異世界をスキルブックと共に

気のまま

冒険者ギルド

街に入るとそこは活気に溢れていた。
石畳の街道に石や木造の家々、さらに屋台だろうか?街道沿いに小さい店がいくつかあり大きな声で客を呼び込んでいる。
凄いな、俺の拠点も人数が増えてきたし、いずれこんな大きな街みたいにする方向で職人集めをするかな。
俺は辺りを見渡し今後の拠点の参考とどんな職人を雇おうか考えながら街中を歩いて行った。


街道を少し歩くとすぐにザックさんの商店が見えてきた。
良い立地だ、さぞかしやり手なのだろう。


「本当にありがとうございました。助けて頂いた上に荷物まで運んで貰って、これで無事商売が営めそうです。これは少しばかりですがお礼にどうぞお受け取りください」


そう言うとザックさんは小さな袋を手渡してきた。
堅い金属が擦れる音がする・・・お金だろうか?


「いえいえ、こちらこそ街の入り口で助けて頂いたのでこれは受け取れません。あの時は本当に助かりました」
「ですが・・」
「困った時はお互い様です、どうしてもと言うのでしたらそれでアンナちゃんに本でも買ってあげてください。それにアンナちゃんとは今度またお話を聞かせてあげる約束をしてしまいましたしね。またいつ来れるかわからないので何か気を紛らわせる物がないと遅いとアンナちゃんに怒られそうなんですよ、ハハハ」
「あなたという方は本当に・・・・   わかりました、この町で何か入り用や困り事があったらこのザック商店のザックをお頼りください。必ずケンゴ殿のお役に立てるよう尽力いたします」
「そこまで気を張らなくていいですよ、ザックさんも何かあったら教えてください。微力ながら力になります。」
「ありがとうございます。では私は護衛達の弔いもありますのでこれで失礼いたします。神よこの出会いに感謝を」
「では私達の方も冒険者ギルドに行きますね、ザックさんそれではまた」


俺は初めて神の幸運に感謝をしザックさんに軽く会釈を行いザック商店を後にした。


「おじさーーん!お話!! 約束だからねー!!」


少し歩いたところで後ろからアンナちゃんの声がした。
俺は振り返り手を振りながら再度神様に感謝をした。


その後エレナの案内で冒険者ギルドを訪れた。
さすが故郷なだけあって細かい路地裏も迷わずに移動してきた。
今目の前に2階建ての立派な建物がある、他の建物と比べてもかなり大きい。
中はどうなっているのだろうか?俺は少しワクワクしながら2人で中に入った。


中に入ると左手側にカウンターがありこちらで色々受け付け等を行っているようだ、その横に2Fに上がる階段がある。
さらに右手は酒場になっているらしくまだ昼間だというのに何組か酒を飲み交わしていた。
取りあえず俺とエレナは冒険者証を発行してもらうべく受付に並んだ。


「エレナちゃん!!」


列に並んでいると唐突にそう声が聞こえ目の前にいたエレナが消えた。


よく見るとエレナは地面に倒れている。
しかし腹回りに見慣れない人物がくっついている。


「エレナちゃんエレナちゃんエレナちゃん、エレナちゃんが生きてたよー良かったー」
「カスミ重いです、離してください」


どうやらエレナの知り合いらしい。
だがスキンシップが激しすぎる、俺なら驚いて心臓が止まってるぞ。


「良かったーエレナちゃんが森に探索に向かって1ヶ月以上連絡がなかったからギルドでもあと半月連絡がなかったら死亡扱いにするって決まったとこだったんだよ。けど本当に生きてて良かったよー」
「心配してくれてたんですね。ありがとうございます。けれど私はちゃんと生きていますので取りあえず離れてもらえませんか?」
「もう!久しぶりの再会なのに相変わらず冷たいなーまぁそこがエレナちゃん良いところなんだけどねー」


そういうとカスミはエレナから離れながら立ち上がった。


「それはそうとエレナちゃん今まで連絡もなしに何をやっていたの?あの時受けた森の探索の依頼は駄目になっちゃってるよ?」
「実はあの時森でグレーターベアに襲われて・・・」
「グレーターベア!?森の外周部で!?それほんとだったら一大事だよ!!」
「本当です。あの時襲われてもう駄目だと思ったときそこにいるケンゴ様に助けて頂きました。その時の怪我が少し酷くて今までケンゴ様の元で療養していたので連絡ができませんでした」
「ケンゴ様?その人、どこにいるの?」
「そこにいますよ」
「?」


カスミという女の子は辺りを見渡すがどうやら俺を見つけられないらしい。
先ほどのカスミダイブでビックリしたときに隠密が発動したのだろうか?


「あのーケンゴは私です」


俺はわかりやすいように手を上げながら返事を返した。


「ッ!!」


カスミという女性は目を見開き驚いた瞬間俺から距離を取るためなのかその場を蹴って後退した。
急に現れたから驚くのはしょうがないが警戒しすぎじゃないだろうか?少し傷つく。


「何者だ!!」


この世界に来て何度その質問をされただろうか?さっき名乗ったのはスルーされたようだ。


「私は先ほど紹介に与りましたケンゴと申します。以後お見知りおきを願います」
「そんなことは聞いていない!!お前は何者だ!!何が目的でここに来た!!」


凄い剣幕である、しかも名前を聞いてきたわけではないのか。
ということはさっきの自己紹介はスルーされたわけではないようだ。
しかし名前以外で何者かを聞かれたら自分でも何者かはわからない、どうしよう・・・
俺は辺りを見渡すが何故か周囲に並んでいた人もこちらを警戒しているし中には抜剣までしている人がいる。
あれ?おかしいな偽装スキルが発動してないのかな?
取りあえず無害をアピールする。


「何者かはわかりませんが一応ここには冒険者登録をしに来ました。こちらは特にそれ以外をする気はありません」
「冒険者登録ですって?いったいどういう・・・・」
「いい加減にしなさい!!!」


そのとき重い空気の中ギルド内にエレナの声が響いた。


「カスミ!それに他の人達まで私の恩人に向かってなんてことをしているのですか!!それ以上は私が許しません!!」


エレナが静かに抜剣し身体の周囲に火魔法だろうか?火を纏い展開し始めギルド内の温度が一気に上がった。
赤い髪が灼熱の炎のように吹き上がってギルドに怒りの炎の女神が舞い降りてきたのかと錯覚してしまう。
エレナは怒っているが、とても綺麗だ・・・


「エレナちゃん・・・?その力は・・・」


「はいはーーい、ストップストップ!!ギルド内で暴力沙汰は御法度だよーー!!」


そのとき困惑する周囲の中を制止の声を上げながらかき分けてくる男がいた。

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