異世界をスキルブックと共に

気のまま

奴隷商2

2人のステータスには俺と同じように一番最後に1つだけユニークスキルがあった。
金髪の子には「スキル強奪」のユニークスキルが、
水色の髪の子は「予知」のユニークスキルが、
それぞれ記載されていた。


俺以外で初めてユニークスキル保持者を見たな。
一応俺のスキルブックは神様から貰ったものだからこの子達も神様に関係があるのかな?
俺はLV10になった鑑定でさらに詳しくユニークスキルを見る。


「強奪」は触れた対象のスキルを任意で強制的に奪う事が出来る、しかしLV差が著しいと奪えない。注)熟練度が低い場合は任意の対象を選べない。


「予知」は認識した任意の相手の未来が見える、しかしLV差が著しいと見えない。注)熟練度が低いと対象をランダムで選定し予知が発動する。


なんだこの注意書きは・・・
この2人がこんな状態になっているのはこれが原因か。
こんなの鑑定のLVが高くないとわからないだろうに・・・
俺はそのまま2人に向かって歩いて行く。


「お客さん!!近づくと危ないですよ!!」


俺は振り向き答える。


「少し話をさせて頂いても良いですか?」
「それは大丈夫ですが何が起こって当店は責任を負いませんよ?」
「ええ、それでかまいません」


俺は再び歩き出し2人がいる檻の前に立つ。


「俺の声が聞こえますか?」
「う゛ぁぁ」「うう゛う゛」


2人も声が出せていない。
喉の所にある傷が原因か・・・


「良かった聞こえるようですね、少し質問をしますね。肯定なら頷いて、否定なら首を振ってください。」
「う゛ぁ」「うう゛う゛」


2人は少し首を動かし頷いてくれる。


「あなたたちは現状を理解していますか?」
肯定だ。
「あなたたちは何故こんなことになっているか理解していますか?」
これは否定だ。
「あなたたちはもし身体が元に戻り元気になれたとしたらあなたたちをこのような状態にした人達に復讐したいと思いますか?」
これは2人も答えなかった。
「このままの状態だといずれ2人近いうちに死ぬと思いますが、死にたいですか?」
これには2人も強い否定を返してきた。
「では最後に、生きたいですか?」
2人共最後の質問に涙を流しながら肯定の意思を示した。
そうか、こんな状態になっても生きたいか・・・
俺は檻を後に店主の元に戻った。




「大丈夫でしたか?」
「はい、何もありませんでしたよ。それと少し聞きたいのですがあの2人は呪われているので隔離するのはわかりますが、残りの子達は何故一緒に隔離しているんですか?」
「あまり褒められたことではないのですがこの奴隷達は既に廃棄なんですよ」
「廃棄ですか?」
「そうですね、売れる見込みもなく売れたとしてもクレームが入る可能性が高く、部位が欠損しているので鉱山労働に送ることもできません。法律で奴隷を殺すことは認められていないのでこういう風に隔離し食事を減らし衛生面を敢えて悪くし早く死ぬようにしているんですよ。生きているだけでコストはかかりますしね」
「そうですか・・・」


俺はその話を聞き険しい顔をするがそれを見た店主がさらに話掛けてくる。


「可哀想だと思いましたか?ですが私共も商売で奴隷商を営んでおります。この子らは各々の理由で奴隷として売られました。その過程で商品が破損してしまったのですから廃棄するしかありません。再利用もできません。一度失った身体はもう二度と元には戻らないのです」


確かに商人としてはこれで正しいのかも知れないが俺はこの人のことを好きにはなれなさそうだ。


「それで何故この子達は身体を欠損してしまったんですか?」
「実は以前獣人の国から大規模な輸入があったのですが輸送の最中に魔物に襲われてしまいまして、護衛の方々も奮戦していましたが魔物の方が押していましたので餌を投入したんですよ。あれはその生き残り達です」


