンゴ様お帰りなさいませ!この人凄いですね!!これで住宅部もかなり進みますよ!」
「ご主人様お帰りなさいませ!ここの基礎は凄いですね!できればもう少し拡張したいのですが広げる事は出来ませんか?」


かなりテンションが上がっているようだ。
まぁ和気藹々とするのは良いことだ。


「拡張や基礎を弄ることは問題ないですよ。要望があればどんどん言ってください。それと君の名前を聞いても良いかな?」
「あぁこれは申訳ありませんでした。私はヨシュアと申します。これからよろしくお願いします」
「これからよろしくね、あとご主人様はやめてケンゴと呼んでくださいね」
「わかりました。それで私はここで何をすれば良いのでしょうか?建築スキルの話をしたらここに連れてこられ色々建築について話をしていましたが良かったのでしょうか?」
「構いませんよ。元々ここにいる住人に建築についての技術を教えて貰おうと考えていましたしね。ヨシュアにはここの拠点の建築に関して全て任せたいと思っています」
「す、全てですか!?」
「えぇ、もちろん皆と話し合って建築していって貰いますが基本的にヨシュアを中心にこの拠点の住宅部を建設していってもらう予定です。何か問題がありますか?」
「い、いえ問題ありません。まさか自分が中心になって建築して行くとは思っていなくて驚きました」
「そうですか、何か必要な物があれば言ってください。なるべく用意します」
「ありがとうございます。まさか自分にこんな大きな拠点の住宅部を任せて貰えるなんて夢のようです。
建築家として腕の見せ所ですね、期待していてください。」
「期待していますよ。では後は頼みましたね」


そういうと俺は他の奴隷達を探すため木造建築予定地を後にした。




拠点を移動しながらさっき居る場所聞いとけば良かったな・・と思いながら歩いていると気配察知に固まっている集団が引っかかった。
恐らくこれがほかの奴隷達であろう。
向かってみるとそこはエレナの寝床だった。
どうやらエレナが面倒を見ているようだ。
覗くと部位欠損した子を甲斐甲斐しく世話を焼いている。
エレナはほんと俺がいないと良い女になるな。
何故俺の前だとあんなに過激なのだろうか?謎だ。
俺は寝床をノックしながらエレナに話しかけた。


「ごめん待たせたね、皆の面倒を見てくれてありがとう、助かったよ。入ってもいいかい?」
「はい、ここは全てケンゴ様の物ですので何も気にせずお入りください」


いやそういうわけにはいかない、女性の寝床に入るのだ、カシムに見られたら殺されそうだな。
寝床を見渡すと奴隷の皆は少し元気が出てきたようだ、目に期待が混じって見える。さっき腕を治した子なんてもの凄い凝視してくる。なんだろう?やめて欲しい。
取りあえず皆に今日全員治すのは無理なことを伝える。


「皆に聞いて欲しい事があるんだけどいいかな?実は今日魔力の都合で全員治すのは無理になったんだ。
それで今日は状態が悪い2人を優先して治そうと思う、申し訳ないけど皆は明日以降順番に治していく事になるけど我慢できるかな?」


皆は少し残念そうな顔をするが直ぐに頷いてくれた。
うん、皆優しい良い子だな。
この子らを助けて良かったな・・・
俺は皆の頭を撫でながら奥に寝せられた2人の前に移動した。


2人は相変わらず手足もなく1人では動けない状態だ。
寝返りも打てず所々肉が腐ってきている。
身体を拭いたのか既に汚物の匂いはしない。
早く助けてやらないとな。


俺は2人の前に座り魔力増大と魔力回復をLV10まで取得する。
最近気にせずに使うせいかそろそろポイントがなくなってきたな。
俺は節約の事を考えながらまずは水色の髪の子から治療を始める。
魔力ポーションを用意し早速回復魔法を掛けるが案の定魔力がゴッソリ持って行かれた。
あぁこれは全開でも足りないかも知れないな。
時間が経つにつれ少しずつ部位が復元されていく。
俺は既に2本目の魔力ポーションを飲みながらさらに回復魔法をかけ続ける。
30分ぐらい経っただろうかようやく全て治療し終えた。
これかなりしんどいな、
だが俺の目の前には水色の髪をした狼だろうか?犬型の少し大人しそうなとても綺麗な女の子がいた。
水色の髪の子は自分の身体の様子を触りながら確認し自分の身体が確かにあることがわかると声を殺しながらその場で泣き出した。
俺は水色の髪の子をエレナに任せ金髪のこの方に向き直る。
さっそく回復魔法を掛けるがこちらも同じくゴッソリ魔力を持っていく。
既に俺の腹はポーションでタップタプだ。
こちらも同じく30分ぐらいかかった。
しかしこちらもまた虎かな?猫型の目元から活発そうなのがわかる魅力的な女の子だ。
金髪の女の子はまだ自分がどうなったのか理解が追いつかないようだ。


「よく頑張ったね」


俺が2人を撫でようとしたら金髪の子が飛び退いた。


「だ、駄目です!!私に触れるとスキルがなくなります!!」
「大丈夫だよ」
「スキルがなくなるんですよ?大丈夫なわけないじゃないですか!!」
「大丈夫」


俺はそういうと金髪の子を捕まえ抱きしめながら頭を撫でた。


「今まで大変だったね、とても辛いことが沢山あったね、本当によく頑張った。偉かったね。怖いのはわかるよ、また同じように繰り返すかもしれないんじゃないかって。けど大丈夫だよ。俺がいるからね。これからは俺が守るから大丈夫。安心していいよ」
「ッ!!」
「もちろん君もね」


俺はそう言うと水色の髪の子も撫でた。
すると2人とも堰を切ったように大声で泣き出した。
2人余程怖かったんだろうな・・・
俺は2人が泣き止むまで頭を撫で続けた。





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