異世界をスキルブックと共に

気のまま

集落

招集後、皆に西に行く話をしたが満場一致で反対された。
特に一人で行くことに大ブーイングだ。
俺の身に何かあっては一大事だとかせめて誰かを共に連れて行けとか騒いでいる。
皆心配性だな、
俺の西への旅の第一歩は皆の説得から始まった。


ようやく何かあったら直ぐに帰還、そして問題の解決には一人で行わず拠点から誰かを同行させることを条件に出発を許可された。
あれ?俺一応ここの主人で一番偉いよね?過保護すぎじゃないかな?
だが誰一人として頑なに譲ろうとはしない。
しょうがないからその条件で俺は西の森に向かうことを決めた。


出発の時に俺は皆に見送られながら西の森を見た瞬間この世界に来て初めて探索に出る時を思い出した。
そういえば俺はこの世界に一人で来たんだったな、
振り返れば過保護だが俺のことを考えてくれる仲間がいる。
本当にしょうがないな。
俺はそう呟きながら皆に大事にされていることを実感し口元に笑みを浮かべ西の森に向かった。


西の森の探索は順調だった。
今回は拠点に戻る必要がないのでひたすら西に向かう。
魔物にも遭遇するが角ミサイルを回収している時間が惜しいため見つかる前に風魔法で首をはねていった。


どれくらい進んだだろうか、もう日が沈む。
俺は今日の探索を終え地面にマーカーを打ちロングワープで拠点に戻った。
拠点に戻ったときのエレナ達の顔は見物だった。
まさかその日に戻ってくるとは思っていなかったのだろう。
今でも思い出して笑ってしまう、だから過保護すぎるって言ったろう?


次の日も朝早くロングワープで戻りひたすら西に向かう。
だがどれだけ進んでも森しかない。
本当にあるのだろうか?
取りあえず森が終わるまで進んでみようと決め探索し続けた。
2日目も特に変わった事なく終わった。


3日目も同様に探索をしていたらお昼ぐらいに人の集落らしき所にでた。
木の柵で囲った中に家が十数軒ほど見える。
ただお昼時だというのに外に人が誰もいないようだ。
集落の外で観察していてもこのまま日が暮れてしまいそうなので俺は集落に入り人を探すことにした。
集落に入るがやはり人の気配がしない。
集落の中心辺りに来たとき気配察知でに大量に反応する家があった。
俺はその家の前に行き取りあえず誰か出てくるのを待つ。
いったい皆で集まって何をしているのだろうか?
一時待っていても誰も出てこないので俺は家のドアをノックしてみることにした。


「誰だ!!」


ノックしたら家の中から大きな声がした。


「すみません、旅をしている者ですが外に誰もいなかったのでこちらにお伺いをしました。どなたか対応して頂くことは可能でしょうか?」


「ドアから離れて少し待て」


良かった会話が成り立つ。
俺はドアから離れて誰か出てくるのを待った。


数分後家から複数の男が出てきた、辺りを見渡し何かを探しているようだ。


「初めまして、佐藤健吾と申します。対応して頂きありがとうございます」


「ッ!!」


俺が声を掛けた瞬間初めて俺に気づいたように驚いている。
大げさだな。


俺が再度声を出そうとした瞬間・・・


「何者だ!!」


周りに響くぐらい大きな声でそう問われた。


「佐藤 健吾と申します。以後お見知りおきを」


「何が目的で来た!! 奴らの仲間か!?」


どうしたんだろう?酷く怯えたように見える。
後ろの人とか鍬や鉈とかを構えだしているし。


「奴らとはどこのどなたでしょうか?」


「このタイミングできて、しかもお前みたいな奴が関係ないわけがないだろうが!!約束の時は明日だろう!!まだ用意はできていない!!帰れ!!」


酷い言われようだ。
初見でここまで言われるとは・・・見た目か?後ろの人も怯えているようだし。
まさか容姿でここまで言われる日が来るとは・・・地球にいたときは日本人らしい平均的な顔立ちをしていたと自負していたが自信が失われそうだ。
まさか神様が身体を弄ったときに顔も弄ったのだろうか?
あの神様ならやりかねない、俺の中で神様の株は暴落中だ。
帰ったら皆に確認してみよう・・・


「わかりました、また日を改めてきます」


俺は踵を返し集落を後にしようとした時何かが身体に当たった。
確認するとそれはただの石ころのようだ。
まさか石を投げられたのか?
俺は振り返ると住民が振りかぶっていた。
急いで俺はその場を後にする、
俺の幸運は死んでいるようだ。


拠点に戻り急いで顔を確認するがいたって普通の日本人顔だ。
皆にも確認するが評判は上々だ。
何が問題だったのだろうか?
取りあえず俺は問題が発生したので約束通り拠点からエレナを連れ集落に戻り状況を説明した。
するとエレナが話をしてくるという。
いやいや、危ないからやめた方がいい。石とか飛んでくるから。
エレナは大丈夫ですと一言残し集落の中へ入っていった。
1時間ほど経っただろうかエレナは無傷で戻ってきた。
えっ?話が出来たの?マジで?
さすが我が拠点を代表する通訳さんだ。


エレナによるとこの集落は先日山賊に襲われたそうだ。
その時に女子供を連れ去られそのせいで集落に人が少ないらしい。
さらに村に隠しているであろう物を用意し差し出さなければ集落を焼き、女子供も殺すそうだ。
その期日が明日らしい。


俺は天を仰ぎながら凄いタイミングで訪れてしまった不運を嘆いた。
やはり俺の幸運は死んでいる。



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