俺の周りの女性は全員美少女なんだが必ず何か重大な欠点がある!

サクえもん

11話 おいでよ! フェンリルの森!

 コンドルの奴は、 自分の巣が近づくと俺を自分の巣目掛け放り投げた。


 「痛い! もっと丁寧に下せねえのか! アホ鳥!」


 俺がそうコンドルに向けて言うと奴は、 こちらを鼻で笑ったような顔で馬鹿にしてきた。
 俺は、 鳥と会話はできないがまず確実に奴がこちらのことを馬鹿にしていることだけは理解できた。


 「てめぇ! ふざけやがって! 焼き鳥にしてやる!」


 俺がそう意気込み奴に向かって拳を叩き込もうとしたのがその瞬間奴は、 空に逃げ俺の攻撃をよけた。


 「空に飛ぶなんて卑怯だぞ! 降りてきやがれ!」
 

 俺がそう叫んだ瞬間奴は、 俺の頭めがけ糞を落としてきた。
 糞のサイズは奴が巨体と言うこともあり、 もしその糞を俺が浴びたら俺は、 全身奴の糞まみれになるほどの巨大さだった。
 俺は、 そんなの絶対にゴメンだ!
 そして、 俺は奴の糞を回避しようとしたのだがその拍子に奴の巣から落ちてしまった。


 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇ!」
 「コケッコー!」


 俺は落ちる最後に聞こえたのは、 鶏の声真似をした奴の俺を馬鹿にした顔だった。
 チクショー! 今度会ったら絶対に焼き鳥にしてやる!
 でも今は、 そんなことより誰かこの状況何とかしてぇぇぇぇ!
 俺は、 悲鳴をあげながら地面へと落下した。
 

 「痛てて。 ここは何処だ?」


 俺が落ちたのは、 深い森の中だった。
 そして森の中には常に深い霧で覆われていた。
 その森は、 まるでゼ〇ダの伝説ででてくる迷いの森のようだった。


 「まあそんなこと深く考えている余裕はないな。 早くここからでて、 町に戻らないと」


 俺は、 そう言った後この森を抜けようとひたすら前に進んだのだが一向に出れる気配はない。
 それどころか今いる自分の位置すらわからなくなってきた。
 これじゃあまるで本当に迷いの森のようだ。
 

 「はあ~本当にどうやったらここからでられるんだよ」


 俺がそう途方に暮れていると森に風が吹き、 自分の周りの霧のみが晴れた。


 「おいおい。 これはどういうことだ? いくら何でも不自然すぎるだろ」


 俺が周囲を警戒していると一匹の白色の毛をした巨大な狼が俺の目の前に突然現れた。


 「おい人間。 こんなところで何をしている」
 「喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 俺は、 狼が喋ったことに驚き、 つい大きな声をあげてしまった。
 

 「黙れ小僧!」
 「喋たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 「黙れと言っているだろう!」


 狼の奴はそう言いながら自身の前足を使って俺の顔をビンタしてきた。


 「ぶったね! 親父にもぶたれたこともないのに!」


 俺はどこぞの白いモ〇ルスーツに乗っている少年の声をまねてそう言った。


「お前が黙らないのが悪いんだろ!」


 そして狼の奴は、 俺の事を二度もビンタしてきた。


 「二度もぶっ……」
 「いい加減にしろ!」


 狼はそう言って俺の頭に思い切り噛みついた。


 「痛い! 痛い! 痛い! 離せ! このくそ犬!」
 「ならお前の目的を言え!」
 「目的なんてねぇよ! そしてこの森からでれるもんならすぐに出ていってやるよ! だから俺の頭に噛みつくのをやめてくれぇぇぇ!」
 「今の言葉は本当か?」


 狼の奴は俺の頭を噛みつくのをやっと止めてくれた。
 全く頭に歯型がのこっちゃったじゃない!
 こいつどうしてくれようか。


 「おい! 無視するならまた噛みつくぞ!」 
 「それだけは勘弁してくれ! それと俺の話は本当だよ!」
 「そうか。 それなら私がこの森からお前をだしてやろう」
 「本当か?」
 「ただしこの森の中で私とあったことは、 決して言うな。 もし誰かに言ったらお前を食い殺してやる」


 お前は雪女か何かかよ。
 

 「わかったよ。 それでお前名前は?」
 「お前まさか私のことを見ても全くわかないのか?」
 「あぁ? お前なんてただのでかい狼にしか見えねぇよ」
 「怖くはないのか?」
 「は? お前が怖い? そんなわけないだろ。 俺はお前なんかよりあの糞鳥の方がよっぽど怖いね。 今思い出すだけでも奴をすぐに殺して焼き鳥にしてやりたくなってくる!」
 「そ、 そうなのか!」


