俺の周りの女性は全員美少女なんだが必ず何か重大な欠点がある!

サクえもん

40話 馬のくせに生意気だ!

 「俺は今どこにいるんだぁぁぁぁぁぁぁ!」


 あれから俺は一時間ひたすら森の中を歩き続けた。
 それなのにも関わらず俺は森から抜け出せずにいた。
 それどころか最初にいた場所よりもっと奥に進んでしまったと言っても過言ではない。


 「クソ! これも何もかもすべてあのラスボス集団のせいだ!」
 

 でも仕返しはできないし、 結局は泣き寝入りするしかないんだよな……


 「しかも喉も渇いたし、 どこかに川でもないかな……」


 その時俺の耳に川の流れる小さな音が聞こえてきた。
 俺はその音が聞こえた方向に一目散に走った。
 

 「な、 なんて透き通った水なんだ!」


 俺の聞こえた音は間違いじゃなかったようで、 そこにはとてもきれいな小川が流れていた。
 そこから俺は自分ののどが潤うまでひたすら水を飲み続けた。


 「プハァ! うまかった。 さて喉も潤ったことだし、 そろそろ出口をまた探さなくちゃ……」


 その時森の奥から頭に一本の巨大な角を生やした白馬が現れた。


 「あ、 あいつはもしかして……」


 頭に角を生やした白馬など俺の知る中あれしか思いつかない。


 「ユニコーンじゃないか!」


 ユニコーンと言えば日本人の多くが知っている超メジャーな幻獣であろう。
 そんな奴が今俺の目の前のいるだけ俺は今までの憂鬱な気分が一気に吹っ飛んだ。
 その肝心のユニコーンはと言うと川に口をつけ水分補給をしているようだった。
 その様子を俺がジッと見ているとユニコーンもその俺の様子に気づいたようでゆっくりとこちらを見てきた。


 「ん? 急にどうし……」
 「何じろじろ見てんだ? 見せもんちゃうぞおらぁ」


 あれ? 今の聞き間違いかな? なんか今めっちゃおっさんみたいな声が聞こえたんだけど?


 「えっと今のは聞き間違い……」
 「そんなわけないでしょう」
 

 やっぱり聞き間違いじゃない!


 「ま、まさかこの声の主ってお前か?」
 「そうですよ」
 「ふざけるなぁ!」


 なんで神聖な生物の代名詞と言えるべき生物の声がおっさんなんだよ! 
 てか! よく聞くとフ〇ーザ様の声にそっくりじゃねぇか!


 「それはこっちのセリフですよ。 私の水飲みシーンをじろじろと見てきて。 貴方殺されたいんですか?」
 「うるせぇ! 俺の期待を返せ! そして全国の夢見るちびっこたちに土下座しろ!」
 「さっきから何をわけのわからないことをいっているんですか!」
 

 ああ、 もうなんでこんなやつがユニコーンやってんだよ。
 フ〇ーザの間違いだろう……


 「なんですか? その期待外れの奴を見たときの顔は?」
 「だって実際そうだし……」
 「あなた中々いい度胸をしていますね。 この私の前でここまで生意気な口をきいてくれたお馬鹿さんはあなたが初めてですよ!」
 「そのセリフはやめろ! てかそれ以上お前は喋るな! 色々な場所に怒られるから!」
 「本当に失礼な人ですね!」
 「失礼で結構だよ。 そう言えばお前はこの森に棲んでいるのか?」
 「そうですが何か文句でも?」
 「それならこの近くの村までの道を知らないか?」
 「知っていますよ」
 「それなら……」
 「ただし! その村への道が知りたいというなら……」


 コイツ! 何を要求する気なんだ!
 やはり相当高い物とか!
 

 「私にお、 女の子を紹介しなさい!」
 「なんでやねん!」


 あまりにもおかしなことを言われてしまったせいでつい関西弁が出てしまった。
 てかなんでよりにもよって女の子なんだよ!
 それでも宇宙の帝王かよ!