胸糞悪くなる、奴隷の権利は何処に行ったのだろうか?
はっきり言おう、俺はこいつが嫌いだ。


「そうですか、それは災難でしたね」
「えぇ本当に災難でした、仕入れた商品は減るし呪われている欠陥品も混じっているしもう一時獣人の国には行きたくありませんね」


あの2人の身体を削いだのはこいつか・・・


「この子らはあとどれくらい保つと思いますか?」
「手前の檻の子らは数週間は保つかもしれませんが奥の2人は来週には恐らく死にますね」


店主は今まで何度も繰り返してきたことのように簡単に話す。


「そうですか、ではこの子らを全て貰いましょうか」
「はい?今なんと仰いましたか」
「この子らを貰うと言ったんですよ。金貨1枚出します。廃棄する予定ならそれで十分でしょう」
「正気ですか?」
「至って正常ですよ」
「・・・わかりました。ですがノークレームで返品も承りません。以後何があっても当店は責任を負いませんがそれでよろしいですか?」
「それで構いませんよ」
「わかりました、それでは用意を致しますので少々お待ちください」


店主はそのまま部屋を出て行った。


その間俺は他の子も鑑定を掛け調べてみたがこちらの子らは特に他と変わりのない普通の子みたいだ。
子供らは購入されたというのに死んだように元気がない。
どうやったら元気になるかな?
そんなことを考えていたら店主が紙束を持ち戻ってきた。
先ほど契約書にサインをし奴隷紋に血を垂らすのだが店主は奥の2人の近くには絶対に寄ろうとしなかったので自分で衣服を脱がせパスを繋いだ。
他の子も無事にパスを繋ぎ終え、この子らを連れ出すためにエレナと建築スキルの男性を呼びに行こうとしたら店主が話しかけてきた。


「本当によろしかったのですか?」
「えぇ構いませんよ」
「お客様には申訳ありませんが理解できませんね」
「そうなんですか、私もあなたを理解出来ませんよ?もしこれからも事故で部位を欠損し廃棄する予定の奴隷が出たら冒険者ギルドに連絡してください。引き取りに来ますので」
「わかりました。慈善活動かはわかりませんがやはりいらないからと捨て置いたら犯罪になりますのでご注意くださいね。」
「そんなことはしませんよ。またお金が貯まったら先ほどの職人達も貰いに来ますのでその時はよろしくお願いしますね」
「こちらこそその時はよろしくお願い致します。またのご利用をお待ちしております。」


店主は頭を下げ奥の部屋へと下がっていった。




さてこの子らを運ぶとするか。
足がある子は良いがない子は抱えて運ぶ必要がある。
俺はエレナと建築スキルの男性を呼び足が欠損している子の補助を頼んだ。
他の子にも足のある子を中心に移動の手伝いをするように指示する。
俺は残り2人を抱え店を出ようと思ったがふとあることを思い出した。


「エレナ、ここで少し皆と待っていてくれないかな?」
「畏まりました」


俺はエレナ達を待たせ店を先に出た。
そのまままっすぐ進み建物の陰で煙草を吸い寛いでいる男に話しかける。


「あのーすみません?」
「ん?なんだ兄ちゃん、煙草でも欲しいのか?」
「いえいえ、違いますよ。あなたが昨日から私達の後を付けているのはわかっています。ギルドを出た後からなのでクリフォードさんの差し金でしょうか?ですが少し目につくのでやめて頂けないかなと思いまして」
「ッ!なんのことかわからねーな、兄ちゃんの勘違いじゃねーのか?」
「そんなことはありませんよ?あなたの後方にももう1人いますよね?こういうことはあまり好きではないのですがあんまり酷いようだと実力行使を為ざるを得なくなりますとクリフォードさんにお伝えください」
「・・・・・わかった、何もするな。全て撤収させる」
「ありがとうございます。以後続くようだったらこちらも考えがありますからね?」
「あぁ、わかった」


そう言うと男は煙草を消しそのまま路地裏に消えていった。
これで奴隷を運ぶときに余計な勘ぐりをしそうな輩はいなくなったな。
昨日ギルドから出たあとずっと気配察知に引っかかっていたので恐らくクリフォードさんの回し者だと思うがほんとにやめて欲しい。
いったい俺が何をしたというのだろうか?


俺は奴隷商に戻りながらカシム達に念話で戻ることを伝えた。
その後エレナと一緒に奴隷を路地裏まで連れて行き人目を気配察知でないことを確認した後全員で拠点にロングワープで戻った。





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