 そして狼の奴は俺の回答が気にいったのか少し嬉しそうな声をだしているように感じた。


 「それで結局お前名前なんていうんだよ」
 「私には、 名前がないんだ。 ただ周りの人間からはフェンリルと呼ばれている」
 「フェ、 フェンリルだと!」
 「それを聞いてお前も私を怖がるのか?」
 「何言ってんだよ! フェンリルとか超カッコいいじゃねぇか! なんかこの世界でやっとまともな魔物に会えた気がするぜ!」
 「私は、 魔物ではなく神獣だ」
 「おっとそれは、 失礼した」
 「お前は、 変わった人間なのだな」
 「俺のどこが変わっているだって?」


 俺は、 そう言いながらフェンリルを睨みつけた。


 「気を悪くしたなら謝る。 だが普通神獣と聞いたら私のことを狩って武器の素材にしようとする輩が多くてな。 それでお前もきっと同じ人間だから私の正体を言ったら襲ってくると思ったのだが一切襲ってこないどころかむしろ尊敬のような眼差しを向けられたものでな」
 「当たり前だろ! 大体なんでお前のことを狩らなくちゃいけないんだよ。 お前は何か悪いことをしたのか?」
 「していないが?」
 「それなら狩る理由はないだろ。 そんなことよりお前の名前俺が決めてもいいか? 正直名前がないのは、 少し可哀そうだしな」
 「お前がつけたいのなら好きにするがいい」
 「そうだな。 げろしゃぶかフーミ……」


 ガブッ


 「痛い! なんで急に噛みついてくるんだよ!」
 「なんかその名前はどちらとも馬鹿にされているような気がしてな」
 「わかったよ……」


 う~ん何が気に要らなかったのかよくわからんがこいつが嫌ならこの二つの名前は没にするか。


 「よし! 決まったぞ!」
 「そうか! それでなんという名前なんだ!」
 「ふふふ今回は少し期待してもいいぞ! お前の名前はクリームシチュー……」
 

 俺が名前を言いかけている途中で狼の奴は、 また俺に噛みつこうとしてきた。
 どうやらこれもだめらしい。
 なんでクリームシチューがダメなんだよ。
 いいじゃんおいしそうな名前で。
 だがここで最後まで言うと俺はまた噛みつかれる。
 それは絶対に嫌だ!
 か、 代わりの名前を瞬時に考えなければ!


 「と言うのは冗談でお前の名前はハクだ!」
 「ハクか?」
 「ああ、 ハクだ!」


 なぜ俺がこの名前にしたかと言うと簡単だ。
 狼の奴の毛が真っ白だったからだ。
 

 「ハク。 そうか。 それが私の名前か」
 「ああ、 とりあえずこれからしばらくの間よろしくな。 ああ、 それと俺の名前は俊だ」
 「シュンか。 理解した。 こちらこそよろしく頼む」


 俺はこの後ハクへと無事森の外へと案内してもらった。
 また案内してもらっている間になぜハクがこの場所で一人でいるか理由を聞いた。
 そして主な理由としては、 自分の身を守るためらしい。
 神獣と呼ばれる生き物は、 もともと数が少ないようだ。
 そして神獣の装備は性能が凄まじいため見つけ次第すぐに人間によって神獣達はかられてしまったらしい。
 ハクは、 そんなフェンリルという神獣の種の最後の一匹らしい。


 「さて、 案内ありがとなハク」
 「気にするな」


 そう言うハクは、 何処か寂しそうだった。


 「なあハク。 俺が暇なときにこの森にまた来てもいいか?」
 「なぜだ?」
 「だってお前今までこんなところでずっと独りぼっちだったんだろ? だから俺はそんなお前と友達になれたらいいと思うんだ。 それでその時にこの世界のことについて教えてくれるとありがたい」
 「お、 お前はまたこの森に来てくれるのか? それも私のために?」
 「そうだ」
 「それは、 絶対だな? それとこの森に来るときは絶対にお前ひとりだけだぞ?」
 「わかった。 それじゃあもうそろそろ夜になりそうだし、 俺は行くな」
 「絶対また来るんだぞ! ずっと待ってるからな!」
 「ああ!」


 俺は、 そうしてハクと別れ町へと戻っていた。

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