 「どうしてんですか?急に変な声をだしたりして?」
 「そりゃあお前の要求が予想外すぎたからだよ!」
 「なぜですか! 男なら当然の事でしょう!」
 「まあそうだけど……」


 フ〇ーザの声でそう言われるとあまりにもギャップが凄くてねぇ……


 「それで紹介してくれるんですか! しないんですか!」
 「ま、 待て! とりあえず一つ聞きたいのはお前の言う女子は馬か人間どっちなんだ?」
 「そんなの馬の方に決まってるでしょう! 貴方は馬鹿なんですか! 人間の女子なんて紹介されても仕方がないでしょう!」
 「いやだってユニコーンって処〇の女の子が好きって前に本で読んで……」
 「そんなの迷信ですよ! 大体処〇だからって神聖なんてありえないでしょう!」


 なんで俺はこんなどぎつい下ネタの話をユニコーンなんかと話しているんだろう?
 いつからこうなった?


 「まあ今はその話は置いといて心当たりあるぞ」
 「それは本当ですか!」
 「ああ」


 何せ俺たちの馬車を引いている馬あの子確かメスだったしな。


 「それならば話は早いです! 早くこんな薄汚い森出ますよ!」
 「じゃあなんでこんなところに住んでんだよ!」
 「そんなことも知らないのですか? ユニコーンの角は高く売れるんです。 ですから密猟者の手から免れるためにこういった森の奥地に住むのは当然なんですよ」
 「へぇ。 ということはお前は神獣か何かなのか?」
 「いいえ。 私達は幻獣と呼ばれる生物で、 神獣に比べればレアではありませんね」
 「ふ~ん。 要は神獣の劣化版と言うことか」
 「その言い方少々むかつきますね」
 「だって実際……」
 「それ以上何か言うのならばあなたのお尻に角をさしますよ?」
 「すまん悪かった。 それだけは勘弁してくれ」


 男に掘られるなんて死んでもごめんだぜ。


 「仕方ないですね。 今回だけは許して差し上げましょう。 ただし次はありませんよ?」
 「わ、 分かった」
 「それなら早く私の背中に乗りなさい」
 「いいのか?」
 「あなたは特別ですよ。 何せあなたも私と同じ匂いがしますしね」
 

 それは俺もお前と同じチェリボーイだとでも言いたいのか?
 まあ事実だから否定できんがなんか悔しい!


 「乗りましたね? それでは行き……」
 「ちょっと待った!」
 「まだ何かあるんですか?」
 「ああ、 とっても重要なことだ」
 「それなら早く言ってください」
 「お前名前なんて言うんだ? ちなみに俺の名前は俊だ」


 よくよく考えたら俺こいつの名前知らなかったし、 それにうちの馬紹介するわけだから今後長い付き合いになりそうだしな。


 「名前など私にはありませんよ」
 「そうなのか。 なんかそれはやっぱり寂しいし、 俺がお前の名前決めてもいいか?」
 「別に構いませんが早くしてくださいよ?」
 「わかってるって」


 ふふふ、 なんて名前にしようかな。


 「よし決めた!  お前の名前は宇宙の帝王フ……」
 「それ以上言ったらほりますよ?」
 「すまん! 今のは唯の冗談だ!」
 「全くあなたと言う人は……」
 「ははは。 さてお前の名前だがポプ……」
 「却下です」
 「せめて最後まで言わせろ!」
 「あなたがふざけた名前ばかり言うのが悪いんじゃないですか。 それよりも早くしてくださいませんか? 」
 「ごめんなさい……」


 全く! ちょっとしたギャグなんだからそんなに怒らなくてもいいじゃないか!


 「さて次が本命だ」
 「そうですか。 早くしてください」


 この野郎! ちょっとは期待しろよ!
 だがまあいい。 聞いてから腰ぬかしても知らないんだからな!


 「お前の今後一生の名前はシルバーだ!」
 「おや、 これはまた普通のが来ましたね」
 「当然だろう? 名前はとても大事な物なんだから」
 「にしてはさっきふざけてましたよね」
 「さ、 さあな?」
 「まあいいでしょう。 それでその名前の由来は何処から来たんですか?」
 「そんなの単純だよ。 お前の鬣ってさよく見ると銀色じゃないか。 だからそこからとったんだ」


 口ではこういっているが本当はただ単に馬の名前と言えばシルバーしか思いつかなかったからだ。


 「そうですか。 まあギリギリ合格点と言ったところでしょうかね」
 「あ、 ありがとよ」


 コイツ本当に偉そうだな!


 「さて用事は以上ですか?」
 「ああ」
 「それならば行きますよ! しっかりしがみついておかないと振り落としますのでご注意を!」


 そう言った後、 シルバーは走り始めたのだがシルバーの速さはすさまじく、 まるで自身が風になった様な感覚だった。



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