異世界をスキルブックと共に

気のまま

襲撃

あれから西に探索をして2日経った。
俺はようやく森を抜け街道らしき場所に出た。
地面には馬車の後だろうか轍がある。
一気に人がいる感じがする場所に来れて俺は長いサバイバル生活が終わりを迎えたことを悟った。
俺は逸る気持ちを抑えつつ街道を西に向かった。


街道を進んでいると遠目に馬車を囲んで揉めている現場に出くわした。
2日前に山賊と遭遇したばかりなのにこの世界はこれが普通なのだろうか?治安が悪すぎる。
俺は通訳さんに念話をしつつ取りあえず馬車に近づいていった。
近づくと遠目ではわからなかったが2台の馬車が襲われているようだ、既に1台は転倒し馬や乗っていた人だろうか数人殺されているようだ、もう一度言うが治安が悪すぎる。
俺は一応逃げれる距離を確保しながら話しかける。


「あのーすみません」
「ッ!誰だお前は!!」


こんなに近づいても気づかれないとは隠密スキルは優秀だな、最近発動しなくても気づかれない事が多い気がするが・・・


「あなたたちはこの馬車を襲っているんですか?」
「誰だと聞いている!!くそっ!おい殺るぞ!!」


やはり穏便には行かないようだ。
事前に気配察知で外にいる奴らを補足していたのでいつも通り土魔法で膝まで捕獲する。
俺の目の前はまた阿鼻叫喚の地獄絵図に早変わりした。
やはりいきなり膝から下を砕かれ動けなくなるのはキツいようだ、俺でも泣き叫ぶ。
一応剣とか危ない物を投げてきても困るのでさらに首から下を全て土で覆い硬化する。
うん、白目を剥いて気絶している人もいるな、申し訳ないがもう少し我慢していてもらおう。
残りは馬車の中に5人程の反応がある。


ここで俺は準備が出来た通訳さんを迎えに拠点に戻り連れてきた、この間約5秒程である。
俺はこの世界で今のところ初対面の人と無事に意思の疎通が出来た試しがない。
そのため今回みたいに襲っている人以外は通訳さんを挟み少しづつ会話に混ざる方針で行くことに決めたのだ。
恐らく馬車の中には盗賊の人以外にも被害者の方がいるだろう。
今回は初めて街に入る前だ、少しでも友好的な存在を作っておきたい。
俺はここからの会話を通訳さんに任せ、後方から魔法と角ミサイルをいつでも発射出来るように用意する。


「馬車の中にいる方、聞こえていますか?こちらは馬車の外にいる方々を無力化し包囲しています、しかも馬車の中にあなたたち5人しかいないこともわかっています。無駄な抵抗はせずに投降して頂けませんか?」


さすが通訳さんだ完璧な降伏勧告だ、これは穏便に終わらせられそうだ。


「てめぇらは誰だ!!俺らが「黒の外套」メンバーだと知っていてこんなことをやっているのか!!」
「いえ、知りません」
「ッ!だがこっちにはまだ人質がいる!こいつらを殺されたくなければ仲間を解放して離れろ!!」
「それは無理です、そちらで捕らわれている方に人質としての価値はないので殺して頂いてもかまいません。こちらは要求は馬車から今すぐ全員出てくることです。こちらの要求が呑めないのでしたら馬車ごと吹き飛ばします。後1分だけ待ちます。その後は問答無用で馬車ごと吹き飛ばしますのでご了承ください。」


うん、全然穏便じゃなかった。むしろ向こうよりこちらの方が過激だ、どうしよう。
俺は心配そうにエレナのことを見つめるが当の本人は平常運転だ。
徐々にリミットに近づいているのかエレナの手には赤い火の玉が形成されつつあった。
最近鑑定してなかったけどエレナ火魔法使えたんだなーと俺は形成された火の玉に映える赤髪を見ながら感慨深く呟いた。


リミットになるが馬車からは誰も出てこなかった。
エレナは本当に吹き飛ばすつもりなのかかなり大きくなった火の玉を馬車に向けて打ちだそうとしている。
その瞬間馬車から2人飛び出してきたので俺はそのまま土魔法で捕獲した。
がエレナはそのまま火の玉を打ち出した。
え?打っちゃうの??
だが火の玉は馬車の間を抜けそのまま遠くの地面に着弾し大きな音を立てて爆散した。
エレナが当てる気だったのか外したのかはわからない、ストレスでも貯まっているのだろうか?
俺はエレナだけは怒らせないようにしようと決め馬車の方に向かった。


「馬車にいる方聞こえますか?既に野盗はいないと思われますが一応出てきて頂けますか?」


返事はない。


「やはり燃やしましょう」


待て待て、本当にエレナは過激だな、よくこれで通訳さんの地位を確保したものだ。
俺は警戒しながら馬車の中を探る。
すると中には男性1名に女性が2名いた、内女性1名は子供だ。
全員殴打された後があるので気を失っているのだろう。
取りあえず全員に回復魔法を掛けエレナに外の拘束している奴らの首を刎ねてくるように指示した。
さてこの人たちは日が暮れる前に目を覚ましてくれるかな?
俺は外の悲鳴を聞きながらこの人たちが起きるのを待った。



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コメント

  • ノベルバユーザー27545

    馬車の後 ← 跡

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